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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第358話 同じく生物である

「なぁ、イシュド」


「ん? なんだよ、フィリップ」


「あれ、伝えちまっても良かったのかな」


探索二日目、朝食を食べ終えてからは再び別れて探索を始めたイシュドたち。


その道中、フィリップは少しバツの悪そうな顔をしながらイシュドに昨日の件について話を振った。


「……別に良いんじゃねぇの。実際、俺はあぁいう面白モンスターと遭遇した訳だしよ」


数年前、間違いなくイシュドはオークパラディンという……オークの聖騎士と遭遇し、戦った。


その名前を見た時、大爆笑したのをよく覚えている。

それと同時に……そのオークが、これまで戦ってきたオークとは違い、確固たる信念を持ったオークであることも、よく覚えている。


「…………つっても、受け入れられるもんじゃねぇんじゃないか」


「エリヴェラは受け入れてたぞ」


「あいつはあいつでまた別だろ。ヨセフなんて知ってみろ、初対面の時みたいになるかもしれねぇぞ」


「そんときゃあ、ステラあたりが上手く纏めるだろ」


フィリップはエリヴェラの事を特別な奴だと評するが、実力や戦闘センスはそうだとしても、精神面に関してはヨセフたちとそこまで大きな差はない。


「……フィリップ。先日話していたモンスターとは、いったいどういったモンスターの事ですの」


「…………イシュド。どうするよ、ミシェラたちには教えても良いのか?」


「別に良いんじゃねぇの」


イシュドから許可が出たということもあって、フィリップは以前イシュドが遭遇した例のオークについて語った。


「なっ!!!」


「その様な個体がいるとは……」


「……奇跡、といっても差し支えない進化ですね」


ミシェラは驚きを全く隠せず、イブキとクリスティールは表情にこそ出ていないが、内心驚きで一杯だった。


「ふ……ふざけて、ますの?」


「それはどっちだ? オークパラディンなんて存在に遭遇したって言ってる俺に向かって言ってんのか?」


「違いますわ。そのお、オークパラディンという存在に対してですわ」


先日の夜、イシュドがモンスターは先輩が後輩に教えるという文化がないであろうから、武器などの出会いが切っ掛けで進化もするという話を聞いて……恐ろしいと思ったと同時に、それでも納得のいく考えだとも感じた。


しかし、オークがパラディンという存在に進化する切っ掛けなど、全く想像出来ない。


「…………そうですね。私としても、理解しがたい存在と言いますか……イシュドが嘘を言っているとは思えませんが、それでも何が起こればと……疑問が尽きません」


「……教会を見たら、もしかしたら何か感じたり、するのかな」


「ほ~~~ん、教会ねぇ~~~~…………昨日イシュドが話してた切っ掛けの一つにはなりそうだな」


「オークが、信仰心を感じ取ると?」


「え、えっと……ほら、教会ってこう……別空間って感じがすると思うんだ。人間の街がどうなってるかなんてオーク達は知らないだろうけど、大きな衝撃を受ける一つの場所だとは思うんだよね」


ガルフは一度、王都の観光で教会を訪れたことがある。


一応故郷の村にも教会はあったものの、外見も中も全くもって比べ物にならない。

その光景に、ガルフは神々しさ……神聖さというものを感じ取った。


今までそういった光景が身近ではなかったガルフにとって、強い衝撃を受けた光景の一つであった。


「っ…………し、しかし、イシュドが遭遇した個体は、流れのオークではないのでしょう」


「多分な。まっ、ガルフの考えの方が納得出来るだろうけど、俺が戦ったあのオークも、神と思える幻影か幻聴が見えたんじゃねぇの」


「……今更ですけれど、物凄く不謹慎な言葉ですわよ」


「解ってるっての。エリヴェラたちの前じゃ言わねぇよ。ただ、錯覚や幻影だったとしても、そういうものがいると感じ取ったなら、その個体に何かしらの影響を与えてもおかしくねぇだろ」


「では、仮にそうではなかったとしたら、どういった切っ掛けでその個体は進化したと思いますか、イシュド君」


ミシェラの言う通り不謹慎発言ではある。

だが、イシュドが口にした切っ掛けで進化した可能性も否定出来ない。


ただ、クリスティールはイシュドならもっと、他の可能性を知っているのではないかと思い、遠慮なく尋ねた。


「…………あのオークは、他のオークたちと違って、同族を守ってやりたいって思いが人一倍強かったのかもしれないっすね」


「守りたい気持ち、ですか」


「イシュド、それであればタンクという上位種に進化する可能性が高いのでは?」


イブキの疑問は最も。

ミシェラもフィリップも直ぐに同じ考えが浮かんだ。


「どう守りたいのかにもよるだろ。ただ単に敵の攻撃から守ってやりたいのか、それとも敵を倒して仲間を守ってやりたいのか……人間にも、そういった心構え? で転職できる職業も変わってくるだろ。だったら、モンスターもそういう部分で進化先が変わってもおかしくねぇんじゃねぇかってのが俺の考えだ」


「…………そこまで言われると、納得せざるを得ないと感じますわね……それでも、多少引っ掛かるところはありますが」


「そりゃデカパイがモンスターを…………知能的に? 下に見てるからじゃねぇの。大前提として、モンスターはモンスターで生きてる生物だし、オークとかはアンデット系のモンスターとかと違ってがっつり感情があるだろ」


「感情……………………ふぅーーーーーー、頭が痛くなってきますわ」


引っ掛かりは完全に消えない。

それでも、ミシェラは感情という言葉を聞いて、チラッとガルフの方に視線を向けた。


(ガルフは……ディムナとの試合で、イシュドを侮辱されたのを切っ掛けに、闘気を体得したのだったわよね?)


ミシェラはガルフ対ディムナの試合を見ていなかったが、その光景を担任教師であるバイロンから細かく聞いていた。


その話を思い出し、引っ掛かりは多少残りながらも……先程までよりもイシュドの説明に対して抵抗感が薄れた。


「あん? この感じ…………お前ら、俺は手を出さねぇから頑張れよ」


「? イシュド、もしやっ!!!???」


何かに気付いたイシュドはササっと後方に下がり、ミシェラもリーダーの口ぶりから、何かに気付いた。



そして……新年になりましたら、新作投稿第二弾を始める予定ですので、楽しみに待っていてください!!!!

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