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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第325話 そういう発散もあり

「ここが、アンジェーロ学園の学園長がいる場所っすか?」


「あぁ、そうだよ」


「ふ~~~~~ん……」


これから、アンジェーロ学園のトップと会う。

それを最終確認したイシュドは、サラッとアイテムバッグから二つの指輪を取り出し、装着した。


「ふぅーーーーー……っし」


心を落ち着かせ、クルトはドアをノックし、イシュドを連れて来たことを報告。


すると、クルトがドアノブを手にする前に、扉が開いた。


(ほ~~~~ん…………あれが、アンジェーロ学園のトップ、か)


ソファーに座ってイシュドを待っていた人物。

初老男性と言えなくもない見た目をしている学園長を見て、イシュドが最初に抱いた感想は……うちの学園長よりは強い、というものだった。


「やぁ、よく来てくれた。さぁ、座ってくれたまえ」


「うっす」


イシュドは学園長に促されるままソファーへと座りた。

ちなみに、クルトは誰に言われる訳でもなく、イシュドが座ったソファーの後ろに立ち止まった。


「初めまして、イシュド君。私はこのアンジェーロ学園の学園長、ロブスト・アテルーナだ」


「どうも。ご存じだとは思うっすけど、フラベルト学園のイシュド・レグラっす」


イシュドは敬語を使っているつもりだが、実際のところ語尾にっすを付けて喋るのは敬語とは断言出来ない。


そんなイシュドに対し、ロブストが座るソファーの後ろに待機している二人の男女が鋭い視線を送る……が、ロブストが直ぐに止めなさいと制す。


(この爺さん…………多分、聖光騎士だろうな。にしても、俺が知ってる連中とは……ちょっと違うか?)


基本的に四次職に就く際に転職できる職業、聖光騎士。


イシュドは聖騎士の上位職、聖光騎士の職に就いている者を知っており、実際に会ったこともある。

なので、おおよその雰囲気や強さは知っているのだが……目の前の初老男性からは、異なる何かを感じ取った。


「それで、こんな夜に俺を呼び出して、いったいどういう要件っすか」


例え四次職に転職している者が相手だろうと、イシュドはその態度や口調を変えない。

その対応に先程ロブストから制されはしたものの、だとしても!!! という思いだけは抑えきれなかった男女二人が、鋭い視線を向ける。


「「ッッッ!!!!」」


「ふっふっふ、良いねぇ~~~~。良い視線を向けてくれるじゃないっすか。なんすか、そっちのお二人が相手してくれるって理由で呼んでくれたんすか? いやぁ~~~、それは最高っすね。もう、遠慮なくぶちまけられそうっすよ」


二人の男女は、これまで仕事上……精神や思考が狂った人物と対峙する機会があった。

そんな人物たち……とはまた違い、本当に純粋な戦意と狂気をミックスした圧を、笑みを向けるイシュド。


学園長の傍にいる人物ということもあり、二人のレベルはイシュドより上。

イシュドはこれまでの経験から、二人が自分よりも一回りレベルが上の猛者であると解っていた。


解っていた上で、是非とも戦り合いたいと思い、心の底から狂戦士の笑みを零した。


(こっちに来てから娼館に行ってねぇし、こういうので発散しても良いよな)


エリヴェラやステラとの戦いは十分楽しかった。

とはいえ、そのどちらも本気と呼べる本気を出す様な戦いではなかった。


だが、当然ながら二人の男女はイシュドと同じく三次職にに転職しており、イシュドの推察通りレベルは一回り上。

色んな意味で頭がおかしいイシュドと言えど、本気を出さなければ十分負けてしまう。


「ほっほっほ。すまんな、イシュド君。今日はそういった理由で呼んだ訳じゃないんだ」


「……ちぇ~~~~。そうじゃないんすか?」


「ステラやエリヴェラとの戦いだけでは、やはり不満だったかな」


「楽しいっちゃ楽しいっすよ。ただ、それでも遠慮する必要がない戦いを出来るわけじゃないんで」


ロブストから、そういう理由で呼んだ訳ではない……そう言われても、未だ奥の二人をロックオンしているイシュド。


対して、二人ともイシュドがどういった態度を、対応を取ろうとも基本的に手を出してはいけないとロブストから伝えられていた。

故に、二度も鋭い視線を飛ばしたが、一応物理的にどうこうするつもりはなかった。


(あれが……学生の放つ、戦意なのか!!)


だからこそ、イシュドが戦意と狂気をミックスした最悪の圧を返されても……なんとか、本当になんとかアイテムバッグから武器を取り出そうとせずに済んだ。


「ふふ、それもそうだな。さて、本題に入るのだが、せっかく君たちフラベルト学園

の精鋭がわが校に来てくれたのだ。イシュド君たちとの訓練というのも非常にエリヴェラたちの為になると思うが……やはり、外に出て実戦を行うのも良い経験だとは思わんか」


「……つまり、俺らがエリヴェラと一緒に依頼を受けたらどうなんだっていう提案か」


特別、おかしな提案ではない。


イシュドとしても、訓練を軽視するわけではないが、実戦でこそ人間は大きく飛躍できると思っている。


だが……イシュドからすれば、場所が場所であった。


「ふ~~~~~~ん…………ロブストさんさ、はいそうですかってこっちが頷くと思ってるんすか?」


シドウ、アリンダはガルフたちの傍にいてほしいと頼み、今この場にフラベルト学園側の人間は、イシュドしかいない。


自分が……ガルフたちの命を預かっている。

なんて大袈裟、とは思っていないイシュド。

ただの戦闘であれば、己の全てを出し切り、戦えば良い。

イシュドにとって、それは超超超得意分野である。


だが、誰かを守ることは……あまり得意ではない。

故に……相手にどう思われようとも、慎重に考えなければならない。


「それは、儂たちが君たちを亡き者にする……そう考えてると、言いたいのかな」


「もしそのつもりなら、そもそも俺らに対して交流会でもしませんかって提案しねぇだろ」


疑うべき候補ではあるが、仮に……本当に誰かの手がイシュドたちに伸びれば、真っ先に疑われるのはアンジェーロ学園の上層部である。


そして……ただ、戦いの中で最後まで戦い抜き、死んだのであれば……レグラ家の者たちは、イシュドに……そして最後にイシュドと戦った者に、称賛を送る。


特に親交がある者が個人的に仇討ちを行う可能性はあれど、レグラ家そのものが動くことはない。

しかし、そうじゃないケースでイシュドが死んだ場合……狂気の戦士たちが、一斉に動いてもおかしくない。


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