スキル検証結果
「はぁ……はぁ……はぁ…。もうダメだ!動けねぇ!」
「ぜひゅー……ぜひゅー…やす……ま、せて……ひゅー」
「あらら……前衛組がスタミナ切れでダウンだ。一旦休憩するか?」
「そうしましょう…。私も魔力すっからかんよ…」
「魔力供給したぁい…」
スキル検証を兼ねた試合を始めて、一時間。
前衛組、特にテツが過呼吸気味で完全に動けない状態だ。後衛の双子も魔力切れでダウン。
エリスの魔力供給の言い方がちょっとエッチだが、いつものことなので気にしない気にしない。
今回はスキル検証が目的なので、俺からは攻撃していない。ていうかこの剣……菊一文字則宗は攻撃力が高過ぎる…。
【菊一文字則宗】
・攻撃力+50 ・攻撃速度+20%
・【神託スキル】《瞬歩》
【早業の達人が愛用していた刀】
【大切に扱われるあまり、使われる機会が一度しか無かったがその時は刃こぼれを一切しなかった程の名刀である】
【使い手が病弱だったことも、振るわれる機会が少なかった要因と思われる】
【攻撃速度上昇のパッシブ効果がある】
【【神託スキル】《瞬歩》が使えるようになる】
(病弱になるみたいな効果は無さそうでちょっと安心…)
この剣……いや、刀っていうのが正式名称っぽいから、これからはそう呼ぶことにしよう。
とにかくこの刀は、攻撃力+30のアイアンソードよりも高い。こんなので攻撃したらアイクとテツを武器ごと斬りかねない。
実際こっちは受けに徹してたのに、二人の剣と槍は刃こぼれ酷いし…。
凄い物が空から降って来たもんだ。……なんで降って来たのか疑問は残るけど、考えてもわからないのでとにかく良い物をゲットしたと喜んでおこう。
それに……
【刀剣召喚】
【数多の刀剣を召喚するスキル】
【刀剣は二振りまで召喚可能】
【現在所持している刀剣:1】
数多の刀剣……どこかにこれと同じような物があるってことだ。
それを集めれば、俺はもっともっと強くなる。その分【神託スキル】とかいうのも増えて、さらに戦略の幅が広がる。
今から探すのが楽しみで仕方ない。
「ねぇねぇ、ノヴァ君のスキルって“瞬間的に素早さを上げる”ってことで合ってる?」
俺のスキルを誰よりも分析していたエリスが聞いてくる。
まぁ一時間もあれば言わなくてもわかるか。
「そうだ。制限はあるけど、エリスの言う通り一瞬だけ高速移動することが出来る。楽にアリスとエリスの背後を取れてマジ便利っすわ(笑)」
ただ、強敵相手では通じないことも多々あるだろう。《瞬歩》に頼り過ぎないように、使いどころはしっかりと見極めていく必要がある。
スキルはあくまでも、所有者を補助してくれる物でしかない。それを忘れてはいけない。
一回5秒、二回連続だと10秒のクールタイムも思ったより隙が大きい。
10メートル先の俺にアイクは2秒で近付いたからな。アイクの素早さが高いのもあるが、こうして見ると5秒は意外と短いようで結構長いクールタイムだ。
俺自身が距離を取れば補えるが、素早さがやたら高い相手だったらどうしようもない。
やはり連発は控えるべきだ。ちゃんと使いどころを見極めよう。
「……笑ってるけど、言うほど便利じゃなさそうだな?」
「アイク君。俺は勘の良いガキは嫌いだよ」
「お前と同じ年だっつうの…」
《瞬歩》についてわかったことは……
・移動範囲は細かく指定出来る。極端に言えば、一ミリだけの移動も可能。
・だんだん目も身体もあのスピードに慣れてきて、普通のゴブリン相手に偶然成功した移動中の攻撃も出来そう。
・人や障害物をすり抜けるようなことないが、こちらにダメージは無い。テツだけが頭を押さえて転がってた。
・移動した先にピタッと止まる感じなので、高い所から落ちても《瞬歩》で地面の近くまで移動すれば安全に着地出来る。
・相手も目が慣れて来たら対応出来るだろうから、多用は厳禁。
(とりあえずこんなところかな?よし、次は《天断》だな)
俺は四人から離れて《瞬歩》で10メートル先の空中へ移動。
すかさず直滑降に二回目の《瞬歩》を行い、《天断》を発動する。
移動先は9.5メートルと、地面に足が付かないようにしたが……
ドスンッ!
「痛ってぇ!?」
ジーンと来る痛みに両足を抱え込む様にしゃがむ。
足が思い切り地面に衝突したZE…。
どうやら《天断》を発動したら、問答無用で自傷するようだ…。
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ノヴァ
体力:91/96
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(これ連発してたら余裕で死ぬわ…)
次は《天断》を発動しないようにやってみたら、出来ることには出来るが見るからに威力が落ちていた。
とりあえず技認定されてるのとされてないのとでは、大きく差があることがわかった。
《瞬歩》単体では自傷しないという謎判定。
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