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祝杯

「えー、それでは……エミリー君のノドン代表就任を祝しまして……カンパーイ」

「「「カンパーイ」」」

「カンパーイ……じゃねぇええええ!!!!!」


 お、ノリツッコミかエミリー君?この時代にそのツッコミは中々に最先端走ってるね?将来有望だな。


「なんでいつの間にか就任することになってんだよ!お前じゃないのかよ!!」

「いや裏組織の経営なんておれには無理無理。俺、センスゼロだからな。お前に任せるわ」

「それはこっちも一緒だっつーの!なんでつい最近まで平民だったのにいきなり巨大組織の代表になってんだよ!おかしいだろ!!」

「そんなもんがまかり通るのがご都合主義(この世界)だ。安心しろって、ピンチは来るかもしんねぇけど大体なんとかなるからよ」

「その自信はどっから来るんだよ?」


 お、エミリー君良い事聞くね?ならば答えて進ぜよう。


「前世で得た経験かな?」

「まじめに答えてくれよ」

「真面目も真面目、大真面目よ」


 せっかく答えてやったっていうのに冷たい奴だな。


「まー安心しろよ。代表って言っても実務は殆ど他の連中に任せていいからよ。ノドンだって腐っても巨大組織だ。良い人材はゴロゴロいたからそいつら引き抜きで雇えば何とかなんだろ。ウチからも何人か派遣するから心配すんな」

「それって代表って言えんのか?」

「なぁエミリー君、こんな言葉を知っているかね?『君臨すれども統治せず』。人の上に立つからと言って物事を決めなくちゃいけないなんて考えはないんだぜ?事実俺がそうだからな!分かんねぇ事は全部他に任せてる!そもそも第一王子に俺を生んだのが悪いんだよ!俺に帝王学は似合わねぇ!オレはとことん他人を頼るぜ!自分の領域外は専門家に任せりゃいいんだよ」

「だ、だせぇ……」


 エミリー君、君やけに俺を軽視してるけどそれでいいのかな?


「おいおいエミリー君?仲間外れはひどいなぁ?同じ穴のムジナだろ?君臨する者同士仲よくしようぜ?」

「こ、こいつと一緒……い、嫌だぁああああ!あんな奴と同レベルなんて認めねぇえええええ!」

「ハッハッハッハ!ステージは同じだがレベルは違うぞ?なんせ俺はいやいやながら何年も統治者やってんだからな!俺の方が先輩だ!よろしくな後輩!!」

「ししょー!助けてぇえええええ!!!どうせだったら師匠と同じ場所がいい!!」



 うんうん、あれくらいの元気があったほうが経営者としてはいいんじゃないか?体は資本、大事にしたまえ。


「しかし、良かったのですか王子?エミリー殿をノドンの代表に就任させても?」

「あんすかモーリーさん?なんか不都合あります?」

「いえ、ただ急に巨大組織が一平民に乗っ取られると考えると、その時点で多くの反感を買いそうですが、それでもよろしいのかと」

「組織が変わる時点で反感なんかどうせ多かれ少なかれ生まれるだろ。それを受けるのがたまたまエミリー君だったってだけ。勿論サポートは我が家(こっち)から十全に行うけど」

「なるほど。そういったお考えでしたか」


 モーリーさんはそれから何も言わずにこっちを見つめるだけだった。なんか言いたげだな?


「なんか言いたい事でもあんのモーリーさん?おれ腹の探り合いは苦手なんだけど?」

「では僭越ながら。先程ロザリエ様から王子宛てに手紙が届きましてね。まだエミリー殿と話すことがあるのならば済ませてからがよろしいのではないかと思いまして」

「早く言えよどこにある?」

「こちらに」


 そう言ってモーリーさんが手紙をこちらに差し出す前に俺は手紙をぶんどった。久々に見るロザリエさんの字……はー、文字越しとはいえロザリエさんを感じる……紙も心なしか好い匂いがするように思えてきた……やばい本格的に変態だ、ここらへんでやめとこう。えーとなんて書いてあんだ?


『お久しぶりです王子。この度は『ノドン』の解体、並びに新体制設立を祝いまして、このような手紙という簡易的にではありますがご挨拶とさせていただきます。新たなノドン代表者の就任への挨拶は後日改めて行かせて頂きますので、その時は宜しくお願い致します。  ロザリエより』


 ……………………婚約者の俺に関して一言しか書かれてねぇ。ていうかノドン解体の事なんでロザリエさん知ってんの?まだ表向きには発表してない筈だけど?


「それだけノドンの影響力が凄まじかったって事でしょ?」

「お?ミケ君どったの?」

「自称弟子がうっとおしかったんで手刀で眠らせてきました」

「恐ろしく早い対応……俺だったから見逃しちゃった……………………」

「見逃していいですよあんな醜態」


 くっそーリアル手刀眠らせ見たかったのに……いつも俺がくらってる側だったから全然見れねぇんだよな。


「んで、結局どうなったん?弟子入り」

「あいつ自体が今後色々と揉まれるでしょうし、俺も早々会いには行けないですよ。これでうやむやに出来ます」

「うーわ対応雑っつ」

「まだ人を背負うには俺は青いですから」


 そう言ってミケ君は水を飲む。同世代だよね君?何でそこまで年上感強いの?


「……そういえば王子準備大丈夫なんですか?」

「なにが?」


 急にミケ君が神妙な面持ちでこちらに話を振ってきた。いやいや、ノドンに関しては確かにまだまだ課題山積みだけどそこまで神経尖らせるほどのものはないでしょ?






「学園の入学式明日ですよね?入寮手続きとか制服の手配とか出来てるんですか?」





 忘れてた……………………

令嬢……………………(希望)

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