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授業

「というのが、俺が入学した際にちょっとざわついた事の経緯だよ分ったかいエミリー君?」

「あんたって終始バカだな」

「なんとでも言いたまえ。お前をこの学校に入学させることが出来たのも間接的には俺のおかげなんだからな?感謝しろよクソが」

「やりたくない役職押し付けといてよく言うよ。利用させてもらいはするけど感謝はしねーかんな」

「はー図太くなっちゃってもう。最初見た時から可愛げないわ」


 現在俺とエミリー君は学園内の廊下をブラブラ歩いている。入学から1週間。入学式の際に制服がまだ出来ておらず適当な制服に近い色味の服を着てったが案の定浮いてしまいちょっとした騒動が学園で起きた。ま、なんか一人変な服装の奴がいると思ってみれば国の第一王子と分かれば騒動にもなるわな。

 一応学園側から許可は取ったんだが他からすりゃ立派な校則違反を国の未来がやってんだ。味方側が見りゃ不安材料だし、敵側から見りゃ交渉材料だわな。ま、そう切られたとしても一応証明書あるからなんとかなるかって思うのは楽観し過ぎ?


「それにしても綺麗でしたねロザリエさん。なんであんな美人さんがあんたの婚約者なんだ?」

「別にいいだろうが俺の婚約者でもよ?どっちからも婚約破棄は言い渡されてねぇんだからよ」

「王子って役職だから言い出しづらいって可能性は?」

「それはねぇ。ロザリエさんはそんな事で臆する女性(たま)じゃないし、不満たまってたら俺にすぐ言うから。昔俺がバカしてた時ロザリエさん俺にビンタかましたからな?」

「ちなみにいつの話です?」

「えーっと、たしか…………10年前かな?」

「いつの話だよ!さすがにもう性格変わっててもおかしくないだろ?」


 えー、そうかなぁ?そんな簡単に変わるかねぇ?


「なんで逆に変わる事に考えが行かないんだよ?やっぱりバカだなお前?」

「今更気付いた?アホだなお前」

「馬鹿が」

「アホが」


 しょうもない会話だな。この時点でお互い程度が低いってもんだな。争いは同レベルの間でしか起きない。真理だねぇ。


「何一人黄昏てんだよ?」

「別に。やっぱお前と俺って同じ穴の狢だねぇ?」

「むじな?なんだそれ?」

「辞書引け。俺と同レベルじゃねぇんだろ」

「あ!おい!」


 そう言い返して俺は教室に向かう。次の授業魔法学なんだよな、楽しみ。






「つまり、この陣の2段目のスペルの配列を先ほどの法則に乗っ取り変換することで、魔力の消費量は格段に抑えることが可能になります。まぁ、その弊害として出力は減ってしまいますが、その応用性は格段に跳ねあがります」


 なんで教壇(そこ)にいんのかなアルファ君?君年齢的に受ける側の人間だろ?


「そして、最近の研究ではこの魔法陣は再び注目され、どれだけ魔力が少ない人間でも使用することが可能になるかもしれないという事が分かってきました」


 あーそういや前、目ランランに輝かせてそんな話してたな?これが可能と分かれば平民と貴族の格差が埋まるだとかなんだとか?壮大すぎて俺には付いて行けんわ。

 というかそう考えるとあいつ自分の研究内容自信満々に話してるって事かよ?うーわさり気ない自慢話聞かされてる気分。


「えー、それではここで練習問題を挟みますか……そうですねでは……この魔法陣の足りない部分を補って正解を導き出してください。制限時間は10分。ではスタート」


 そう言って目の前になんか良く分からん魔法陣が書かれた羊皮紙が出てきた。所々空白だな。うん、チンプンカンプンでさっぱりだ……とりあえずここのスペルはこれであってるよな?


「…………なーミケ君?出来た?」

「ミジェロです。まぁ、初歩的な問題ですからね。そこまで時間かける必要はないかと」

「マージで?俺全然分かんねぇ」

「ほとんど空白じゃないですか?授業聞いてました?」

「オレ英語の成績はそこまでよくねぇんだよ。スペルの違いが細かすぎて俺には何が何だか訳が分からねぇ。なんだよaとαって!もうちょっと文字のバリエーション増やせよ!同じ世界線に存在しちゃダメな二人だろうがそいつら!」

「にしても違いますよその解答。そこのスペルyじゃなくてpです」

「あれ?そうなの?」


 くっそー、つい最近までは字も碌に読めなかったくせに今じゃ一番字が綺麗な奴に成りあがって!!俺もそうなりたい!!


「ううぅ……師匠、助けて」

「一応言っとくがお前も王子と同じ間違いしてるぞ」

「はっはー!どうしたどうしたエミリー君?!俺と一緒は嫌じゃなかったのか!?大好きかよ俺の事!!!」

「くっそー!絶対にお前よりも先に解いてやるー!!」

「なめんなよ!俺は少なくともお前よりは字ぃ読めるんだっての!ぜってーに俺の方が早いね!!」

「……………………これがドングリの背比べってやつか」


 お、ミケ君よく覚えてたね。後で誉めてやろう。






「そこの二人……授業中だから少し静かにね」


 アルファ君がなんか悲壮感に暮れる顔で言ってたが、まぁどうでもいいか。

 結果はミケ君を味方につけたエミリー君の圧勝だった。普通そういうのってこっちに味方するもんじゃないのミケ君?後でアルファ君に聞きにいこー。結局解くのに必死で授業半分聞いてなかったんだよなー。だったら聞いとけって話だけどそれが出来れば苦労しないんじゃい!!!!


 アルファ君は呆れ顔で解説してくれた。おいおいため息つくと幸福が逃げるぜ?

レ……イ……ジョ……ウ……

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