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サブクエスト① ※修正版

修正版です

 アリスにビンタされた頬を擦っていると、テツがバッと起き上がって周りを見渡して状況確認を行う。


「……もしかして、負けた?」


「とっくにな」


 テツの問いにアイクが肩をすくめながら答えると、テツは悔しそうに唸る。

 この五人の中では最年少で12歳のテツだが、アリスと同様負けず嫌いである。スキル持ちでもないノヴァに簡単にあしらわれただけなく、蹴りの一発だけでダウンしてしまったことが余計に悔しかった。


「いつになったらノヴァに攻撃を当てられるんだよー!」


「当てられたぞ。アリスから」


「全然効いてなかったけどね…」


「いやいや、そんなことないって」


 自身の魔法がまるで効いてなかったと思い、落ち込んでいるアリスにノヴァは言う。


「正直あのファイアーボールはアリスの魔法攻撃力が高いだけあって、めっちゃ痛かった。戦闘中だから痛いからって止まってらんなかっただけだよ」


 この世界ではステータスの概念が存在する。

 成人したての15歳の平均ステータスがそれぞれ50とされており、アリスは13歳で魔法攻撃力が67とそれなりに高いステータスを持っている。


 ノヴァはこの中では一番強いが特別レベルが高い訳ではないので、アリスの魔法をくらった本人の言う通りかなり効いた。

 魔法職なので物理攻撃力は低いのだが、なぜかビンタの方が痛く感じるが…。


「余裕綽々といった感じで動いておいて、よく言うわよ。ふん!」


 ノヴァのフォローがお気に召さなかったらしい。アリスが拗ねてしまった。


「悪かったって。俺悪くないけど、許してくれって」


 苦笑を浮かべながら、アリスの頭をやさしく撫でる。


「ちょっ!?子ども扱いすんな!」


「実際子どもだろ?」


「アンタだって成人したばかりの子どもじゃないのよ!しかもテツと身長あまり変わんないし」


 ノヴァの身長の伸びはあまり良くない。

 15歳の身長は大体170センチ前後なのだが、ノヴァは160センチと小さい方であった。「同じ年のアイクは170センチ越えたのに」と、アリスはノヴァに憐みの視線を向けている。


「別に背が小さくても戦える。というか、小さい方が有難いね。身体が動かしやすくて良い」


 しかしそれに対し、ノヴァは自由自在に身体を操る上では小さい方が都合が良いと答える。

 なるべく身体は小さくて軽い方が素早く動けるし、相手の意表も突きやすい。ノヴァはそう考えている。


「あれぇ?ガイヤールさんだー」


 ノヴァがアリスのご機嫌を取っていると、父ガイヤールがノヴァたちの所に向かってきているのにエリスが気付く。


「おうガキども。今日も精が出るな」


 そう言って、男臭い笑みを浮かべるガイヤール。

 強面なので初見だと萎縮してしまうが、村の人間は見慣れているのでノヴァを除いた四人は「こんにちは!」と挨拶した。


 一方ノヴァは、ガイヤールの頭の上を見つめて固まっていた。


(なんだ、この矢印?)


 ノヴァが困惑している横で、テツが瞳をキラキラさせながらガイヤールに聞く。


「ガイヤールさん!もしかして稽古をつけにきてくれたの!」


「はっはっは。悪いが、そういう訳じゃねぇんだ。ノヴァに用っつうか、頼みがあってな」


「え?俺に?珍しいね、父さんから俺に頼みなんて」


「ああ。実は薪がそろそろ切れそうなんだ。本当は今日、裏山に行って木を切って来る予定だったんだが、シープンを狩りに行く予定だった猟師が腰をやっちまってな」


 シープンとはFランクの羊の魔物だ。臆病な性格で、人間に直接危害を加えることはないが村の作物を荒らす為、狩りの対象となっている。

 ちなみに肉は大変美味であるので、ホムラ村の主食でもある。


「でだ。俺が代わりにシープンを狩りに行くことになってな。木を切るまではしなくて良いから、薪の代わりになりそうな枝とかを裏山から取ってきて欲しいんだ。素人が木を切るなんて、危ねぇしな」


 すると、ノヴァの頭の中に声が響いた。


【サブクエスト:薪代わりの枝集め】

・依頼者:ガイヤール

・依頼内容:薪代わりになる適当な枝を集める。

・経験値:50

・報酬:アイアンソード


「え!?」


 突然の声に驚きの声を上げるノヴァ。思わず声が裏返ってしまった。


「どうしたんだノヴァ?急に変な声出して」


「い、いや……なんでも、ない…」


 心配したアイクに対して、特に何もないと答える。

 ガイヤールも何か用事があるなら別に良いと言うが、特にこれといった用事も無いし、元々裏山に行く予定だったのでガイヤールのお願いを聞くことにする。


 すると、また声がノヴァの頭の中に響いた。


【サブクエスト:薪代わりの枝集めを受領。進行度はいつでも確認可能】


「ひぃっ!な、なぁ!なんか変な声聞こえねぇ!?頭の中に直接話しかけてきてる感じ、みたいな?」


 ノヴァの言葉に皆は首を傾げる。


「僕は何も聞こえなかったけど、アイクは?」


「俺も全く。ノヴァ、アリスの魔法くらって頭おかしくなったんじゃねぇのか?」


 テツとアイクは何も聞こえなかったと言う。


「失礼ねアイク!?私の魔法にデバフ効果は無いわよ!」


「ノヴァ君、きっと疲れてるんだよ。枝集めは私とお姉ちゃんがやっておくから、ゆっくり休んだら?」


「だからなんで私まで巻き込むのよ!?」


 エリスに心配され、休むよう言われるが特に疲れてるとかそういった感じはないので、エリスの申し出は断った。


「いや、本当に大丈夫だ。ごめん、急に変なこと言って」


(俺にしか聞こえてなかった、のか…?なんだったんだ、さっきの声は?)


 突然聞こえた謎の声に、ノヴァは恐怖を覚えつつも裏山に行く準備を整えに、一度家に帰るのであった。

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