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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第290話 気が緩んでいる証拠

馬車で運ばれてきたイシュドたちは、正面から入る……のではなく、あまり生徒たちがうろつかない場所からアンジェーロ学園の中へと入った。


「昨日ぶりですね」


「だな。んで、わざわざ周りに学生たちがいない場所から入ったのは、ステラたち以外の学生と遭遇しねぇためか?」


「お恥ずかしながら、その通りです。先日の結果などはまだ広まっていませんが、その……ちょっと宗教関連になると、白熱してしまう生徒が多いので」


「なるほどな」


宗教に熱心だからといって、模範的な……世間一般で言う優秀な生徒とは限らない。


「何か言われれば、あなたが挑発するからでしょうね」


「はっはっは!!! 言うじゃねぇかデカパイ。でもな、陰でこそこそ言うなら、挑発されたり煽られる覚悟は持たないとな~~~」


「……本当に、変なところで頭が回りますわね」


挑発、煽られても乗ってこない。

本人に圧倒的な実力と権力があるのであれば、クールな受け流しと捉えられる可能性はある。


ただ、それがなく……挑発、煽った側の人間がイシュドの様に非常に不遜でありながら、同時に実力を持っている人間となれば、イシュドからだけではなく、周囲にいた者たちからも、あいつは逃げたのだと判断されてしまう。


そうなった場合、陰口だけで済む話ではなくなり、臆病者のレッテルを貼られるか……実際に戦い、ボコボコのズタボロ雑巾にされるからの二択を選ばなくてはならない。


「そういえば、イシュドは昨日神に関してはいると思うって言ってたけど、宗教自体に関してはどう思ってたんだ?」


「「「「「……」」」」」


フィリップがイシュドに問うた内容は、それ自体は特に変哲もない質問ではあるが、ステラたちの中に緊張が走った。


「宗教ねぇ…………俺は興味ねぇけど、人によっちゃ、既にそれが心の拠り所になってる奴らもいるんだろ? それを考えっと、必要ねぇとは言えねぇだろうな…………つっても、あくまで自分を見守っててくれってスタンスでいないと、後で痛い目に合うだろうな」


「なんでこんなに熱心に信仰してるのに、って見返りを求めたらアウトってことか」


「個人的な感想ではあるけどな。だって、神がどういう思考をしてるのかなんて知らないけど、ただ熱心に信仰してる……信仰だけしてる人間を応援したいって思うかって話だ」


そもそも、イシュドも一応神はいるとは思っているものの、会ったことも声を聞いたこともない。


故に絶対に存在はしているという保証は全く出来ないが、少なくとも……仮に本当に存在しているのであれば、縋るだけの人間に力を貸すことはない。

それがイシュドの見解であった。


「……あなたって、本当にそういうところはこう……真面目というか、一般常識を持っていると言うか」


「デカパイ、マジで俺のことなんだと思ってんだよ。つか、逆に俺が熱心に神に祈るだけのタイプに見えんのか?」


「…………そうでしたわね。あなたは逆に中指を立てながら、もし戦いの邪魔をするならぶっ殺すぞと、平気で口にするでしょうね」


「なっはっは!!! 解ってんじゃねぇか、デカパイ。つか、困った時に神頼みなんぞ、気が緩んでる証拠だっての」


「「ッ」」


イシュドの後半の言葉に、大和出身であるイブキとシドウが反応した。


「イシュド。もしかしてですが……大和の、複製された書物などを読んだことが、ありますか?」


「??? いや、大和の事は好きだけど、書物とかに関しては呼んでないけど……なんでだ?」


「その……先程口にした困った時に神頼みなんぞ、気が緩んでる証拠というのは、大和では子供から大人まで、老若男女問わず名を知っている大剣豪の言葉でもあるので」


「サラッと同じことを口にするつもりだから、俺もびっくりしたよ。まっ、やっぱりイシュドもかの大剣豪と同じ高みまで登れる可能性があるってことだね」


実際に、イシュドが口にした「困った時に神頼みなんぞ、気が緩んでる証拠」といった言葉は、その大剣豪が自ら記した伝記に記されていた。


シドウは相変わらずイシュドを少しオーバーに褒めるが、妹であるイブキも兄がイシュドを褒め過ぎているとは思わなかった。


「褒めても何も出ないっすよ、シドウ先生。俺的には、環境に恵まれてるってのはあると思うっすけど、ここまで強くなった自分の力を、他の誰かのお陰って言われるのが気に食わないっすからね」


「ふっふっふ、俺はとても良い考えだと思うよ。イシュドが持つ実力も気迫も、これまで君が積み重ねてきた鍛錬や実戦、乗り越えてきた修羅場がなければ身に付かなかったものだからね」


「……………………イシュドよ、一つ質問があるのだが良いだろうか」


訓練場まであと少しといったところで、初めてイシュドに声を掛けたパオロ。


「? 良いっすよ。どんな質問っすか」


「…………イシュドは、Aランクのモンスターに、勝利したことが、あるのか」


「あるっすよ」


あっさりと「ある」と答えたイシュド。

ヨセフたちはその回答に頭痛を感じた。


さすがにそれはないだろうと、嘘を付くなと叫びたい自分がいるものの、目の前の異常なバーサーカーの実力は、先日嫌と言う程解らせられた。


それもあって、未だイシュドに対して苦手意識がある組みは「こいつはいったい何なんだ」と、理解に苦しむ。


「そうか……それが、修羅場の一つという訳か」


「そうっすね~。やっぱ、初めて戦った時は普通にあと一歩で死にかけたんで、マジの修羅場だったっすね」


子供の頃から色々とおかしいイシュドは、最低ランクのモンスターから、Cランクモンスターまではそこまで苦戦することなく討伐に成功してきた。


勿論初めてモンスターを討伐した時は思いっきり朝食をリバースしたりなど、可愛らしいところもあったが、本人の努力と職業の補正もあり、順調にEランク、Dランク、Cランクのモンスターを討伐していったが、それ以降は苦戦する戦いが増え……複数のBランクにモンスター囲まれた時や、Aランクモンスターと遭遇した際に死の危機を感じたのは一度や二度ではない。


「……イシュドは、そういう時こそ、笑ってたんだろうね」


「良く解ってんじゃねぇか、ガルフ。そこら辺は人によると思うけど、俺は無意識に笑っちまってるな」


からっと笑いながら語るイシュドを見て、パオロたち一堂は再度、目の前の男が狂戦士なのだと認識させられ……これから訓練が始まることを思い出し、ブルリと震えた。


それが恐怖なのか、それとも武者震いなのか……それは本人達にしか解らない。

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