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サブクエスト:行方不明の猫の捜索①

 ランデムへ向かう道中で野宿してからの翌日。


 ここら辺は魔物の数が少ない。

 その為、道中で魔物と出会う事はなかった。あと少しでレベル10になるのに残念だ。

 おかげで安全にランデムに辿り着くことが出来たけど。


 ランデムの町は少し前まではホムラと同じ村だったのだが、10年程前から発展に力を入れ始め、石で出来た建物も多くなり町となった。

 今はまだ冒険者ギルドは無いが、近いうちに設置するという話が出ている。

 魔物は少ないとはいえ、被害がない訳じゃないからな。この町の町長は優秀なようだ。


 村だった頃の名残で幾らか畑が残っているが、それもいつまで残っているかわからない。

 父さんから聞いた話では畑専用の土地を作ろうという話もあるので、農家の人達が職を失うことは無いだろうけど。


「それじゃあ、ワシは仕事に行くでの。皆は三日間好きに過ごすと良い」


「「はい」」


「うん。仕事頑張って、ホノ爺」


「ほっほっほ。ありがとのう、ノヴァ君。精一杯頑張って来るぞ」


 俺のことをまるで孫を見るかのような目で言うホノ爺と一旦別れた。

 宿はホノ爺が取っとといてくれるそうなので、俺とバンたちはこれから自由行動だ。


「僕たちは適当にお店を見て回るけど、ノヴァ君は?」


「俺は壊れてしまった防具を新調しに鍛冶屋に行きます」


「鍛冶屋か。そういえば、まだ冒険者ギルドは無いのにランデムは鍛冶屋がかなりあるよな?なんでだ」


「冒険者ギルドを設置するには、まずは冒険者御用達の施設を揃えてからだっていう町長の方針だね。最近は薬局が何件か増えたみたい」


 ワッカの疑問にバンが答える。

 町長はまず身の周りを固めてから本命に手を出すタイプのようだ。

 一体どこからそんな金を手に入れてるのか甚だ疑問だが、国の為に全力で取り組んでる真面目な人らしいし、上から予算が降りて来てるのかも。

 知らんけど。


「ふーん。それで、ノヴァはどこの鍛冶屋に行くんだ?」


「サウスっていうドワーフと人間のハーフのおっちゃんの所です。俺の防具は少し特殊で、サウスのおっちゃんじゃないと作れなくて」


「へぇ~。オーダーメイドか。金持ちなんだな」


「別に金持ちって訳じゃないですが……まぁ、頑張って魔物を狩りまくりました」


「サウス…?」


 バンがサウスという名前に反応する。


「どうしたんですか?バンさん」


「いや、サウスっていう人が気になってね。確か国に雇われている人がそんな名前だった気がするんだ。あと凄い偏屈で、自分が認めた相手にしかオーダーメイドは受け付けないって」


 え?マジで?

 おっちゃんって国に雇われるくらい凄い人だったの?

 俺があのナックルガードとレッグガードを作って欲しいつったら、「面白い。やってみよう」と二つ返事でオーケーしてくれたのに?


 そのことをバンに言うと……


「そうか……まぁ、同名の可能性が高いか。今も王城で働いてるらしいしね」


 そうしてお互いの予定を教えてから別れ、夜まで自由行動となった。


―――――――――――――――――――――――――――


「さて、サブクエ探しつつ、おっちゃんの所に行くか」


 この町での目的はナックルガードとレッグガードの新調だが、その他にサブクエストを探して経験値を稼ぐ目的もある。

 この三日間の間に出来るだけ多くのサブクエストを達成して、レベル上げを10に上げておきたい。というか必要経験値増え過ぎだわ!?

 レベル10にすんのに経験値1000以上必要とか、ブラックゴブリンから経験値手に入れてなかったら相当時間が掛かるぞ…。


 ランデムは発展して、人もホムラよりも断然多い。

 その分オレンジ色の矢印が表示されてる人も多いかと思ったが……


「……あ。やっと見つけた…」


 人通りの多い大通りを歩けば、幾らでも見つかると思ったのだが……ほとんどオレンジ色の矢印を持った人なんていやしねぇ…。

 やっと見つけた人は、何やら探し物をしてるっぽい男性。これってもしかして、矢印は『人手がいるほど困ってる人』っていう認識か?

 買い物中の主婦が、躓いた拍子に食材を落とした時は矢印なんて出なかったし、その可能性が高いな。ちなみに拾うのは手伝いました。


 先に時間の掛かるおっちゃんの所に行くのが良いんだろうけど、いつまでサブクエストを受け付けてるのかわからないからな。今受けてしまおう。

 俺は何かあたふたしながら探し物をしている男性に声をかけた。


「あのー。どうかしたんですか?何かお困りごとでも?」


「え?ああ……実は飼い猫のミャアちゃんが二日経っても戻って来なくてね…。放浪癖があって、よく家を抜け出してるんだけど」


「へぇ、飼い猫が…。でもそれなら、その内戻って来そうなもんですけどね」


 俺の言葉に、男性は首を横に振りながら答える。


「ミャアちゃんは今まで、一晩もすれば戻って来てたんだ。二日も帰って来ないなんて無かった。だから心配で心配で……」


(どうやら相当猫のことが心配のようだ。俺はペットなんて飼ったこと無いからわからないけど、この人にとって大事な家族なんだろうな。……てか、見ず知らずの人間によくここまで話してくれるな…)



【サブクエスト:行方不明の猫の捜索】

・依頼者:猫好きの男性

・依頼内容:行方不明の猫を見付けて、依頼者に送り届ける。

・経験値:30

・報酬:不明



 例の謎の声が聞こえて来た。

 これで一緒に探すって言えば受注完了かな?


「あの。もしよろしければ、一緒にミャアちゃんを探しましょうか?」


「え!?良いのかい?助かるよ!」


(そして遠慮しないのな…)



【サブクエスト:行方不明の猫の捜索を受領】



 これでよし。あとはクリアするだけだな。

 報酬が不明っていうのが気になるけど、父さんみたいに事前に報酬を用意していた訳じゃないからだろうと予想。


「それじゃあ、ミャアちゃんの特徴を教えてくれませんか?」


「ああ。ミャアちゃんは綺麗な白の雄猫で、口元の黒子のような黒い毛がチャームポイントなんだ」


 雄なのにちゃん呼びか…。


「他に特徴は?」


「うーん。普通の猫より、少し小さいことくらいかな?」


「じゃあ、ミャアちゃんが行きそうな所に心当たりは?」


「もう探したよ。でも全然だ…」


 これ以上は飼い主さんから情報を得るのは厳しいか…。

 仕方ない。町の人達に、ミャアちゃんを見てないか聞いて回ろう。

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