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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第337話 寧ろ望むところ?

(経験値と戦闘スタイルがあって為せる動き、か………………)


クルトの話を聞いていた静かにフィリップは、クルトが自身の動きに関して説明した内容を脳内で振り返る。


気だるげ、めんどくさがり。

そういった性格の面では、クルトとフィリップは似ている。


しかし、戦闘スタイルに関しては刃物系の武器は使えても、フィリップはこれまで盾という防具を使った事がなかった。

傭兵という二次職に就いていることを考えれば、盾も扱うことは出来る。

現在は盾技のスキルを持っていないフィリップではあるが、これから鍛錬と積み重ねていく実戦次第で、直ぐにスキルを会得出来てもおかしくない。


(…………つっても、やっぱ合わねぇよな~~~~)


性格は似ていても、クルトはフィリップと比べて線が太い。

ゴリマッチョと呼ばれる者たちほど太くはないが、それでも細マッチョレベルの肉体を持つ者たちよりはやや太い。


(そうなると、俺の場合躱して躱して武器で受け流してって感じでやれば…………もしかしたら、上手くやれるか?)


めんどくさがり、気だるげ……そういった部分は、今も昔も変わらないフィリップ。

だが、高等部に上がってからは、心の底からこいつらは友人だと……ダチだと思える者たちと出会った。


故に……これまで消えていた向上心の灯は、今も絶えずに燃えていた。


(最小限の動きで、無駄なく回避を…………それが出来れば、私の目指す戦闘スタイルにも役立つかもしれませんわね)


クルトの話を聞いて、もしかしたら自分にも活かせるのではと思ったのはミシェラだけではなかった。


ミシェラが目指す先は、終わりのない旋風。

斬って斬って斬って斬って斬りまくる、終わりのない斬撃の嵐をぶつける。

現在、最終的な目標はイシュドの想像を越える強さを手に入れることだが、まずは教えられたとおりの戦法を身に付ける為に、スタミナ強化も行っている。


イシュドから教えられた戦法は、ミシェラ自身も確かに自分に合ってるかもしれないと思えたが……ミシェラが目指すのは騎士。


一人の敵とだけ戦う訳ではない。

複数体の敵と戦い……その後また、複数体の敵と連戦することもある。

なので、可能であればあまり体力を消耗せずに討伐出来た方が好ましい。


(受け流しに関しては…………これからの、鍛錬次第でしょう。問題があるとすれば……あの紙一重の回避技術ですわね)


模擬戦時、ミシェラが放った風斬は受け流されるだけではなく、紙一重で躱されることもしばしばあった。

双剣には旋風を纏っており、纏われている大きさを瞬時に把握して紙一重で避けるのは……至難の業と言える。


(性格…………本当にあのような性格でなければ、同じ事は出来ないのかしら?)


ミシェラから見て、普段のイシュドは気だるげなあまりやる気のない教師であり、その印象自体は間違ってはいない。

だが、本日何度も何度も体験した通り、その実力は紛れもなく本物。


自分たち一年生だけではなく、三年生であるクリスティールやステラたちまで目立ったダメージを与えることなく終わらせられたところを見れば、否が応でも認めるしかない。


「……………………」


「おいデカパイ、なに眉間に皺寄せてブスっとしてんだ?」


「うるさいですわ。私なりに色々と考えてますのよ」


「ほ~~~ん…………まっ、それなら良いんじゃねぇの。人間、考えられなくなったらそこで止まるからな」


「むっ……」


嫌味やデリカシーのない言葉が飛んでこないことに驚き、思わず黙ってしまったミシェラ。


(考えられなくなったらそこで止まる、ね~~~……また教師みたいな事を言うね~、イシュド君は~~~。というか、その考え方は割と後衛職……私みたいな魔法使い寄りの考え方だと思うんだけどな~~)


(…………雰囲気とかはマジで学生だけど、時折本気で中身は四十五十の熟練者じゃねぇのかって思っちまうな)


アリンダとクルトも黙々と食べながら、改めてこいつの頭の中や精神年齢はどうなってるんだと思った。


「へぇ~~~。イシュドも割と考えながら戦ってんの?」


「まぁ、結構強い奴が相手なら、どうやってぶっ殺すかは考えながら戦ってるかな~~」


既に三次職就いており、一般人が得ることは出来ない特別な職に就いているイシュドであっても、突出した力や能力を持つBランクモンスター……特別な力は持たずとも、一般的な騎士たちではソロで討伐出来ないBランクモンスターが複数体が相手であれば、イシュドも多少頭を使う時はある。


「そう言ってよ、ぶっちゃけ真正面からバチバチに戦り合うのが殆どなんじゃねえのか、イシュド」


「なっはっは!!!!!! 相変わらず良く解ってんじゃねぇか、フィリップ。自慢になっけど、俺はもう体が先で思考が後って感じの肉体になってっからな。お前の言う通り、クソ強ぇ奴との戦いになったら、兎にも角にも真正面からバチバチに戦り合っちまうな」


バカだと、とツッコみたくなる事を口にするイシュド。


だが、既に三次職へと転職してる教師組のアリンダ、シドウ、クルトは……真正面からバチバチに戦り合ってしまう事に関しては少々思うところはれど、それが出来ているならと……特にイシュドの戦り方にツッコまなかった。


(体が先で、思考が後…………何度か、経験がある……筈)


(ん~~~~? 考えるよりも先にぶん殴ってぶった斬ってる感覚? それなら身に覚えがあるような内容な……)


(考えずに、動いてる? それなら…………ジャイアントリザードとの戦いが、それだった?)


未熟な身であれば、そこに至ることは出来ない。

だが、死の一歩手前まで追い詰められ、それでも尚戦おうとする者が、その感覚に至る例はある。


しかし、それでも全体的に見れば、ステラたちはまだ未熟な身。

イシュドたちの様に、いざとなればその気になれるほどの高みへは至っておらず、それは本人たちも重々理解している。


理解しているからこそ……全員高い向上心を持ってはいるが、その中でもガルフやクリスティール、エリヴェラにステラ、レオナは心の中で同じ考えを呟いた。


(((((……イレギュラー、起きないかな)))))



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