プロローグ
はじめまして、彩桜里と申します。
始めての作品で至らない点も多いかと思いますがお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いします。
夜の森に6人の男女がパチパチと弾ける音がする焚き火を囲んで談笑していた。
「今日のクエストも楽勝だったな」
「マルコメはいつも楽勝じゃない!」
「流石マルコメさんですね」
「マルコメ様がいて苦戦などする訳がないですわ」
「マルコメ~そんなのいいから早くご飯食べて一緒に寝ようよ~」
「何を言っている!? 私が一番働いたのだからマルコメと寝るのは私だぞ!」
男の一言に5人の美女が各々言葉を返してくれた。
「いやいや、今日も楽勝だったのは皆がいてくれたからだよ! いつもありがとうね」
その言葉に照れたのか、美女が5人とも頬を赤く染めてモジモジとしだした。
「マッマルコメはいつも優しいなぁ~」
「そうですね。マルコメさんは流石です」
「マルコメ様、ありがとうだなんて私たちには勿体無いお言葉ですわ」
「じゃあマルコメ~頑張ったからベットで労って~」
「だからさっきから何を言っている!? 今日はわっ私が頑張ったのだから労って貰うのは私だ!!」
そんな談笑の後、食事をして美女達はテントに入り眠りについた。
男はいつものように寝ずの番をする。
皆が寝てしまったので焚き火の前に1人で座り、ふと空を見上げると2つの満月が夜空を照らしていた。
「今日は2つとも満月かぁ…………最初にあの2つの月を見てから全部が始まったんだよなぁ」
初めて2つの月を見たあの日……俺の…………桜木春斗の人生の全てが変わったんだ。
少し時を遡ったとある日。
俺こと桜木春斗は大きな袋を何袋も抱えながらウキウキで自宅まで小走りで帰っていた。
自宅に着き、すぐに着替えて布団の上で袋から中身を取り出し始め出した。
まず飲み物や食べ物を出して自分の回りに並べる。
次にゲーム機と美女達が描かれたパッケージのケースを取り出した。
「おぉ~! これが待ちに待ったドキドキメモリアルクエストの復刻版!! キャラもちゃんと昔のままだけどさらに綺麗になってるぞ」
ドキドキメモリアルクエスト。
俺がまだ少年の頃、当時人気のあった恋愛シミュレーションとRPGのゲーム内容を無理矢理くっつけたようなゲームで魔王を倒す旅をしながらパーティーを組む女性達と恋愛をするという内容で一部のローカル路線な人達に流行ったPCゲームだ……ちなみにR指定はついていた。
まぁまだ色々と弛かった時代なので少年であった俺でも入手出来たのだが当時の俺はこのゲームにどハマりしたのだ。
RPGの部分も楽しかったが、俺は恋愛シミュレーションの部分にハマり何度もクリアを繰り返した。ローカルPCゲームの為攻略本もなかったので数年かけて自力で完全制覇をした程だ。
そんなドキドキメモリアルクエストがVRに移植され復刻したので即予約し、発売日に買って帰って来た。
「この日をどれだけ待ち望んだか……やれる準備は終わってるんだ早速ゲームを準備をして始めよう」
発売が決定してからこの日の為に準備をしてきた。
まず3ヶ月前から有給申請をして10連休を作った。本当は1ヶ月位取りたいが流石にそれは受け持っている仕事的に無理なので諦めた。ちなみに有給の理由を聞かれたのでちょっと日本とは違う世界を見に行って来ますと伝えておいた。おそらく海外旅行だと思ってくれただろう。
次に実家から当時使っていたドキクエメモと書かれたノートを取りに行った。ゲームをやっていた当時、攻略本も掲示板もなくやっていた俺はゲームの詳細を事細かくノートに書き出していたのだ。ノートを読んでいると当時の事やドキクエの事を思い出した。まぁノートに書かれたのは自分の字であったが中々難読したな。
最後に10日分の食料の買い出しだ。インスタントや冷凍食品がメインだがこれから10日間ゲームに集中する為に1歩たりとも家から出るつもりはない。10日分の食料はあるがおそらく半分位しか消費はしないだろう。
そして今ゲームの準備が終わり、ゲーム機も装着した。
「さぁゲームの準備も出来たし、いざドキクエの世界へ! そして目指すは完全制覇だ!!」
そう言って俺はスイッチボタンをオンにした。
お読みいただきありがとうございました。
今後も頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。