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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第391話 一番の収入

「いやぁ~~~~~、お前らマジで最高だな」


ブランネスウルフの討伐……そしてゴブリンキングの討伐内容を聞き、イシュドは腹がねじ切れそうなほど爆笑していた。


フィリップのケツ穴確定攻撃。

これに関しては、フィリップならやるだろうという思いはあれど、それはそれとして本当に実行し、見事決めたところに関して……賞賛を送りつつも爆笑が零れた。


そして、ゴブリンキングに大きな隙を生み出す要因となった……アドレアスの攻撃。

螺旋突きでゴブリンキングの一物を貫いたと聞き、イシュドは数秒間ほど固まり……本当にその様な攻撃をアドレアスが行ったのかと疑った。


しかし、実際にその光景を見たエリヴェラとクリスティールが頷き、放った本人であるアドレアスが肯定しているのを見て……イシュドは再び爆笑。


「アドレアス、よくそういう選択肢を取ろうと思ったな」


「遠目からではあるけど、明らかにゴブリンキングの動きの質が変わったのが解った。天眼を体得したのであれば、おそらく僕が参加しても意味はないだろうと思ったんだ」


「んで、ライダーを消してきた方法と同じあれで、狙撃したと……一物を狙ったのは、あれか。頭や心臓とかなら咄嗟に躱されると思ったからか」


「うん、そうだよ」


「ふふ、良い判断じゃねぇの。まぁ……にしても……あれだな。モンスターだし、これまで冒険者とか殺してきたわけだから同情する余地なんざねぇけど、そこだけはほんの少しだけ哀れに思えるな」


一物を貫かれた。

それだけでも、野郎たちは多少なりともゴブリンキングが感じた痛みが解る。


そこに加えて……非常に、非常にナイスな判断ではあるが、動きを止める為にクリスティールの氷が下半身を覆った。

半端ではないダメージを負った一物が、今度は思いっきり凍らされてしまう……男性陣は、考えただけで下半身がキュっと締まる感覚を覚える。


「んで、ゴブリンクイーンは最後にヴォルカニック・ロードを使いやがったのか……やっぱあれだな。人型の上位ランク個体は油断ならねぇな」


今回はステラとレオナがエリヴェラやクリスティールたちを信じ、振り返らずに突っ込んだお陰でゴブリンクイーンを逃さずに済んだ。


そのタイミングで二人がヴォルカニック・ロードをなんとかすることを優先すれば……ゴブリンクイーンに逃げられる可能性は、少なからずあった。

仮に逃げられれば、相変わらずゴブリンによる女性被害は止まらず、クイーンによる男性被害も拡大する。


とはいえ、二人がヴォルカニック・ロードをどうにかしようと判断したとしても、それはそれで間違った判断とは言えなかった。

それ程までに、スキルレベル五の攻撃魔法は洒落にならず……しっかりと対処しなければ、森林火災が起きていた可能性もある。


「表情から察するに、あなたも苦い思いをさせられた経験があるようですわね」


「あるな~~~~。どこで学んだんだか、それとも頭の回転が早ぇのか知らねぇけど、似た様な事をされた経験はあるぜ」


「……どうなりましたの」


「思いっきり戦斧をぶん投げた。そんで負傷してた騎士を守りながら標的をぶち殺せたな」


苦い経験をしたと良いつつも、何だかんだで無理矢理ぶち破ったと聞き……もう完全にイシュドの異常さを知っていることもあって、驚く者はいなかった。


「けどまぁ、あれじゃねぇの。会長パイセンやステラ、レオナはどうか知らんけど、ガルフたちはそこそこレベルが上がったんじゃねぇのか」


「そうだね。依頼を受ける前と比べて、確実に上がったよ」


Bランクモンスターと戦ったガルフやエリヴェラたちだけではなく、基本的にライダーと戦い続けたヨセフたちも一つ以上レベルが上がっていた。


レベルが上がった。

今回の戦いでは当然、魔石などを売却すれば、彼らの臨時収入になる。

だが、それら以上にレベルが上がったというのは、彼らにとって一番の収穫と言える。


レベルが上がれば、身体能力や魔力量が上がる。

自身の戦闘力が上がると同義であり、となれば更に強いモンスターを討伐し、民を守る力が増えたことを意味する。


「良いね。ちと数の差はあったが、結果的に今ぐらいの人数で良かったみてぇだな」


「……結果論だと思う部分はあれど、今回ほどの参加人数でなければ、何処かで気が緩んでいたかもしれないな」


学園の決定に文句はない。

ステラやレオナという頼れる先輩たちがいれば、という思いはあった。


だが……改めて多数のゴブリンライダーに三体のBランクモンスターを見て、心の何処かで明らかに人数が足りないのではという思うタイミングがあった。

その自身の弱さを、ヨセフは隠そうとしなかった。


「私も、ヨセフと同じ意見ね…………それより、あれは本当に私が貰っても良いのかしら」


あれとは、ゴブリンクイーンが持っていた杖の事。

サイズが徐々にゴブリンクイーン様に変化したことで、ローザが扱うには大きい。

だが、分解して腕の立つ錬金術師に頼めば、ほぼ効果を保ったまま……更に強化して新しい杖を手にする出来る。


「一つ上のスキルレベルの魔法が使えるようになる杖だったか。良いじゃん良いじゃん。その効果が付与されてる杖って、結構貴重だぜ」


「それは私も本職なのだから解ってるわ。でも、私は……」


素材や武器の中でも、トップクラスの褒美と言える杖を貰ってもいいほどの活躍が出来たのかと問われれば……ローザは迷いなくノーと答える。


ローザはヨセフたちに守られ、何体ものライダーを仕留めた。

だが、絶望度合いで言えばキングリザードと遭遇してしまった時の方が上では

あるが、これまでで一番の戦場だったからこそ…………攻撃こそすれ、主に守られていた自分がそれ相応の活躍を出来たとは思えなかった。


「はっ!!!!! そこに関しちゃぁ、もう決まってんだろ。なら遠慮せず受け取っとけ。あれこれ悩んでる面してっけど、ちゃんと悔しさは刻まれてんじゃねぇか」


「っ……」


「変に悟ってる奴よりも、そういう奴の方が伸びる。後は、その杖の効果に頼り切らず、過信しなきゃ良い……出来ねぇか?」


「っ、出来るわよ!!!!」


勢い良く返答を返すローザを見て、イシュドはくすりと笑い、追加のエールを注文した。


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