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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第375話 不安点

SIDE イシュド


「ハッハッハッ!!!!! そう、だッ!!!! もっと、きやがれッ!!!!!!!」


「……………」


互いに小手調べが終わり、本格的な戦いが始まって数分間が経過。


イシュドは相変わらず狂戦士味たっぷりの笑みを浮かべながら雷斧を振るい、ギガンテス希少種は表情を変えず、邪剣を振るい、攻め続けていた。


(まさかまさかとは、思っていたが、この巨人……あれだな。この前、戦り合った、リザードマンキングより、パワーがヤベぇ、なッ!!!!!!)


希少種……と言えど、その中でもまた差がある。

加えて、イシュドは同じAランクのモンスターであっても、実家の森や山に出現するAランクモンスター以上の戦闘力を持つ個体とは遭遇しないだろうと思っていた。


だが、雷斧と邪剣で斬り結ぶこと数分間……パワーに限れば、以前戦ったリザードマンキングよりもパワーは確実に上だと思い知らされた。


(へへ……へっへっへ…………最高じゃ、ねぇのッ!!!!!!!)


腕の痺れを感じる度に、闘争心が更に燃え上がる。


現在、まだイシュドは狂戦士としての切り札であるバーサーカーソウルを使用していない。

Aランクモンスターという存在に加えて、邪剣という出所が解らない武器を持つ存在を相手に縛りプレイなど、アホの極みと言われても致し方ないことをしていた。


「ぬぅおらッ!!!!!」


「っ……」


「見えてるん、だよッ!!!!!」


競り合いに勝ち、反撃してきたギガンテス希少種の邪剣を交わし、雷撃波を放つ。


腕や脚、胴体をスパッと切り裂くことは出来ないが、それでも纏う魔力を越えて

堅い筋肉を確かに切り裂く。


「っしゃッ!!!!!」


加えて、今度は雷将による斬撃ではなく、腹に向かって高速でライダーキックを放った。

体技を発動した状態での蹴りということもあり、踏ん張りが効かない状態であってもその威力は侮れない。


「へっ、さっすが希少種……良いタイミングで下がるじゃねぇか」


「…………」


だが、邪剣による攻撃を躱されるも、寸でのところでステップバックを選択したギガンテス希少種。

腹部に青痣は残ったものの、肋骨や内臓にまでダメージは通らず、損傷もない。


(後ろに跳ぶだけじゃなくて、ちゃんと腹筋に力を入れてやがった、なッ!!!!)


何を思ったのか、今度はギガンテス希少種が遠距離攻撃を放った。


その外見から気持ち悪さすら感じる邪剣から、文字通り邪悪なる斬撃波を放つ。


「良いねぇ……斬撃波も、並じゃねぇじゃねぇかッ!!!!!」


思いっきり雷将を振り回し、斬撃波を粉砕。

だが、一度や二度で止まることはなく、連続で斬撃波を放つギガンテス希少種。


(チッ! どういう頭してんのか、知らねぇが……嫌な事、してくるじゃねぇのッ!!!)


斬撃だけではなく、斬撃波の強さに歓喜しているのは嘘ではない。

イシュド的には、まだまだ遊べる……熱い戦いが出来ると、ウェルカムな内容である。


ただ……実際に雷将で弾き飛ばし、その威力……切れ味を感じ取り、一つの問題点が

浮かんだ。

それは、イシュドが邪剣から放たれる斬撃波を躱した場合、場所によっては……ガルフたちの元まで届いてしまう。


勿論、イシュドのスピードと反応速度があれば躱すことも出来るが、そのせいで別の戦場で頑張っているであろう仲間に被害が出てしまえば、イシュドにとって一生の不覚となる。


ゴブリンライダーたちに当たれば、それはそれで儲けものであるものの、今のイシュドでは……Aランクモンスターを相手にしながら、離れた場所にいるであろう仲間の位置まで正確に把握する事は出来ない。


加えて、ギガンテス希少種にとってゴブリンキング、クイーンにブランネスウルフは全く関係のないモンスターであるため、その三体が死のうとどうでも良い。

そのため、現状では……不安要素がある部分を考えると、イシュドがやや不利と言えなくもない。


(にしても、この野郎……良い魔力量、してんじゃねぇか)


威力、射程を考慮すると、ギガンテス希少種が放つ斬撃波、一振り一振り……決して少なくない魔力量を消費している。


ギガンテスやトロール……加えてオーガなど、人型で巨躯を持つモンスターはメイジでもないかぎり、基本的にCランクやBランク、Aランクの上位種などであってもそこまで魔力量が多くない。


それは戦士、狂戦士などの職に就いている者も似た様なものだが……一次職が魔剣士、三次職で変革の狂戦士に就いているイシュドはイレギュラーであるため、魔力量がそこら辺の魔法職よりも多い。


(希少種、だからか。それともあの邪剣の効果か……へっへっへ、どっちゃにしろ中々……燃えさせてくれるじゃねぇのッ!!!!!!)


自分が斬撃波を躱せば、仲間に攻撃が当たるかもしれないという不安点のせいで、少しだけ現状に苛立ちを感じたイシュド。


しかし、ギガンテス希少種の魔力量が切れるか、それとも自分の腕や体力に限界が来るのが先かという我慢比べ勝負は……割と嫌いではない。


「おら!! おら!!! ぅおらッ!!!! どん、どん、こいやッ!!!!!!」


「………………」


斬り落とし、斬り上げ、薙ぎ払い……時には突き刺す、


ただ真正面から放つだけではなく、上や斜め……左右から弧を描いて放つ。

ギガンテス希少種が放つ斬撃波は、並みの剣士たちから見ても嫉妬するほど強く、速く、鋭く……そして美しい。


ギガンテスという種族がどうして、という怒りが爆発するのも無理はない剛力と技術の融合とも言える。


だが……剛力と技術の融合体が放つ攻撃を、イシュドという変革の狂戦士は全て反応速度と身体能力……暴力を活用し、粉砕していく。


どの斬撃波や刺突も躱さず、粉砕していく光景も、それはそれで中々におかしい。


「シャァアアアアアアアアア!!!!! もっとこいやぁああああああああ!!!!!!!」


「………………」


ギガンテス希少種は生まれたばかりの赤ん坊ではなく、ある程度のモンスター生と戦闘経験がある。


ただ……生まれてこの方、苦戦という苦戦を感じた戦いはなく、本来であれば既に戦いが終了しているほど時間が経過している。


そして、どのようにして手に入れたか記憶が曖昧ではあるが、新たな得物である剣の力によって更に自分が強くなったと思っていた……が、まだ依然として目の前の人間を破壊、斬殺出来ていない。


その現状に……初めてギガンテス希少種の心が揺らぎ始めた。

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