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第4話:裏がある

宗磨の行った通り新潟のライスヒューマンはついに人間を襲い始めた。日に日に新潟のライスヒューマンの数は増えていき、ライスヒューマンの数が新潟の全人口の半分に当たる百二十万体を越えた時、ようやく政府が立ち上がった。内閣総理大臣の鳩山は新潟を完全封鎖し、残っている人々をまとめてミサイルで消し去る計画を立てた。そして、一日で新潟を完全封鎖し、鳩山直々にミサイルのボタンを押し、新潟全土を爆破した。そして、すぐに、全ての番組でニュースを流し、「ライス・ハザード」が終わったことを全国民に告げた。

だが、日本各地に潜伏している恐れがあるので臨時国会で一時的に銃刀法を廃止することにした。

これでライス・ハザードは終わったはずなのに康太は一人考えていた。

「この事件まだ裏がありそうなんだよな~」

この康太の考えは当たっていた。日本中のほとんどの人がライス・ハザードは終わったと思っていた。だが、ライスヒューマンのほとんどは生き残っていて日本各地に散らばっていた。このことを知っているのは、ある男達だけだった。

翌日、新潟に死体処理班が派遣され、多くのマスコミも新潟を訪れていた。だが、死体のほとんどは人間だった。このとき焼け野原に立っていた人々は

「奴等の死体はどこへ消えたんだ」

「ま、まさかライスヒューマンはまだ生きているのか」

不安の声が上がる。そしてこの日、日本中でライスヒューマンが確認され、また臨時国会を開くことになった。そして、翌日の午前九時に国外へ非難するよう放送を流すことを決意した。

「あ~眠い」

学校に来てもみんなのまぶたは重かった。この日の学校は三年三組のみんなはいつもと変わらないはずだった。袴田が教室に入ってきときには星野、宗磨、衛、山本以外は席に着いていた。そして、いつもの様に朝の会が終わり、一時間目の英語の授業に入っていた。みんないつもの様にやる気が無い。

ヅラの授業だからしょうがないか。八時五十八分、この時鳩山は既にマイクの前に立っていた。


このとき研究所で星野は一人考えていた。

「誰か助けに来てくれるだろうか」

冷静に考えて捕まえられてから二週間は経っている。そろそろ警察が見つけてくれるはずだ。そう思いながら星野は浅い眠りに就いた。


「あ、やべ」

和司は自分のひじで消しゴムを落としてしまった。それが転がって鈴木純(以降、純)の机の所までいってしまった。

「純君ちょっと消しゴム取って」

そう言おうとした時、ウゥゥゥゥーーーーと大音量のサイレンが鳴り、みんな耳をふさいだ。

「うっせ~な~」

クラスのみんなが口々に文句を言う。ま、俺としては授業が潰れてラッキーなんだけど。

そんなことを思っているとサイレンが鳴り止み放送が流れ始めた。

「国民の皆様、内閣総理大臣の鳩山です。皆様には聞いてもらわなければならないことがあります。今、日本中にはどの国でも発見されていない新種のウイルスが極めて少ない割合ではありますが空気中に混じっております。このウイルスは人体には大変有害なものであります。そこで国民の皆様には一週間後までに外国に移住していただきたいのです。パスポートは政府が用意してあります。また持ち物は必要最低限度な物以外は持ってこないでください。繰り返し…」

この放送が終わる前にはもう教室が静まり返っていた。

「おい、それって一体どういうことだよ」

「ふざけんなよ、クソ鳩山」

みんな怒りと不安で声が震えている。そして日本を離れなければならないということがみんなをパニックにさせている。そんな中、校内放送が流れた。

「今あった放送の通りです。もう帰宅して下さい。以上」

放送が終わるとヅラは教室を出て行き、みんな帰る準備をし始めていた。


そのころ、国会では鳩山と数人の大臣が揉めていた。

「鳩山さん、あんたなんで嘘のことを言ったんだ」

「ライスヒューマンが生きていることがばれたら俺の信用にかかわる。本当のことを言ったら支持率が下がるだろ」

「あんた国より自分のことの方が大事か」

「ああ、そうだ。お前らみたいな下等生物と話すことは無い。俺は海外へ逃げる」

そう言って鳩山は部屋から出て行った。残っていた大臣は呆れて言葉を失っていた。


「ウイルスなんてニュースでもラジオでも聞いたこと無いぞ」

女子の一部が帰り始めた中、康太は考えていた。

「これは嘘なんじゃないか。でも何故嘘をついたんだ」

分かりそうで分からない。そんな時、こうちゃんが呟いた。

「本当はライス・ハザードのせいじゃないか」

「そうか、それだ」

康太は大声を上げた。

「ありがとう、こうちゃん。おい男子聞いてくれ」

男子は全員康太の周りに集まった。そして康太は今回の放送が嘘であり、本当はライス・ハザードであることを伝えた。

「康太君それって本当?」

「ああ、多分間違いないと思う」

「みんなこれからどうする?」

純がそう尋ねるとみんな黙ってしまった。そんな沈黙を破ったのは康太だった。

「みんなとりあえず三日分の食料を持って夕方の五時にグラウンドに来てくれ。これからのことはそのときに考えよう」

みんな康太の意見に頷き、三年三組の教室を後にした。


あの放送は星野のいる研究所にも届いていた。

「なんだよ、それ」

怒鳴るように言ったはずなのに声に力が入らない。それもそのはず、捕まった日からなにも食べていないのだから。

「やべぇ、死ぬ」

そう口にした直後、扉がゆっくりと開いた。顔を上げると、防護服で身を包んだ人間が食事を持って立っていた。体格からして男だろうと星野は考えた。その男は食事を星野の膝に置くと黙って部屋を出て行った。

「毒でも入ってんのか」

そう疑っても空腹には耐え切れずに、むさぼるようにしておにぎりを三個食べた。









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