第15話:友の死を乗り越えて
三人が車に戻ると車に残っていた亮太が異変に気が付いた。
「あれ、俊弥は」
三人は顔を見合わせ、康太が口を開いた。
「俊弥はイーターに噛まれてライスヒューマンになったから俺が殺した」
亮太と和磨、こうちゃんは言葉を失った。
「ごめん、俺がしっかりしていれば」
リョスケが窓の外を見ながら独り言のように言った。誰もリョスケを責めることはしなかった。車内は沈黙と悲しみに包まれていた。
「どこに行けばいいんだ」
運転席から和磨がみんなに聞いた。だが、誰も口を開こうとしない。そんな空気になっていた。
「洋館の研究室で日記を見つけた」
和司がそう言うと、みんな何も言わずに耳を傾けた。
「あの洋館でRウイルスの実験が行われていた」
一呼吸置いて和司は続けた。
「Rウイルスはあの洋館から漏れた。そして次の実験場は麁玉中の古墳の下。ターゲットは星野」
和司は言い終え軽く息を吐く。自分達の中学校で実験を行っていた事実に全員が驚いた。
「そんな近くでやっていたのか」
みんな、和司が日記を見たときと同じ反応を見せた。
「じゃあ、さっさと浜松へ戻って星野を殺そうぜ」
和磨は急にスピードを出し始めた。
「もし、星野がライスヒューマンになっていなかったら?」
亮太の質問にみんな口を揃えて答えた。
「助けるに決まってんじゃん」
大きなモニターにはRウイルスの感染率が表示されていた「感染率75%」
「明日には確実に感染率90%を超えるな」
「ああ、究極のライスヒューマン、コメシスの誕生だ」
星野はベッドの上に固定されていた。
この時、車の中では、和磨が一人運転を続けていた。
「これで明日の午前三時には麁玉中に着くことができるな」
そのまま走り続けるとついに、麁玉中に着くことができた。午前二時四十八分。街はまだ暗闇に包まれていた。
古墳の前に集まる六人の星野討伐班。だが、まだ入り口が見つかっていない。必死になって探しても見つかる気配がしない。
「おにぎり~」
そんな中、こうちゃんが叫ぶ。するとカチッと音がして入り口が現れた。
「おにぎりが暗号になっていたのか」
なんて緩いセキュリティだ。
「待ってろ、星野!」
六人が研究所に入っていく。その直後、一人の男が現れ、研究所に入っていった。