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第7話:先は長い

「Rウイルス?」

俊弥が聞き返す。

「その記事はもう削除されてたんだけどさ、ライスヒューマンとRウイルスは繋がってると思うんだよな」

ノートパソコンを開きながら和司は言う。

「じゃあさ、ライスヒューマンが最初に目撃された新潟に行こうぜ。そこにRウイルスの手がかりがあるかもしれないしさ」

亮太の意見にみんな賛成だった。

「どうやって行く」

和磨が聞いてくる。

「東名で名古屋まで行ってそこから中央自動車道でいけば、かなり早く着くと思うよ」

和司がすぐに答える。

「でも、武器は買っていかないと駄目だろ。和司の持ってる拳銃は二丁しかないんだぞ」

康太が指摘する。それもそうだと和磨は頷き、車を市街地へと走らせた。周りの車をどんどん抜かしている。ちょっと飛ばし過ぎだろとリョスケは思いスピードメーターを確認した。

「90kmかよ」

スピードメーターは90kmを指していた。リョスケはかなり驚いた。事故を起こすのではないかと思ったが、和磨は涼しい顔しながら運転している。車を進めるにつれて、抜かす車の台数が少なくなっている。

「危ないやつだな」

そう呟きながらみんなの顔を見ると表情が険しくなっていることに気づく。視線はみんな窓の外を向いている。

「市街地に近づいていっているのに、車の数が減っているね」

重い空気の中、亮太が口を開いた。

「浜松にもライスヒューマンの手が来たってわけか」

冷静な口調でこうちゃんが淡々と言った時、康太は前方に煙が上がっていることに気がついた。助手席に座っている康太は目を細めた。

「事故か」

最後列に座る和司と亮太と俊弥が声を合わせて聞く。

「いや、違う。ライスヒューマンだ」

康太が言い終えると和司はエナメルバッグから拳銃を二丁取り出し、二列目に座っているリョスケとこうちゃんに渡した。そして、二人は窓から上半身を乗り出しライスヒューマンに発砲した。撃たれたライスヒューマンは、その場に倒れたがすぐに起き上がり、車に向かってきた。こうちゃんは銃弾のことを考えて撃つのをやめたが、リョスケは撃ち続けた。リョスケに撃たれたライスヒューマンの中に一体だけ、赤い液体と種のような物が銃弾が貫通した部分から出てきた。それだけは、しばらく経っても起き上がらなかった。

「あれは一体なんだったんだ」

リョスケが不思議がる。

「もう銃弾がほとんど無い。一旦闇市まで逃げよう」

亮太がそう言うと、和磨はアクセルを思いっきり踏み込んだ。

「どかねぇとひき殺すぞ~!」

和磨は大声を上げ、ライスヒューマンしかいない道路を疾走していった。

三十分ぐらい走ると康太達は暗い路地に入っていった。

「和司あとどれくらい?」

俊弥が聞いてくる。

「あとちょっと」

和司はクレジットカードを出しながらそう答えた。それから一分も経たない内に闇市に到着した。

「うわ~いっぱいあるなぁ」

そこにはいろいろな種類の武器が一つずつ並べられていた。

「これなんかカッコいいよ」

アサルトライフル「M16」を構える康太が目を輝かしている。各自、使いたい武器を手に取っていく。和司はスナイパーライフル「M24SWS」、こうちゃんは警棒、「AR-18」、和磨はメリケンサック、リョスケはショットガン「モスバーグM590」、俊弥は拳銃「ワルサーP99」、亮太は拳銃「ベレッタM92」を取り、皆試し撃ちを始めていた。試し撃ちを終えた康太達は勘定を払いにレジに行った。

「俺が払いに行くからみんな車に戻っていいよ」

和司がそう言うと、みんなライフルや拳銃をレジに置き車に戻って行った。

「合計で七十三万九千八〇〇円になります」

レジにいる商人がそう言うと、和司は懐から拳銃を取り出し商人に銃口を向けて「代金はこれで勘弁してくれ」と言い、ためらい無く引き金を引いた。バンと乾いた銃声が空気中に響く。

「バイバイ」

そう言い残して和司は店を後にした。車に戻ると、もう出発してもいい状態になっていた。

「おせ~ぞ」

こうちゃんに注意され、すぐに車に乗り込んだ。

「もう午後四時か。行けるところまで行こう」

康太がみんなに言うと和磨は車を走らせた。

少し走らせたところでリョスケが口を開いた。

「ライスヒューマンから出てきた赤い液体って一体何だったんだろうな」

「ああ、あれか俺も考えていたけど、意味不明だよ」

俊弥がそう言うと他の人はゴリラじゃわかんね~よと思い、声を出さずに笑った。

「でもあれだけは起き上がってこなかったな」

「なんか弱点って感じじゃね?」

こうちゃんと和磨も話に入ってくる。

「康太君はどう思う?」

亮太が聞くと、

「分かってるのは真ん中が弱点って事ぐらいかな。次に戦うときに調べようと考えているよ」

そんな会話を十分ぐらい続けると、静岡県から愛知県に入っていた。

「まだ愛知か先は長いな~」

「そうだね」

と、またみんなで話し出す。そんな中、俊弥が苦しそうに

「和磨どっかで止まってくれ~小便漏れそうなんだ」

と言う。声からしてこれはかなりやばそうだ。康太は近くに雑木林を見つけそこに止まるように和磨に指示を出した。

「漏れる、漏れる」

俊弥がすぐに車を出た。

「ちょっと待て」

和司が俊弥を呼んだが俊弥はそのまま行ってしまった。

「拳銃ぐらい持ってけよ」

文句を言う和司に、

「追いかけて行ってやれよ」

こうちゃんがそう言う。「面倒だな~」と言いながらも和磨と一緒に俊弥の後を追った。

「あ~死ぬかと思った」

俊弥が小便をしていると「キャーー」とすぐ近くから女性の悲鳴が聞こえてきた。俊弥はすぐに声の聞こえた方に視線を向ける。一瞬息が詰まった。そして声を震わせながら「ラ、ライスヒューマン」と言った。

女性の悲鳴は和司達にも届いていた。

「俊弥が危ない急ごう」

そう言って二人は急いで俊弥の元へ向かった。



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