第3話:君が望んだこと
宗磨と衛が学校に来なくなった日、星野はようやく目を覚ました。
「ここはどこだ?」
まだ意識がしっかりしない。とりあえず立って確認しようとすると初めて、体と足が鎖で縛られていることに気づいた。体全体に力を入れると後頭部が少し痛む。
「けっこー強く殴られたな」
手は自由に動かせるので頭を触るとたんこぶができていることに気づく。コツコツコツと誰かが近づいてきている。星野は足音に耳を澄ました。足音から判断して二人近づいてきていると星野は判断した。キィ〜と扉を開けて入ってくる。
「おはよう星野」
この声はどこかで聞いたことのある声だった。誰だ、思い出せ、よく考えろと星野は自分に言い聞かせていた。
「もしかして宗磨と衛か」
「大当たり〜」
ふざけた声で衛が言うと
「ふざけんなよ、早く鎖を解け」
星野は怒りで声が震える。
「Oh〜怖〜い」
衛がまた挑発するかのように言うと
「もうよせ」
宗磨が止めに入る。そして、
「星野、君の願いが叶う時が来たんだ」
「何」
「これから新潟県のライスヒューマンは人間を襲い始める。襲われた人間はウイルスにより、ライスヒューマンになり、また人間を襲う。どうだ、素晴らしいだろ」
「ふざけんな!」
星野が言い返す。
「何故だ。君が望んだことだろ」星野は黙ることしかできなかった。
「まぁ、そこでゆっくり日本中の人間がおにぎり頭になるのを見ていてくれ」
そう言い残して二人は部屋に出た。その後、星野はずっと悔やみ続けた。それから一時間くらいたったのだろうか。
「うわ〜やめろ〜」
「ギャー」
突然二人の悲鳴が聞こえてきた。もしかして二人ともライスヒューマンに・・・・
星野の背中に嫌な汗が流れた。次は自分だと考えると、血の気が引く。だが、こっちには何も来なかった。別のところへ行ったのだろう。星野は安堵の息を吐く。
「これからどうすればいいんだ」
星野は一人研究所に取り残されてしまった。