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第14話:日記


亮太

頭脳:C 身体能力:A 武器:ベレッタM92

特徴:医療担当。(ちなみに医療知識はほとんどが康太からの受け売りである。)ライスドッグ四匹同時に相手にして勝利するほどの能力。身体能力はこうちゃん、和磨に劣るが銃の技術でカバーしている。

「日記か」

表紙をめくってそうわかった。

「私は今日からある生物の研究を始める」

一ページ目にはそれしか書いていない。

「書いているのは誰だ」

表紙に戻り確認するが何も書いていなかった。裏表紙も同じだった。最初の数ページは仲間の研究者の紹介が書かれているだけだった。

「つまんねぇ~」

目に留まるようなところは何も無いと思っていた。だが二十ページ目くらいに興味深い物が書かれていた。「二〇〇九年四月六日 私は仲間と共に新たな生命を造 あげた」

「くそっ、汚れで少ししか読めない」

文句を言いながら和司は読み続けた。

「四月十四日 私 、の新た 生命 まず、ドーベルマン 注射 た」

「四月十五日 注 されたドー ルマン 、普通 犬より凶暴であっ 。試し 生肉 与え とむさぼる様 食べて た。米の食いつき 一番よ った」

「四月十 日 あの犬 、危険だ いうことで 毒 スで殺し 。死体 、焼却処分 た」

「五月七日 次の実 台は死刑囚 。ウイルスを注射 ると、悲鳴が聞 えた すぐに聞こ なくなった。代わり 凶暴な唸り声 聞こえ きた」

「五月八日 研 員の一人 噛まれ しまった。 噛 れた奴の姿 変わってき 。米、米とずっと叫んで る」

「五月十九日 ウ ルス 外へ漏れ 。ここ もう終わり 。次 実験場は浜 市立麁 中学校 古墳下」

「六月一日 次に実 を始 るのは十月 日 。ターゲットは、お ぎりに一番近い 、星野太希」

和司の日記をめくる手が止まった。

「まじかよ」

和司は手に持っていた日記を落としてしまった。

「こんなに近くでやっていたなんて」


このころ、康太とリョスケは俊弥の遺体のある衣装部屋の前に来ていた。

「開けるぞ」

康太はM16を構えながらゆっくりと扉を開けた。部屋の中央にはライスヒューマンになってしまった俊弥がいた。もうかつての面影は無い。米、米と唸り声を上げながら近づいてきた。二人は銃を構えながら後ろに下がっていく。

梅干を打ち抜けばいいだけなのに、二人は引き金を引けないでいた。

「どうしてこんな姿に…」

涙声で康太は洩らす。自分の手で仲間を殺すことができない。二人の脳裏には俊弥との思い出が甦った。ついにリョスケは手から銃を落としてしまう。いや、捨てたに近い。そして下がるのをやめてしまった。

「ごめん、俺のせいで」

一歩、また一歩近づいてくる俊弥にリョスケはそう言って瞳を閉じた。リョスケに飛び掛かる俊弥。康太はM16を構えるが引き金を引けない。

だがリョスケの目の前で俊弥の動きが止まった。まだ意思があるのか。

「友の死を乗り越えるんだ」

康太は静かに息を吐き、銃口を俊弥に向けた。

「ごめん、許してくれ」

ゆっくり引き金を引いた。発砲された銃弾は梅干を貫いた。顔から米粒が飛び散る。リョスケが瞳を開けた時には俊弥は床に倒れ、亡き人になっていた。

膝をつく康太。いつからいたのだろう。和司は何も言わずに二人の間を通って、洋館の外へ出て行った。洋館の外では三人の心を見透かしたように雨が降り出していた。

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