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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第362話 命懸け

(ガルフ君たちが強いのは解ってたけど、本当に凄いわね~~。逆鱗状態になってたらまた話は別かもしれないけど、本当にイシュド君力を借りずに倒しちゃったね~~)


影からこっそりと見守っているアリンダは、ガルフたちがイシュドたちの力を借りずにアサルトワイバーンを討伐した光景に……多少の驚きを感じていた。


無理ではないと思っていたが、アリンダが予想していたよりもあっさりと仕留められた。

怪我らしい怪我をしたのはガルフだけであり、フィリップたちはほぼ無傷。


大半が一年生ということもあり、普通に考えればクリスティールとレブトが参加していたとしても圧倒するとは思えない。

同じく影から見ていたシドウも、あれほどスムーズにアサルトワイバーンを倒すとは予想していなかった。


(全員、良い動きをしていた……その中でも最功労者を上げるなら、やはりガルフ君かな)


シドウとしては、妹であるイブキを……と思わなくもないが、教師と冷静に見ると……豪火球を上空に殴り飛ばし、炎の竜星となったアサルトワイバーンを横から殴り飛ばした功績は大きい。


(でも…………ふふ、良いね。皆良い表情をしてるね)


学生だけでBランクモンスターの亜竜とはいえ、ドラゴンを討伐した。

にもかかわらず、イシュドとフィリップを除いた全員が険しい表情を浮かべていた。


(自分の力だけで倒せるな倒したかった、ってところかな。今のところ…………クリスティールさんが、一番可能性が高いかな)


シドウの中で、一番ソロでアサルトワイバーンを倒せる可能性があると感じたのは妹であるイブキや闘気を持つガルフではなく、三年生で生徒会長を務めるクリスティールだった。


三年生ということもあり、ガルフたちの中で一番レベルが高く、修羅場を潜り抜けてきた数も多く、戦闘の勘は侮れない。


加えて、最後にアサルトワイバーンを首を斬るさいも、無理に切断するのではなく、冷気で切断した部分も凍らせることに力を入れていた。

そういった冷静な行動、視点も含め……クリスティールが一番ソロでアサルトワイバーンを倒せる可能性が高いと評価を下した。


(…………公の場で、彼らとエリヴェラたちが戦わなくて本当に良かったな)


同じく護衛者の一人であるフランガルも、二人と同じく影からガルフたちの戦闘を見守っていた。


その結果……一部の人間が持ち上げていた話を実行せずに良かったと、心の底から思った。


(エリヴェラであれば……おそらく、勝てるであろう。イシュド君には負けるだろうが、ガルフ君たちが相手であればおそらく負けはしないだろう……ただ、他のメンバーの実力を考えると…………末恐ろしいどころではなく、現時点で恐ろしいな)


一応、フランガルはロブスト学園長から、初日に行った全試合の結果を耳にしていた。


イシュドがエリヴェラとステラと戦った試合を除いても、アンジェーロ学園側が負けた回数が多く、その試合内容も聞いて……正直なところ、半信半疑なところがあった。

しかし、実際にガルフたちと手合わせを行い、そして間違いなく強敵であるアサルトワイバーンとの戦いっぷりを観て……学園長から聞いた話に、嘘偽り誇張は一切なかったと思い知らされた。


(しかし…………やはり、スカウトしたくなってしまうな)


全員が適切な動きを取り、強敵アサルトワイバーンを討伐した。

それは間違いないのだが……シドウと同じく、フランガルから見てもMVPはガルフであった。


(間違いなく強い。職業の差などを含めれば今はエリヴェラの方が上だとは思うが、三次職に至るまでの過ごし方、そして三次職に至れば……逆転していてもおかしくない)


人によっては、二次職で聖騎士に至ったエリヴェラと比べて、それは過剰評価だ感じてもおかしくはない。


だが、それでもフランガルは自身の考えがおかしいとは思わない。


(あの自身が傷を負うかもしれないと解っていながら、躊躇なく動くところも……多少の危うさは感じるが、それでも……イシュド君がいなければ、本当に声を掛けていただろうな)


イシュドがいなければガルフが現在の様な心身の強さを持っていないことを考えれば、恨むことなどあり得ない。


それでも……そろそろ次の世代をと、後輩たちに意識を向け始めたフランガルにとって……ガルフという学生は、それだけ心身共にスカウトしたいと思える存在だった。






「いやぁ~~~、無理じゃないですかね~~~」


「う~~~ん……無理だと思いますよ~」


「やはりそうか」


日も落ち、イシュドたちが夕食作りを行っている頃、フランガルたちも一か所に集まり、夕食の準備を行っていた。


そこで、フランガルは昼間に抱いた気持ちをアリンダたちの前で零した。


「フランガルさ~~ん、それは俺も無理だと思うっすよ~~」


護衛者たちの中でも割と若く、少々チャラついた雰囲気を持つ後輩からもアリンダ、シドウと同じことを言われてしまう。


「…………将来的に、それこそ彼が騎士を引退する頃に誘うのも、難しいか」


「いやいや、引退する頃になったらガルフ君だって絶対にあれですよ、恋人か奥さんの一人や二人はいますよ」


「ガルフ君は平民出身ですけど~、だからこそ男爵家や子爵家……伯爵家の令嬢たちからすれば、是非とも逃したくないでしょうね~~~」


「あまり詳しい話は聞いてませんが、ガルフ君は俺の妹やフィリップ君たちと一緒にイシュド君の実家に行ったので、もしかしたらレグラ家出身の女性陣たちもガルフ君を逃さないようにと考えているかもしれませんよ」


「…………まだ、レグラ家の人間とはイシュド君としか出会ってないのだが、レグラ家出身の女性はどういった方々なのだろうか」


「狙った獲物は絶対に逃さないとか、ちょっと狂戦士かつアマゾネス要素を持つ感じじゃないですかね」


チャラめな護衛者の男は、決して小バカなどにはしていない。


ただ、彼は護衛者の中でも情報収集が得意であり、風の噂程度の内容だが……もし浮気をすれば、地の果てまで追いかけてあそこを切断するという情報を得ていた。


「……やはり、難しいか」


「場合によっちゃぁ、Aランクモンスターをソロで討伐するよりも難しいんじゃないっすかね」


フランガルは実際にAランクモンスターとの戦闘経験があるため、後輩が何を言いたいのか直ぐに解った。


要約すると、命懸けということである。

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