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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第323話 断られることが多い?

「へぇ~~~、意外だな」


「そうか?」


「そりゃそうだろ。イシュドなら、爵位なんざクソ下らねぇって言いそうじゃん」


イシュドも一応辺境伯の令息ではあるが、この場にそれを否定する人物は誰もいなかった。


「はっはっは!! 確かに、うちの領地なら基本的に役に立たねぇ、クソ下らねぇものだろうな。でも、ガルフはこれから先、騎士として生きるのは決まってたとしても、どういった人生を送るかは解らねぇだろ」


実際のところ……イシュドは将来的に、ガルフが実家に来てくれたらなとは思っている。

加えて、イシュドは姉や従姉妹たちから、是非とも夏休みに来た男面子たちを、将来的にうちに連れてきて欲しいと頼まれていた。


イシュドの個人的な思いと、イシュドの姉や従姉妹たちの利害は一応合致していた。

ただ……イシュドとしては、ガルフの事を友人だと……親友だと思っている。

だからこそ、あまり自分の考えや言葉でガルフの今後の人生を縛りたくない。


故に、爵位という権力は、ガルフの今後の人生次第で役立つと判断した。


「それに、この先ガルフがどこぞの貴族令嬢に惚れたりするかもしれねぇだろ」


「い、いや、そんな事は」


「あり得ないって思ってるかもしれねぇけど、これから先、人生まだまだこれからだ。騎士になりゃあ、関わる機会も増えるだろうし、俺は絶対にあり得ねぇとは思わないぜ」


イシュドの言葉に、貴族令息である面子、全員が頷いて同意した。


「まぁ、イシュドの言う通りその可能性はあるんじゃねぇの。女性騎士の中にも貴族令嬢はちょいちょいいるしな」


「もしかしたら、女性騎士ではなく女性魔導士に一目惚れするかもしれないよ、ガルフ」


平民ではない女性に恋をする……騎士の道に進もうとしているガルフは、現時点で既に貴族令嬢と関われる立場である。


学園には多くの貴族令嬢であり、ガルフが激闘祭トーナメントで好戦績を叩きだし、普段からイシュドやフィリップだけではなく、ミシェラやイブキ、クリスティールにアドレアスといった面々と関わっているということもあり、でも平民だから……といった偏見はかなり薄れていた。


それもあり、今後の関わり次第では、本当にあり得る話である。


「……仮にそうなった場合、騎士以上の爵位を有していれば、話しはスムーズにいくと思うぞ」


「ヨセフの言う通り、相手の家と揉めることなく円満に話を進められるだろう。加えて、平民という立場から男爵、子爵となれば実際にその爵位以上の立場として見られる」


簡単に言ってしまうと、惚れた相手が伯爵家や辺境伯……ギリギリ侯爵家の令嬢であっても、立場的に釣り合わないことはない。


「って訳だ。だから、将来的に爵位を貰えるってなれば、貰っておいて損はないと思うぜ」


「…………爵位があれば、理不尽からも人を守れるように、なるのかな」


「ん? ……あぁ~~~~、はいはい、なるほどな。まぁ~~、そうだなぁ……そこに関しちゃあ、アドレアスたち王子様に、個人が無理せずとも大丈夫な様に頑張ってもらえたいってところか?」


イシュドはこれまで領地内から基本的に出たことがなかったからこそ、外で起こっているあれこれに関してあまり詳しくない。


だが、学園に入学してから、悪い意味で貴族らしい貴族と出会い、やっぱり自分の想像は間違ってなかったと確信。


「耳が痛いね……それは、僕たち王族にとって永遠の課題だね」


実際のところ、血統だけは本物のバカが馬鹿なことを行っている件は珍しくない。

だからこそ、ガルフはほんの少しだけ爵位に興味を示した。


「にしても、本当に男爵の爵位を貰って……更に功績を積み重ねて子爵まで上がったら、マジで令嬢たちが放っておかねぇだろうな」


「それは……やっぱり、個人が子爵になるから?」


「おぅ。子爵の令息と、本人が子爵の爵位を持ってるのとでは、マジで立場が違うからな」


「下手すれば、フィリップより上の立場になるんか?」


「あぁ~~~~……アドレアス、そこら辺はどうなるんだ?」


「そうだね…………うん、立場や接し方を弁えた方が良い相手、になるかな」


「なっはっは!!! だったら、ガルフさん……もしくは、ガルフ殿って呼ばねぇとだな」


「……物凄くこそばゆいから、仮にそうなったとしても、今まで通り呼び捨てで呼んで」


ガルフからすれば、本当に自身の立場が変わってしまっても、フィリップからそう呼ばれるのイメージしただけで変な鳥肌が立ってしまう。


(にしても、イシュド君たち……本当にガルフ君がそうなるだろうって感じで話してるな……いや、でもそうか。ヨセフやローザと同じ歳で、レオナ相手にあれだけ戦えるんだもんな……諸々の事情を考えれば、逆に必然なのかもしれないな)


平民が爵位を得て貴族になるというのは、平民たちにとって一種の憧れかもしれないが、それは本当に奇跡という表現が正しい流れ。


(つっても、良い事ばっかじゃ……ん~~~、ここまで貴族や王族の友人がいるなら、特に問題はないのか?)


平民が貴族になる方法は基本的に二つだけ。

民を救う功績を積み重ね、国から爵位を受けとる。


そして、貴族令息……もしくは貴族令嬢と結婚し、相手の家に入籍すること。


それが出来る者は、意外と多い。

強者がいる場所は、レグラ家の領地だけではない。


これまでの功績、本人の人格なども問題なければ、騎士……男爵にはなれる可能性がある強者が、それなりにいる。

だが、多くの者たちが爵位を受け取れると提案されても、断ることが殆ど。


何故なら……強くなればなるほど、必然的に権力者と関わる機会が増える。

そうなると、権力者たちの世界がどれほどめんどくさいか……これまで通り、力だけでどうにかするのか難しいかを体感する。


であれば、現在自分がいるコミュニティだけの権力があれば、それで良いと考える。


「とりま、マジで頭の片隅に置いといて良いと思うぜ。これから嫌というほど強い奴と戦うから、必然的にその機会も巡ってくるだろうからな」


「……本当にそうなったら、その時にまたアドバイスとか貰っても良いかな」


「はっはっは!! 勿論任せとけって! いくらでもアドバイスするぜ、ガルフ」


親友に頼られて悪い気はせず、ノリノリのイシュド。


ただ、フィリップたちはイシュドが割と理知的な考え方が出来るのは知ってる一方、本当の意味での貴族的な常識を持ってるのか怪しいため、物凄く不安を感じた。


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