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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第376話 無粋な得物

(良いね良いね!! 全然衰えねぇじゃねぇかッ!!!)


斬撃波の強弱、刺突を入れ込むタイミング、上か左右から軌道をズラして放つ回数など、狙いを読まれないようにギガンテス希少種は上手く……非常に上手く遠距離攻撃を放ち続けていた。


イシュドはその技術、思考に感服すら覚えていた。


(これまで、自分と対等に戦える奴なんかと、早々、出会えなかった、だろうに……ってなると、あれだな……もしかして、このギガンテス希少種は……訓練とか、しちゃってる系の、個体なのか?)


まだまだ斬撃波と刺突の嵐が続く中、イシュドの頭に一つの疑問が生まれた。

だが、イシュドは考え事をしながら、キッチリ飛来する攻撃を全て粉砕し続けていく。


(訓練、してんのか、それとも……モンスターか人間を、仕留める時に……そういう考えを持って、やってたのか…………ったく、戦いの最中、だってのに、気になるじゃねぇのッ!!!!)


モンスターの細かい生態などに興味がある訳ではないイシュドだが、モンスターの中にも訓練を行う個体がいるのか否かという点については、多少気になっていた。


イシュドとしては、そういう個体と戦えるのであれば、心底嬉しい。

ただ……Aランクモンスターがそれを行っているとなると、話しは変ってくる。


(まだ成果が実る、途中なのかどうかは、知らねぇ、けど……実ったら、こんな感じで、戦えは……しねぇだろうな)


最初から全力でいかなければ殺される。

そんな事を考えていると、一瞬にしてギガンテス希少種との距離が縮まった。


「ーーーーーーーーーッ!!!! ぬぅおらッ!!!!!!! 無表情でも、闘志が零れてるぜ、巨人さんよ!!!」


「………………」


最後の斬撃波を放った瞬間、ギガンテス希少種は斬撃波を放つ踏み込みをそのまま利用し、一気にイシュドへ近づいた。


カモフラージュの為に最後の斬撃波の範囲を広げており、完璧な流れと言えた。


だが、イシュドは斬撃波や刺突を放ち続けている時に零れていた闘志に異変を感じ、なんとか上段からの強撃に耐えることが出来た。


(ったく、くるって解ってなかったら、ワンチャン骨にヒビいってたかもな……くはっ!!!! とことん熱くさせてくれるじゃねぇの!!!!!)


ギガンテス希少種から受けた攻撃による衝撃を焚き木に変え、今度はイシュドが攻める。


雷将は二振りの戦斧であり、単純な手数ではイシュドの方が勝っている。


強靭な肉体を持つギガンテス希少種と言えど、雷斬波でも魔力を越えて皮と肉が斬り裂かれてしまう。


「よっ!!」


「っ!!!!」


「だっはっは!!!! やっぱ、それは使えるん、だな!!」


大きな目を一つだけ持つ巨人、ギガンテスは目から衝撃波を放つことが出来る。

個体によって違いはあれど、それがオーソドックスな効果。


イシュドは弱点でもある一つ目を狙ってみたが、放たれた衝撃波により、イシュドが放った雷斬波は消し飛ばされた。


(やっぱり目から衝撃波は、放てて……んで、多少なりとも、再生力がある……元々狙う気は、ねぇけど!! やっぱ、厄介な能力、だなッ!!!!)


以前ガルフたちが戦い、その後覚醒した状態ではイシュド戦った奇跡が重なり合ったモンスター……鬼竜・尖の様に圧倒的な再生力はないものの、ギガンテスやトロールはスキルではなく特性として再生の力を持つ個体がいる。


ゆったりではあるが再生してしまうため、時間が経てばイシュドが与えた切傷は治ってしまう。

腕や脚の切断を再生できる個体は限られてしまうが、それでも切傷による貧血、出血多量による死亡はあまり望めない。


「どうしたッ!!! もう、終わりかッ!!!!????」


それでも、Aランクモンスターの身体能力を持ちながら確かな技術を持つ個体との戦いは初めてではなく、ギガンテス希少種のサイズから放たれる攻撃、距離感にも慣れ始めた。


このままいけば……切り札を切らずとも、勝機が見えてくる。


だが……それは、ギガンテス希少種も感じ取っていた。

故に心が揺れ、表情に変化が訪れていた。


これまで感じたことがなかった、苦戦……それを越える、命の危機。

未体験の状況に、ギガンテス希少種の心は昂っていた。


「っ!!!!!! ………………あぁん?」


何が、起きた。

イシュドの攻撃に対応していた筈のギガンテス希少種から、いきなり気味の悪いオーラが噴出。


嫌な予感がしたイシュドは雷斬波を放ちながら、後方に跳んだ。


(よく解らねぇけど、ありゃもしかし、てっ!!!!!!!!!)


先程よりも素早く、強靭な斬撃波が放たれた。


その斬撃波に対し……イシュドには、相殺という選択肢はなかった。


「ゥガァアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!!」


「……聞こえは、しねぇな」


冷静に……冷静にイシュドは耳を澄ませ、人間の悲鳴や絶叫が聞こえないことを確認。


そして、先程までとは違って非常に冷たく……イシュドの表情から、笑みが消えていた。


(チッ…………何がトリガーになったのかは、知らねぇが…………無粋な事をしやがる得物だな、クソが)


ギガンテス希少種も先程までとはことなり、眼が赤黒く充血し、身に纏う魔力は黒と紫が混ざり合った様な気味悪さへと変換。


(つっても、まぁ……クソヤベぇ存在な事に、変わりはねぇ……影の連中がどう判断するのか、知らねぇし…………さっさと殺るか)


イシュドは……地面に脚が付くと同時に、バーサーカーソウルを発動。


「ォォオオオオオオオァアアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!!!!!!」


暴力には、暴力を。

狂気には狂気を。


ギガンテス希少種から溢れ出る邪気に対し、イシュドははち切れんばかりの狂気を迸らせ、狂刃を振り抜き……命を刈り取りにいく。

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