第8話:梅干
今回から前書きではキャラ紹介したいと思います。
康太
頭脳:S 身体能力:A 武器:M16
特徴:星野討伐班を仕切るリーダー。見た目は爽やか中学生。冷静沈着であり、班員に的確な指示を出すことができる。仲間思いの性格。
俊弥はまだ動けないままだった。拳銃を持ってくるのを忘れ、助けたくても助けることが出来ない。そんな歯がゆい重いをしていると、ついに来てしまった。ライスヒューマンが女性を襲う。それとほぼ同時に和司と和磨が俊弥の元に駆けつけた。女性は喉元を噛み付かれ、その場に倒れてしまった。早く助けないとあの人死ぬぞと思った和司は、俊弥に拳銃を二丁渡し、すぐに構えるように言った。その時、女性が急に立ち上がった。女性は顔中が白くなり頭の形が三角になっていった。三人は一瞬動くことさえできなかった。
「来るぞ」
和磨のその声で金縛りが解けた。和司は女性を襲ったライスヒューマンに向かっていった。すぐにライスヒューマンの懐に潜り込み頭の真ん中に向かって銃弾を打ち込む。ライスヒューマンは赤い液体を噴出しながら倒れた。まず一体。俊弥は和司が倒したのを見た後、もう一体に目をやる。
「い、いない」
和司の戦いに目を奪われていた俊弥はもう一体のライスヒューマンを見失っていた。
「どこだ」
俊弥は自分の大声で後ろの物音に気付かなかった。そしてライスヒューマンは俊弥に飛び掛ってきた。俊弥の目にはスローモーションで映っていた。人間死ぬときはこんな感じか、と思いながら襲ってくるライスヒューマンをじっと見続ける。
「俊弥!伏せろー!」
和磨の大声が耳に響いてくる。俊弥はさっと地面に伏せた。和磨は攻撃してくるライスヒューマンにカウンターの要領で顔面を殴った。
「なめんな」
メリケンサックを装備した和磨の拳はライスヒューマンの首から上を粉砕するほどの威力だった。米粒が周囲に飛び散る。
「よかった~」
二人から離れた場所から和司は安堵の息を吐く。和磨はライスヒューマンの死体から赤い物体を取り出していた。
「何だこれ」
俊弥と二人で臭いを嗅いだ。紫蘇の香りが鼻の奥までやってきた。
「梅干か」
和磨はそう言って、俊弥と和司と一緒に車に戻っていった。
この時、一人の男がライスヒューマンの死体に立っていた。
「よくここまで成長したもんだ」
そう呟き男はその場を去った。
「遅い」
車で待っている四人のいらいらはピークに達していた。
「あのゴリラは何をやってんだ」
「いくらなんでも長すぎるだろ」
「星野殺す前に奴から殺すか」
各自文句を吐いている。
「和司も何しに付いて行ったんだよ」
こんな最悪のムードの中、和司達は車に戻ってきた。多少の遅れは許してもらえると思っていた三人はこの空気に戸惑ってしまった。
「待ち過ぎて腰痛いな~」
わざと聞こえるように言ってくる。
「ごめん、ごめん」
俊弥は大きい声で言うと、そのまま強引に車の座席に座り、和磨はすぐに車を進ませた。
重い雰囲気が長く続き誰も口を開こうとしなかった。ここで和司はさっきあったことを言うことにした。ライスヒューマンに噛まれるとライスヒューマンになること、頭の真ん中にある梅干を潰すと死ぬことの二点を話した。この話を聞いてみんなはさらに静かになった。もう名古屋まで辿り着いてしまった。あと少しで長野、そこを過ぎたら新潟まで行ってしまう。そこで星野を・・・
星野のいる研究所では、謎の男二人がいた。二人はワインを片手にモニターを見ていた。
「感染率15%か」
「まぁ、15%を超えると急に凶暴性が増すから、二日もあれば最低でも半分はライスヒューマンになるからな」
「でも例の計画は90%になったらやるんでしょう」
「ああ、その時が楽しみだな」
二人の不気味な笑い声はいつまでも響いていた。
時計の針は午後七時をちょうど指していた。
「今日はここらへんにしておくか」
康太がそう言うと、和磨は車を停め、他のみんなは車を降り野宿の準備を始めてた。車から少し離れたところに四方火を焚き、ライスヒューマン対策を取った。その後、おにぎりなどを食べ終え、明日の計画や準備をすることにした。