第10話:暗闇に潜む白い影
和磨
頭脳:B 身体能力:S 武器:メリケンサック
特徴:自動車の運転担当。野球部。持ち前の高い身体能力を生かし、接近戦を得意とする。右ストレートの威力はライスヒューマンの頭を粉々に破壊するほど。涼宮ハルヒが大好きなオタク。
「お~、やっと一時か」
欠伸をしながら時計を確認したリョスケは、こうちゃんを見張りの交代をするために起こしにいった。
「こうちゃん、起きてくれ~」
必死になって起こしても起きる気配が無い。
「起きろ!」
こうちゃんの耳元で大声を叫ぶ。さすがのこうちゃんもこれには目を覚ました。
「もう一時か~」
大きく伸びをするこうちゃん。それを見るとリョスケは車内で倒れるようにして眠りに就いた。見張りとなったこうちゃんは車の上に移動した。
「眠」
欠伸をしながらこうちゃんは見張りを始めた。
見張りを始めて一時間、つい、うとうとしていた時、雑木林の方からウゥゥウーと何か獣の唸り声がして目を覚ました。すぐに拳銃と警棒を構える。そして唸り声が聞こえた方向に懐中電灯を向ける。
「な、なんだあいつは」
そこにいたのは、頭が米粒だらけで目は血走り、歯茎が剥き出しになった毛の白いドーベルマンだった。一匹だけだと思っていたら、後ろから四匹ものドーベルマンが現れた。
「まじかよ」
すぐに先頭のドーベルマンの頭の真ん中を狙い銃弾を撃ち込む。
「よし」
梅干に命中し、早くも一匹を仕留めたが、他の四匹がいない。月明かりが差し込んでいる。この時、地面に映る影をこうちゃんは見逃さなかった。
「そこだ」
二発連続で打ち込むが、中々素早いため銃弾を外してしまった。この時を待っていたかのように一匹のドーベルマンが左から突っ込んできた。すぐに警棒で叩き落す。そしてドーベルマンとの距離をとるため後ろに下がる。
「ウゥギィャア」
いきなり右からドーベルマンが襲い掛かってきた。これは避けることしかできず尻餅をついてしまった。とっさに警棒を杖代わりにし、一気に立ち上がる。そして車に飛び掛かってくるドーベルマンに向かって行くが、ひざから崩れて倒れてしまった。すぐに起き上がろうとするが力が入らない。だんだん意識も薄れていく。
「みんな」
そう呟き、車を見ると車のドアが開き、おにぎりが数個宙に舞う。そしておにぎりに紛れながら火炎瓶がドーベルマンの間に投げられた。すごい爆発がドーベルマン二匹を木っ端微塵に吹き飛ばした。こうちゃんは吹き飛ばされ木に背中を打ちつける。土煙が上る中、車から誰か出てきた。
「りょ、亮太」
火炎瓶を投げつけたのは亮太だった。すぐに亮太は残りのドーベルマンを探す。一匹のドーベルマンが亮太に飛び掛かる。これを楽にかわし、頭をためらいなく拳銃で撃ち抜く。こうちゃんを見つけた亮太は、すぐに駆け寄る。この時、亮太は背後から襲いかかってくるドーベルマンに気づかなかった。
「うわー」
亮太の絶体絶命のピンチ、こうちゃんは残りの力を振り絞り、引き金を引いた。銃弾がドーベルマンの右足に当たり、体勢を崩した。そして亮太は残りの銃弾を全て撃ち込みドーベルマンを殺した。辺りを見回すともう日が昇り始めていた。
「しんど~」
二人は顔を見合わせ、その場で深い眠りに就いた。
「ライスドッグの攻撃力は強いですな~」
研究員の会話がコンクリートでできている部屋に響く。
「あと五十匹ずつ各都道府県に放してやれば、すぐに目標の感染率に達成するな」
「いよいよ、星野の野望実現だな」