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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第378話 早く打破する為に

泥臭くとも、戦況を変える。

その覚悟を持って放った風刺は螺旋を描き……見事、ブランネスウルフの腹部に当たった。


「っ!!??」


毛皮もそれなりに堅く、見た目よりも防御力があるブランネスウルフだが、腹だけは別。

三次職に転職していないミシェラの攻撃であっても、きっちり痛みを感じるほどのダメージが入った。


「破ッ!!!!!」


「ッ!!! …………」


怒りに駆られ、すぐさまミシェラに向かって闇爪波を放とうとしたブランネスウルフであったが、そこまで読んでいたガルフが闘気による斬撃波を放ち……ギリギリで気付いたブランネスウルフは何とか回避に成功。


「助かりましたわ、ガルフ」


「どういたしまして……ただ、早くポーションを飲んでください」


ガルフの闘気による斬撃波……闘斬波によって、なんとか冷静さを取り戻したブランネスウルフ。


しかし、以前ガルフたちが戦った鬼竜・尖の様な再生力を持たない為、徐々に徐々に傷口から血が流れる。

相棒であるゴブリンキングはそれなりに知能が高く、冒険者たちが持っていたポーションという物がいったいどういう効果を持つのか理解しており、幹部も含めて奪った物をいくつか携帯している。


ブランネスウルフが頼めば、飲ませてもらえるが……如何せん、距離的に中々離れてしまっている。


投げてくれと頼んだとしても、二人の人間に阻まれてしまう可能性も高い。


「ふぅーーーーー、ようやく加勢出来るぜ」


「お二人とも、お待たせしました」


そんな状況で、新たに二人の人間がブランネスウルフを討伐する為に参戦。


「フィリップ、イブキさん!」


「……こちらに来てくれるのは嬉しいですけれど、あちらは問題無いのですの」


「まぁな。問題ねぇっちゃ問題ねぇよ……はぁ~~~~~~~」


非常に疲れた表情を浮かべるフィリップ。


圧倒的中衛として動き続けた故の疲労……というのもあるが、別の意味でも疲労を感じていた。


(ったく、あのバカ王子…………イシュドと関わる様になったからか、相談もなしにバカなことやりやがって)


バカ王子とは、勿論アドレアスの事である。


風とレイピアを使って敵を貫く第五王子は、ゴブリンキングとクイーン、ブランネスウルフをトップとする集団との戦闘が始まった序盤こそフィリップたちと共に戦っていた。


しかし、中盤からフィリップやクリスティールなどに相談もなく……そっと姿を消した。

なるべくゴブリンライダーたちからも気付かれないように、戦場から離れた。


(まっ、結果的に助かったから良いっちゃ良いんだけどよ)


戦場から少し離れた位置で姿を消す。

そして……貫通力高めの風刺を二つ、連続で放つ。

それにより、ゴブリンとゴブリンを乗せるウルフ系モンスターを一気にダウンさせる。


そして即座にゆっくり……なるべく足音を立てず、陰に隠れて移動し、また高速で風刺を放つ。

それを何度も何度も繰り返し、戦場の外からフィリップたちを援護していた。


なんとも王位継承権を持つ者との戦い方とは思えない戦法だが、アドレアスは囲まれている中で戦っていても早い段階でライダーたちを殲滅することは出来ないと思い、思い付いた内容を実行。


アドレアスとしては堂々と戦場を動き、突いて払って倒していきたかったが……これまでの戦闘から、それが容易ではないと解っていた。

たかがゴブリンだと、絶対に侮れないと身に染みて理解していた。


だからこそ、自分が目指すスタイルではない戦い方をしてでも、まずはライダーたちを減らそうと決めた。


「つか、あれだな。思ってたよりもダメージ与えてんじゃん」


「ミシェラさんが頑張ってくれたんだよ」


「……頑張り続けていたのは、ガルフの方ですわ」


「オーケー、オーケー。互いに褒め合うほど頑張ってたってことだな……んじゃ、仕事も大詰めだ。もういっちょ頑張ろうぜ」


フィリップにしては、随分と珍しく前向きな言葉であり、イブキも含めて三人は驚いた。


ただ……その驚きを言葉にすることは出来ず、対処に追われる。


「フッ!!!!!」


迫る闇爪波に対し、居合斬りでなんとか対応するイブキ。


(重いッ!!! これを何度も放たれてしまうと、その場に釘付けに、されてしまいますね)


イブキ一人で戦っていれば、そうなっていたかもしれない。

だが……今は四人で戦っている。


「あ~~~、そりゃまぁ避けるよな~~~」


両手に投げナイフを持ち、雷を纏わせて投擲するフィリップ。


物を投げることに慣れているフィリップではあるが、ブランネスウルフを相手に狙ったところに当てるというのは、まだまだ技量と身体能力、スキルレベル等々……足りないところがそこそこ多い。


だが、どこかしらに狙いを定めて対象が動かなければ、その狙ったところに当てる技量は持っているフィリップ。


そのため、ブランネスウルフとしても避けなければ確実に自身の傷口を狙って雷のナイフを投げてくるフィリップは地味に厄介な存在である。


「ふぅーーーー、よっしゃッ!!!!!!!!」


「ッ!!!!!!!!」


そして……ブランネスウルフにとって一番厄介なのが、闘気を迸らせながら突っ込んでくるガルフ。


早い段階でミシェラと二人でブランネスウルフの相手をしていたこともあり、決して余裕ではない。

空元気……と言われれば、空元気かもしれない。


しかし、イブキとフィリップが来てくれた事で、耐える時間が終わった。

加えて……ミシェラとイブキ、フィリップの三人と共に強敵と戦うとなると……ガルフは自然と鬼竜・尖と戦った時の感覚を思い出す。


途中で覚醒されてしまい、イシュドに任せることになってしまったが、それでも当時……乗りに乗ってた、一人で戦う時に感じるものとは別の高揚感を感じていた。

その熱が今……再び燃え上がり始めたこともあり、時間限定ではあるものの、パフォーマンスは最高時と比べても一切見劣りしない。


ブランネスウルフの動きや攻撃内容にも慣れてきたという事もあり、攻めることに躊躇いはなく、守る時にも判断が送れてしまうこともない。


「ッ、ルルルゥアアアアアアアォォオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!」


「「「「ッ!!!!????」」」


だが、闇の巨狼はまだ落ちない。

冷静に……冷静に戦況を把握した上で、戦場に咆哮を轟かせた。

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