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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第387話 最功労者

「おいおいおい、マジかよ」


フィリップは自分たちに迫る攻撃に対し、半分諦めた様な表情を浮かべていた。


(いやぁ~~~~~……俺に出来ることは、何もねぇかな~~~)


とはいえ、それは自分たちの命がここで終わると思ったがゆえの、諦めの表情ではなかった。


「ふぅーーーーー……刃ッ!!!!!!!!!」


直ぐに事情を察したイブキが納刀状態から、勢い良く抜刀。

刀技、居合・三日月を放ち、ヴォルカニック・ロードの迎撃を行う。


「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」


ポーションを飲んで魔力が回復したミシェラは、双剣に旋風を纏い……五連続で双剣技、乱れ裂きを放ち、東洋の火竜にぶつける。


「……刺ッ!!!!!!!!」


同じく魔力を回復したアドレアスは突風を細剣に纏い、連続で風刺を連発。

何度も何度も赤竜に風穴を空け、少しでも火力を落そうとする。


「やらなければ、なりませんねッ!!!!!!!」


氷は火に弱い。

学園に通っておらずとも、子供でも分かる子は分かる常識。


それでも……生徒会長であるクリスティールに何もしないという選択肢はなく、同じく回復した魔力を振る絞り、特大の氷刃を双剣で放った。


その結果、たった数秒ではあるものの、ヴォルカニック・ロードの一部を凍り付かせ、動きを止めた。


「せぇええええやああああああああアアアアアアアアッ!!!!!!」


その数秒があれば、準備をするのには十分。

魔力は回復しても、体力までは万全に回復してないガルフではあるが、クリスティールと同じく何もしないという選択肢は彼の中ではあり得ない。


纏える全ての闘気を纏い、渾身の斬撃波を赤竜に叩きつけた。


「……破ッ!!!!!!!!!!!!」


既に半壊状態である赤竜に対し、エリヴェラは最後の一撃を放つ。


放たれるは聖光を刻む斬撃……聖剣技、聖刻一閃。

たった一振りの斬撃波だが、半壊していたヴォルカニック・ロードを見事断斬。


(ん~~~、やっぱり俺の出る幕はなかったね~~~)


フィリップ以外の者たちが力を合わせ、見事スキルレベル五の超高火力魔法を撃破することに成功。


この結果に……当然、ガルフたちは喜んだ。


「…………」


「? なんですの、フィリップ」


「いや、なんで俺に不満をぶーたれねぇんだろうな~って思ってよ」


自分がヴォルカニック・ロードに対して何もしなかったことを、フィリップは悔いてはいない。

ただ、ミシェラからは何かしらの文句を言われるだろうな~と予想していた。


しかし、ミシェラはただイブキ達と喜びを分かち合い、フィリップに嫌味や文句を言うことはなく……それがフィリップにとって予想外であり、少々気味が悪いとも感じた。


「……正直、最後に関しては私も力になれたか解りませんわ。あまり上から目線で言う事ではありませんけど、フィリップが動いたからといって、何かが変わったかどうかは解りませんわ」


「なっはっは!!!! それに関しちゃあ、別に上から目線じゃねぇし、ただの事実だよ」


自分が何かアクションを起こしていたとしても、何も変わらない。

そんな事をやや申し訳なさそうな表情で口にしたミシェラに対し、フィリップは盛大に笑って吹き飛ばし……何も間違ってないと返す。


だが、ミシェラがフィリップの最後の行動に対して何も言わなかったのは、それだけが理由ではなかった。


「はぁ、全くあなたは…………ですが、それだけが理由ではありませんわ」


「?」


「今回の戦い……一番働いたのは、あなたと言っても過言ではないでしょう」


ミシェラは、自分が動けていなかったと……それ相応の活躍が出来ていなかったとは思っていない。

だが、それでも全体を見て、今回の戦いの中で一番働いたのは、フィリップだと断言出来る。


「………………」


「なんて顔をしてますの、あなた」


「ミシェラ……戦いの途中で頭でも打ったか?」


「ッ!!!! もう!! なんであなたやイシュドは素直に人の褒め言葉を受け取れませんの!!!」


ミシェラが怒るのも無理はない。無理はないが……フィリップから言わせれば、普段の関係値を考慮すればあり得ないと思えてしまうのも無理はなかった。


「私も、ミシェラと同じ考えですよ、フィリップ」


「おいおいイブキまで……上手く戦えたってことに関しちゃぁ、アドレアスがくそ珍しいムーブをしたのが一番デカいんだぞ」


フィリップも自分が今回の戦いで働いたとは思っている。

普段めんどくさがりな自分にしては、本当に働いたなと思っていた。


ただ、結果的に上手くライダーたちを処理し、各ボス戦に上手く人材をバラまけたのは自分の働きではなく、アドレアスの功績が大きいというのがフィリップの意見。


「ふふ。フィリップが褒めてくれるのは嬉しいけど、あれはそもそもフィリップが上手く戦況を保っていてくれてたからこそ上手くやれたんだ」


「つっても、お前がアホみたいに正確にライダーとウルフを貫いて殺したから、一気に楽になったんじゃん」


このまま押し切られるのは癪だと思い、珍しく連続でアドレアスのことを褒めるフィリップ。


「私としても、フィリップが全身全霊で広い範囲に渡ってケアをし続けてくれてたからこそ、誰一人戦線を離脱することなく戦い続けられたと思いますよ」


「僕もクリスティール先輩と同じ意見だよ、フィリップ。それに、ブランネスウルフとの戦いでも、フィリップの放った攻撃が戦いを好転させたと僕は思ってる」


「「…………」」


ガルフの意見には、概ね賛成ではあるいミシェラとイブキ。

しかし、攻撃した内容が内容であるため、大きな声でその通りだ!!! とは言えなかった。


「うちも、今回の主役はフィリップだと思ってるよ~~」


「私もメリルや皆さんと同じですね」


ヴォルカニック・ロードをフィリップたちに向けて放ったゴブリンクイーンを仕留め終え、満足気な表情を浮かべながら戻って来た。


「うちらは目の前の敵ぶっ倒すのでいっぱいいっぱいだっだしね~~」


「フィリップ君は、もっと自身の功績を誇った方が良いですよ」


「……うっす」


アンジェーロ学園のツートップにまで同じをことを言われてしまえば、さすがのフィリップもミシェラたちからの称賛を素直に受け取るしかなかった。


そして……その直後、フィリップたちの耳に一つの衝撃音が届いた。

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