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第16話:再会

六人が研究所に入ってきた時、実験が始まろうとしていた。

「うっ」

急にライトが光り星野は目を覚ました。その直後に謎の男が二人入ってきた。顔はよく分からない。

「コメシス計画を開始する」

モニターのRウイルス感染率は90%ちょうどだった。

「おい、やめろ」

必死に抵抗する星野。だが星野は右腕を掴まれた。

「Rウイルスを注射します」

二の腕に一瞬痛みを感じた。注射器の中の液体が自分の血管の中に入っていくのが見えた。

「これで俺は人間じゃなくなってしまったのか」

弱々しくそう呟く。それと同時に、星野は多くの足音が近づいているのに気が付いた。懐かしい声も聞こえてくる。

「お友達のようだね」

男の一人が言った。

「星野~」

研究室に入ってきた足音。俺を見捨ててはいなかったのか。

「よくここまでたどり着いた」

「うるせーな、星野返せや」

男の一人に和磨が言い返す。男の顔はわからなかった。

「非常に残念だ。君達のような才ある人間を殺さなければならないとは」

男はそう言って白いスイッチを押した。天井から鉄の檻が下りてきた。檻の中にはライスドッグがいた。

「ただのライスドッグではない。ライオンの遺伝子を組み込んでより獰猛さを増したものだ。ここが君達の墓場だ」

二人はすぐに扉の向こうに消えていった。

「何体いやがるんだ」

ぱっと見では二十匹近くいた。二十匹もいては、六人ではとても太刀打ちできない。そして檻の扉が開きライスドッグが一斉に襲い掛かってきた。

「速い」

ライスドッグが檻から出たと思ったらもう目の前にいる。なんて速さだ。殺されると思った瞬間、目の前のライスドッグが倒れていった。

「な、何があった?」

ライスドッグを見ると梅干が貫かれている。一体、誰が助けてくれたんだ。全員、ライスドッグの死体が散らばるところに立つ男を見た。視線の先にはマシンガンを両手に持ち、いつもと変わらないポーカーフェイスで立つあの男がいた。

「や、山本」

緊急放送が流れた日から姿を消していた山本だった。みんなは山本のそばに行く。

「どこ行ってたんだ」

リョスケが聞く。

「そんなことは後でいい。早く星野を」

あの大人しい山本が(山本は休み時間常に一人で読書をしていた。)とみんな思いながら固定されている星野を解放した。

「みんな」

星野が笑みを浮かべる。だが亮太は銃口を星野に向けた。

「おい、星野。お前すでにRウイルスに感染しているんだろ。さっさと死ね」

みんな驚きで動くことすらできなかった。その時、山本の手が亮太の銃を包む。

「星野を殺すのはここを出てからでもいいだろ」

亮太は銃を降ろしたが星野を睨みつけた。

「早く出るぞ」

そう山本が言うと和磨と康太を先頭に出口を目指し歩いた。

この時星野はある疑念を抱いていた。みんなは自分を助ける為に来たのではない。自分を殺しに来たのだ。このまま一緒にいては確実に殺される。隙を見て逃げなくては。

しばらく通路を歩いていると突然、排気口の金網が外れた。全員が排気口を見る。だがしばらくしても何も出てこない。

「あせらせやがって」

和磨がそう言うと全員再び、歩き始めた。すぐに何かが排気口から現れた。だが誰もその存在には気が付かなかった。イーターがいるということには。

気配を殺したイーターは天井を移動し、康太達との距離を縮めていった。気配を殺している為誰も気が付かない。そして音も無く舌を伸ばし、山本の首に巻きつけた。山本は何かヌメっとした何かが自分の首に巻きついたのに気が付いた。だが気が付いたころにはもう遅く、イーターの方に引き寄せられていった。

誰も山本がいなくなったことに気が付かずに、そのまま通路を歩いていった。

山本は抵抗するが次第に力が抜けていった。

「み…みん…な…」

舌を握っていた両手がだらりと下がる。イーターは山本の死体をばらばらに食いちぎり、むさぼるようにして食べた。そして食べ終えると康太達の後を追った。山本は仲間のピンチを救い一人、この世を去っていった。

康太達は出口まで50m程のところまで来ていた。壁がコンクリートからガラスに変わった。和司はふと横を見た。ガラスには自分と仲間達の姿が映っていた。何かがおかしい。一人足りない。山本がいない。ここで和司は山本がいないことに初めて気が付いた。すぐに後ろを振り返った。和司の眼には窮地を救ってくれた山本の姿は無く、俊弥を殺したイーターの姿が映っていた。イーターの体には血が付いている。まさか、山本は死んだ・・・やばい、逃げないと死ぬ。

「みんな、走れ!」

和司は叫んだ。

「おい、急にどうしたんだよ」

リョスケが言う。

「イーターだ!イーターがすぐ後ろにいる!」

その声に全員が後ろを振り向く。イーターは天井に張り付き、舌をチロチロ出して獲物を狙っている。全員走り出した。それと同時にイーターも動き始めた。



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