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強くなる為に①

暑~い…。

 ワーウルフを倒してから三日。俺は自分に割り当てられた部屋で考え事をしていた。

 実家のベッドより硬いが、寛げないほどじゃない。


「……幼体。あんな強かったのに、あれで子どもか…」


 あのワーウルフとの戦いを思い出していた。

 振り返ってみるとおかしいとは思った。ワーウルフはレベル40以上の戦士や魔法使い、それに僧侶が複数のパーティが推奨される魔物だと辞典には書いてあった。

 そんなヤバい魔物相手にレベル10のジョブ無しの俺。レベル13のサソりん、こちらもジョブ無し。そしてレベル27の戦士のワッカさん。


 本来ならこの三人だけで勝てるような相手じゃないはずだ。


「運が良かった……のかな?」


 そうとしか言いようがない。もしあのワーウルフが成長していたら、きっと俺は最初の不意打ちでやられていた。

 それくらいアイツは強かった。まだ幼体だったのに。


 幼体と名が付いてる癖に、背丈は180はあったよな?本物はもっと大きくて、さぞパワフルでスピーディーな奴なことだろう。


「あれくらいを、俺一人で倒せるようにならないとな。じゃないとSランク冒険者なんて夢のまた夢だ」


 俺の夢はSランク冒険者になること。そしていつかは、スキルを使わずにどんな奴にも勝てるようになりたい。

 Sランク冒険者ってのは、きっとそのくらい強くないとダメだからな。

 あのワーウルフの幼体と戦った後じゃ尚更だ。


「……そろそろ始めるか」


 菊一文字を腰に差して部屋を出る。この三日間、俺は宿屋の庭を借りて訓練に励んでいた。

 町の安全が確認されるまで出ちゃいけないってホノ爺に言われたからな。本当はやすらぎの森にでも行ってレベル上げしたいんだが…。

 まぁ今は我慢だ。強くなりたいからって、危険を冒して死にましたってなったら元も子もない。


―――レベル上げは冒険者になってからでも遅くはない。


 自分にそう言い聞かせながら宿から出ると、バンさんとバッタリ出くわした。


「あ。おはようございます。バンさん」


「おはようノヴァ君。今朝も早いね」


「はい。剣の腕は鈍らせたくないですからね。ワッカさんは?」


「もう先にいるよ」


 今日もワッカさんが一番乗りか…。まぁ俺は毎朝ワーウルフとの戦いを振り返ってるから、少し出遅れてるんだけど。

 戦いを振り返るというのは重要だ。自分がダメだったところ、もっとこうしておけば良かったと思うところ。

 それらを振り返り、そしてそれが出来るように訓練を積むこと。そうすれば同じような敵と出会った時、以前よりも楽に戦えるようになる。


「もっと頑張らないとな…」


「あははは。あまり無茶な特訓はしないでよ?……あれ?なんか剣の刺し方、変わった?」


「ああ。これですか?」


 菊一文字の向きが、上下逆さまに変わっていることにバンさんが気付く。

 以前は刃が下向きだったが、それが上向き変わっていたのだ。


「実は昨日気付いたんですが、この方が刀が抜きやすいんですよ」


「へぇ~。そうなんだ」


 なんとなくだけど、今まで下向きの状態で刀を抜いていた時は違和感のような物を感じていた。

 それで試しに刃を上向きにしてみたら、どういう理由かわからないけど随分と抜きやすくなったのだ。


 居合もしやすくなって、《首斬り舞》の練習もやりやすかった。


「それじゃ、俺も行って来ますね」


「うん。あまりコンを詰め過ぎないようにね~」


 庭まで行くと、ワッカさんが上裸で真剣な表情で剣の素振りをしていた。


「ん?おー。来たかノヴァ」


「おはようございます。ワッカさん」


 ワッカさんはワーウルフとの戦いが終わってから、人が変わったように訓練に打ち込むようになった……らしい。

 彼が今までどんな人だったかわかるほど付き合いがある訳じゃないしな。だがバンさんから見たワッカさんは、本当に人が変わったみたいだって言っていた。


「俺も混ざります」


「おう!混ざれ混ざれ。素振りの後は筋トレだ!そしてその後は―――」


「「模擬戦!」」


 二人揃ってにやけ顔でハモる。この三日間、ずっと俺とワッカさんは二人で訓練してきた。

 たった三日、されど三日。それだけ剣を交えれば、お互い何を楽しみにしてるかわかるというものだ。


「お前との戦いは毎回驚かされるからな。訓練にも身が入るってもんだ」


「俺も先輩冒険者の戦い方を見習えるから凄く楽しみです」


 俺の戦い方は剣を使う戦士から逸脱してると、ワッカさんから評価されている。まるで曲芸師のようだと。

 トリッキーな戦い方はやはり相手を翻弄しやすいようだ。ワーウルフにだって効いていた。

 あとはそれを焦らず、ちゃんとそれを見失わないようにしないとな。


 どうも強力なスキルを手に入れると、ついついそれに頼りたくなるのが人間の……いや、生物の性なのかもしれない。

 ワーウルフも結構あの咆哮のスキルに頼ってたからな。


「見失っちゃいけねぇ。俺の戦い方を」


「ん?どうしたノヴァ」


「なんでもないです」


 俺は菊一文字を抜いて、素振りを始めた。

 ……強くなるんだ。もっともっと、強く…。本物の強さを持つ、成長したワーウルフとタイマン張れるくらいに!


「……………また笑ってやがる」


「ふっ!ふっ!ふっ!」


 ワーウルフと戦う自分を想像して自然と笑みが零れていたが、俺はそれを自覚することなく素振りを行った。

戦力強化の為にここ○ん引きた~い。でもニィ○ウとナ○ーダが欲しいから我慢しなきゃ…。


誰とは言いませんが、今後登場させる予定のキャラが原○のキャラとほぼ被ってるので、キャラ変するべきか悩んでます。

似たようなキャラ色々なアニメにいるし、別にいいかなこのままで?いやでもな~…って感じです。

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