第11話:非道
こうちゃん
頭脳:C 身体能力:S 武器:特殊警棒、AR‐18
特徴:康太を支える副リーダー。銃を持っているが、戦闘はほとんど特殊警棒を使って行う。太鼓の達人が上手い。
翌日、一番早く目を覚ましたのは和磨だった。時刻五時三十分。和磨は毎朝の日課であるハレ晴れ(通称、ハルヒダンス)を踊るため、車を降りた。
「んー」
軽く伸びをし、周囲を見渡すとこうちゃんと亮太が倒れているのを発見した。
「おいっまじかよ」
急いで和磨は二人の脈を取った。よかった生きている。和磨は車に戻りみんなを起こす。康太とリョスケはすぐ起きたが、俊弥と和司は中々起きない。
「起きろ~」
「あと十分だけ~」
何を言っても起きてこない。和磨はメリケンサックを指にはめ始めた。
「ぶっ殺してやる!」
「ばかっ、車が壊れる」
リョスケが止めに入っている間に康太が
「和磨がキレたぞ」
その言葉に二人は反応しようやく車から出てきた。
「亮太とこうちゃんが倒れているんだ」
康太は本題に戻し、全員二人の元へ駆け寄る。
「おい、大丈夫か」
リョスケが話しかけても二人からの返事は来ない。
「とりあえず車に運ぼう」
康太の意見で二人を運んだ。リョスケ達はラジオを聞きながら、朝食をとることにした。ラジオはいつもと変わらずライス・ハザードのことばかりだ。まだメディアは動いている。
「最新ニュースが入りました」
別にどうでもいいことだろと思いながら、和司はおにぎりを食べ続けた。
「人間を襲うライスヒューマンの仲間、ライスドッグのことについてお送りいたします。ライスドッグはとても凶暴で、人を見るとすぐに飛び掛かってくるということです。ニュースは以上です」
「おい、今の聞いたか」
俊弥が聞かなくてもいいようなことを聞いてきた。
「当たり前だろ」
リョスケはおにぎりを食べながら答える。
「もしかして二人は昨日…」
和磨が洩らす。
「その可能性は十分にあると思うよ」
康太がそう言うと気まずい空気になった。
パソコンを取りに車に戻った和司は、ある物を発見する。
「おにぎりか」
車の近くに落ちていたおにぎりを手に取る。食べられているというより、かじられていると言った方が正しいな。もし、ライスドッグが食べたとしたなら・・・和司は笑いながら車からパソコンを取り出し、おにぎりに硫酸を入れた。それを化学兵器の入っている箱にしまった。
朝食を食べ終えた康太達は出発のため車に乗り込んだ。車内で和司はパソコンでライスドッグの画像を探していた。ライスヒューマンに会うことなく、二時間くらい車を走らせたところで亮太とこうちゃんは目を覚ました。
「大丈夫か」
リョスケと俊弥が聞くと、二人は軽く頷き、「昨日はやばかったよ。」と笑いながら言った。本当に大丈夫そうだ。
「二人は昨日何に襲われたんだ」
康太が真剣な顔で聞く。
「犬みてぇな奴だよ」
こうちゃんが答える。
「やっぱりそうか」
和司はそう呟き、パソコンの画像を二人に見せる。
「これだろ」
返事は聞かなくてもわかった。二人の顔をみれば。
その後、こうちゃんと亮太の話を聞いてライスドッグにも梅干があることを知った。そしてセブンイレブンで食べ物を盗むことにした。和司と康太、リョスケは車から降りてセブンイレブンに向かった。自動ドアを破壊し、店内に入ると一人の男がいた。
「ここは俺の場所だ」
そう言いながら、銃をこちらに向けている。
「震えているぜ」
和司は全く銃に怯えていない。そして自分の銃を構えた。
「出て行かねぇと撃つぞ」
そう言いながら後ずさっていく男。
「聞こえんなぁ」
和司は銃の引き金を引いた。銃弾が男の持っている銃を弾いた。そのとたん、男は命乞いをし始めた。
「頼む、命だけはーー」
「しょうがねぇえなぁ~」
和司がそう言うと、男に笑顔が戻った。それもつかの間
「助けてやらねぇ~よ」
和司は容赦なくその男を撃った。銃弾が心臓を貫く。和司は仰向けに倒れた男を蹴り飛ばし、食べたいおにぎりを袋にいれ、店を出て行った。康太とリョスケもおにぎりを袋に入れて店を出た。
「まさか、人殺したのか?」
車の中で俊弥が呟く。
「仕方ねぇだろ」
和司が言い返す。
「そんなことより、もうすぐ新潟だ」
亮太の言葉で緊張が車内全体に走る。
「星野」
リョスケが呟く。ついに新潟へ入っていった。この時、誰もあんなことが起こるなんて考えていなかった。