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ノヴァの戦い方

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 ―ホムラ村・広場―


 広場にて、ノヴァは同年代の子らと試合を行っていた。

 ただその試合はノヴァ一人に対して、四人の男女が組んで戦うという変則マッチであった。


「ぜりゃーっ!」


 村で一番剣術のスキルのレベルが高いアイクが木剣を使ってノヴァに何度も剣を振るう。

 ノヴァはそれを慌てることなく自身の木剣で受け流し続けていると、横から槍術のスキルを持つテツが木槍で突きを放ってくるが、ノヴァはアイクを蹴り飛ばすと同時に後ろにバク宙しながら躱した。

 着地と同時にテツへと斬り掛かるが、また横から今度は双子の姉妹で魔法使いのアリスとエリスが火球を打ってきた為、またバックステップで避ける。


「痛ってて…。ノヴァ、テメェ思い切り蹴りやがって」


「剣だけじゃ勝てないんだから、当たり前だろ?そら、今度はこっちから行くぞ!」


「させないよ!僕が相手だっ!」


 アイクに向かって駆け出したノヴァに対し、まだ蹴られた腹を抑えているアイクの代わりにテツが間に入り、ノヴァの前に立ち塞がる。

 双子もテツだけでは抑えきれない事を知っている為、姉のアリスが攻撃魔法で援護。妹のエリスはアイクに回復魔法をかける。


 子供の頃から試合をやってきたお陰で、このように流れるような連携も可能となった。

 エリスの回復魔法にお陰で痛みが消えたアイクも復帰し、テツと共にノヴァを攻める。それをノヴァは受け流したり、横へ後ろへと飛びながら避けてなんとか捌いていく。

 双子の魔法の援護もあって、一見ノヴァが劣勢に見えるが……


「ここだ!」


 テツの突きを避けた拍子にバランスを崩したノヴァの隙を見逃さず、渾身の一撃をアイクは振るう。

 だが次の瞬間、攻撃を受けて身体を仰け反らされたのはアイクの方であった。


「な、に…!?」


 ノヴァは確かにバランスを崩したが、アイクがその隙を突いてくることは想定内であった。

 アイクが剣を振るより先に、ノヴァは不安定な状態から突きを放っていたのだ。それが見事アイクの眉間に当たった。


「『ヒール』!」


 すかさずエリスはアイクに回復魔法をかけるが、その頃にはノヴァはなんと突きを放った反動を利用して身体を回転させ、地面に片手を着いてテツの顔面に容赦のない蹴りをお見舞いしていた。

 槍を突き出した状態から体勢を戻せていなかったテツは諸にくらい、そのまま鼻血を吹き出しながら倒れてしまう。

 普通なら大して力が入らない体勢で放たれた蹴り。だがそれを強力な一撃に変えてしまえるのが、ノヴァである。


 身体を自由自在に操ることで、スキル持ちを圧倒する。それがスキルを持てないノヴァの戦い方であった。


「ほい。まずは一人」


「くそっ。相変わらず読めねぇな!」


 アイクがノヴァに剣を振るい、そうしている間にまたエリスがテツに回復魔法をかけるが、テツは気を失っているようで起き上がることはなかった。


「ほらほらアイク、またスキルに頼ってばかりになってるぞ?もっと自分で振りなよ」


「やってるっつうの!」


「アイク下がって!」


 ノヴァが余裕で受け流しながらアドバイスしていると、ノヴァの後ろに回り込んでいたアリスが火球を放つ。

 アイクが下がると同時に着弾し、小さな爆発起きる。爆発によって煙が濛々と立ち込めている。


「やった!遂にノヴァに当ててやったわ!」


「お姉ちゃん。油断しちゃ……」


 エリスがノヴァに魔法を当てて喜んでる姉を諭そうとすると、煙の中からノヴァが一気に駆け出してエリスへと迫った。


「しまった!」


 アイクが慌てて追いかけるが、間に合わず木剣がエリスに突き付けられた。


「あ」


「はい、エリス死んだ。これでウザイ回復役はいなくなったな」


「わー。やーらーれーたー(棒)」


 一応試合なので、女子には寸止めというルールで行っている(本人が望めば、ノヴァは遠慮なく木剣を当てて来る)。よってエリスはもう魔法による援護は出来ない。


「ぜぇりゃーーーッ!」


 エリスに剣を突き付けているノヴァの後ろから、アイクが剣を振り下ろしてくる。

 それをノヴァは振り向きざまに受け止めると同時に、両足をアイクの腕に絡めた。


「なぁ!?」


 そうすると必然、アイクは身体を支え切れなくなり地面に倒れる。ノヴァも一緒に倒れるが、ノヴァの剣はアイクの喉元にあった。


「はい、アイク死亡。お疲れ様でした」


「ぐぅっ…」


 残るはアリスのみと、ノヴァは起き上がると同時に一気に迫っていく。


「ちょちょ!?こっち来るなー!」


 アリスは火球を連続で打ち込むが、ノヴァはサイドステップで躱しながら近付いていき、その剣をアリスに突き付けた。

 試合はノヴァの勝利で終わった。


「ま、また負けたー!悔じぃー!」


 アリスは負けずらいな性格だ。ダンッダンッと地団駄を踏んでいる。


「おいテツ。起きろ。終わったぞー」


「はらほろひれなんたら~…」


「ダメだ…。意識はあるけど、頭が働いてない感じだ…。俺ちょっとこのまま介抱しとくわ」


 面倒見の良いアイクは、未だ意識が朦朧としているテツの介抱に専念していた。ノヴァの蹴りが相当効いたようだ。


「ねぇ~。ノヴァ君に負けたってことは、この後私とお姉ちゃんはノヴァ君の慰み者にされちゃうってことで良いの?」


 双子の妹エリスは、他の皆より少しませている。だいたいノヴァに負けた後はこんな下ネタをぶっ込んでくる。


「ちょっとエリス!私まで巻き込まないでよ!?ていうか毎度毎度、なんでそんな話になるのよ」


「だってぇ、敗北した女の子は男の慰み者になるって本に書いてあったよ~。それでノヴァ君。私とお姉ちゃんは、この後どうされちゃうの~?」


 なぜそんな本を読んでいるのかは置いておいて、答えを求められるノヴァ。普通なら苦笑いを浮かべて適当に流す場面だろう。

 だがノヴァはこの手の話を何度も聞いている。主にエリスから。


「そうだな。俺も所詮は欲にまみれた薄汚い男だ。まずはアリスの13歳とは思えぬワガママボディを……」


「律儀に答えんでいいわーッ!」


 エリスの下ネタに慣れている故に悪ノリするノヴァにアリスが赤面しながらビンタしている横で、エリスが「いやん。初めてを奪われちゃう~♪」などと言っている。

 これがホムラ村での、ノヴァの日常であった。


 なお、アリスのビンタは魔法より痛く感じるとのこと。

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もう一つの作品もよろしくお願いします。

陰キャ男子高校生と天真爛漫なアイドル

https://ncode.syosetu.com/n8186go/

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