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状況確認

悪役令嬢ってなんだっけ?


 さて、この世界の設定というものを第二話にしてようやく説明しよう。この世界はこの世の、いや、前世のか?まぁ取り敢えず画面の向こうの君達の世界の数々の異世界恋愛小説の世界観を足して2で割れば大方通じるのである。中世舞台にしてる割には識字率高いし、剣と魔法が飛び交ってるしモンスターいるしで素人ネット小説臭がムンムンに漂ってくる。

 臭すぎて草も生えない。

 お、今のうまいな。今の現地人には通じないけどメモっとこ。この世界ってスラングすら大人びてるから肩肘がはるんだよなー。ネット民の俺からしたら馬鹿馬鹿しくて仕方ないよ。ま、その分王道展開は読めやすいけど。

 そしてこの世界では当然学校がある。ネット小説特有何故か貴族以外に平民も入れると言うチグハグさも完備。やれやれブランディングが出来てないぜ?高級志向を目指すなら中途半端はダメだぞ?例外を作るとそれが前例となりドンドン新たな例外が生まれ慣例になり最終的に戻れないところまでブランドが失墜するんだから!!

 そして貴族も貴族というよりかはキッズゾクである。まぁ大体の創作物の貴族ってヘイトキャラが多いからな。読むやつは心が荒み金を持っている奴に逆恨みの様な感情を抱いている場合があるから金持ちで性格もいいと気分が惨めに見えて仕方ないから攻略対象以外は悪い奴に描きがちである。全く持って精神が歪んだやつが多すぎる。

 こう言った歪さが悪役令嬢という舞台を作り上げていると言える。

 主人公のための舞台装置、その舞台で台本通りに動くエキストラと自分が望んだ通りの展開を歩む主人公。どっちが人形かわかったもんじゃない。


 そしてこの主人公が気持ち良くなるための引き立て役に悪役令嬢がいるわけだ。個人的にはラーメンのメンマみたいなもんだと思ってる。無くても十分美味しいんだけど、人によっては欲しいと思う人がいる程度の存在だ。つまり主人公の幸福、つまり読者が読む際の心地よさがラーメンそのものだとすれば、その幸福を構成する際にとりあえず加えておくかと言って加わったのが悪役令嬢と自分は考える。つまり悪役令嬢という立場は本来なくてもいい存在なのだ。


 しかし昨今ではこのメンマ自体が主役になり魔改造メンマが量産されている。一度メンマが美味しいラーメン屋さんがヒットしたせいで他店もそれを真似し始めたのがきっかけだ。

 最終的にはメンマを生かすためにそれ以外のラーメンの要素を変えるまである。もはやラーメンなのかメンマなのか訳がわからない。そんな料理誰が食うか!!


「話脱線してますよ?」

「おっと失礼、ここまでで何か質問はあるかねミケ君?」

「ミジェロです。その話とロザリエ様に何の関係が?」

「つまり!ロザリエさんは本来そこまで重要でない役職であるにもかかわらず、その人生を他者の些細な幸福の為に弄ばれてしまうというわけだよ!!これは大変由々しき事態だ!俺はあの姿のロザリエさんが好きなんだ!他者が混じったロザリエさんなんて見たくないんだよ!!かと言って主人公が現れることで彼女を好きじゃなくなってしまうわけにもいかない!!そこでだ!!










……だったら学校なくせば良くね??」

「すいません。発想がこの国の王子とは思えない様な革新派の発言なんですけど?」

「だってそうじゃん!元々この国の学校は貴族同士の交流の場という裏のテーマがありそれを目的に作り上げたはずだ!!なのに急に平民が何の事前知識もなしにその場に入り込んでくるんだぞ!!不穏分子でしかないだろ!!しかもだな!こういう作品に定番なのは、大体下のものの行動は上のものの目にはめずらしく見えるもの何だよ!!初めて貴族を目にする平民の様にな!!」

「いいことじゃないですか?」

「甘いぞミケ君!そういうプラスの面だけではなく、しっかりとリスクも見据えなければいい従者とは言えんぞ!!初めて未知を目にした時、人はどう言った行動を取るか!!それは主に二つ!近づくか離れるかだ!!!」


 大ぶりのジェスチャーを交えながら俺はミケ君に自身の考えを力説する。


「好奇心は猫をも殺すというが、それは十分に的を射ている!むしろ国をも殺す劇薬になりえるんだよ!好奇心から近づき次第にその平民の虜になっていく貴族!今まで出会ったことのない煌びやかな雰囲気を放つ上級貴族に目をやられる平民!その二つが合わされば恋の化学反応により国を亡ぼす核弾頭が出来る可能性すらある!!!」

「そのかくだんとうがなにかは知らないですけど、ちょっと物語の読み過ぎじゃないですか?そんなコッテコテの三流芝居も欠伸する様な展開そうそうないですよ?ご都合主義が過ぎますって」

「そのご都合主義に俺からして見りゃこの世界はあふれてる!例を挙げるときりがないが、一つ言うとすればこの国の魔力による平民と貴族の隔たり!これにより主人公が世間知らずな貴族学校に入学するきっかけが生まれる訳だ!そこで攻略対象であるミケ君やアルファ君が他の女性貴族ではなく主人公にのみ好奇心を持つ事が正当化される!!」

「別段魔力は古来からあるもので最近のものじゃないですけど?」


 ミケ君が何か言ってるが知ったこっちゃない。


「俺はこのちぐはぐさが我慢ならねぇ!魔力なんて不確定要素しか(・・)判断しない基準はおかしい!!もっと後天的要素も判断材料に加えるべきだろうが!だからこの国に無能のゾンビ貴族がそこらじゅうの舞踏会に参加すんだよ!あいつら死体みたいに甘ったるい臭いぷんぷん漂わせてくんだからな!!死臭だよ死臭!!誰か火葬してくれ!!駄目だ!あいつら燃やす為に薪を組むのも勿体ない!」

「あー、そういや前も俺に誘い来たな―?結構臭かったから断ったけど……」

「気を付けろ?少しでも隙を見せたらそいつの臭いは一生取れないからな?マーキングを施された結果勘違いして仲間と認識されるぞ。その内別の仲間を引き連れてお前を同類にさせようと仕向けてくるぞ」

「やばいですね。何とかして対策しないと」

「そこでだよミケ君!」「ミジェロです」

「君が今後そう言った対応をしなくても言い様に主人公と密な関係になっておけば次第にその回数も減っていくわけだよ?どうだい?恋したくなったかい?」

「いえ、別に……」

「はー、ホンっと冷めてるなー君!」

「というか……」

「ん?」


 ミケ君が少しばかり紅茶をすすってカップをゆっくりと置くと徐に呟いた。あ、そういえば飲んでねぇや。くっそ失敗したな…………ぬるいな。


「そんなに行きたくないなら拒否すればいいじゃないですか?あそこ別に強制じゃないですよ?」











「……………………そうだったっけ?」


 俺の知ってる物語だと主人公や攻略対象がいっつも学園内に集結してるからこの国も入学強制だと思ってた。

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