おまけ
◇
私は今、喫茶店にいる。なんでこんなことになっているのだろうと思いながら。
あれから三週間。今、目の前には夏祭りで会った二人、上条聖子さんと萱間萌音さんがいる。今日は上条聖子さんから、会って相談したいことがあると言われたので、駅前で待ち合わせをしたのだ。そうしたら萱間さんも通りがかったのよ。聖子さんが萱間さんに声を掛けて何故か三人で話すことになったのね。
それで、相談内容を聞いた私は、頭を抱えたくなった。なんで、私より年上二人からこんな相談されなきゃならないの?
あの時に別れる前にメアド交換をしたのが悪かったのかしら?
私は溜め息を吐き出すと、まずは聖子さんの相談を片付けることにした。
◇
上条聖子さんの相談
「えーと、実はですね、この間・・・」
と話し始めた聖子さん。要約すると、菱沼さんといい状態になったそうなのだけど、キスをされているうちにボーッとなり、気がついたら意識を手放していたそうな。
原因は・・・軽い熱中症。あの日、菱沼さんの仕事が終わるのを待っていた聖子さんは、浴衣を着ていることもあり、汗をかきたくないとあまり水分を取らなかったそうだ。その後、祭り会場に移動してからも水分を取らずに彷徨い、私が渡したお茶を飲むまで水分を取らなかったそうなの。
別れた後ビールを少し飲んだだけで、食欲もなかったとか・・・。
聖子さんからの反応がなくなり菱沼さんはかなり慌てたらしい。
翌朝、菱沼さんに叱られて落ち込んだと・・・。ついでにまた固っ苦しいほどの丁寧な扱いを受けているとか。流石にキスはしてるらしいけど、それ以上に進む気配はないとか・・・。
って、私に何を言えっていうのよ!
◇
萱間萌音さんの相談という名の愚痴
「私は部屋に戻ってから色仕掛けを頑張ったのよ・・・」
との言葉から始まった萌音さんの話。萌音さんから桐谷さんを押し倒したと聞いてやるじゃんと思ったけど、それまでの強引な行動を反省した桐谷さんに拒まれたとか。それから今日まで手を出されていないらしい。
萌音さんはそれが凄い不満だとか・・・。
というかさ、愚痴じゃなくて惚気よね? 途中からいかに大切にしてくれるかって話になっているし。
聖子さんと二人で惚気合戦に入ったんだけど・・・。
私は徐に携帯を取り出した。
「ねえ、聞こえた?」
『ああ。二人にも聞かせたから』
「それは重畳。というわけで、さっさと回収に来てください!」
突然携帯に話し出した私に、二人はキョトンとした顔をしている。その二人に私はニッコリと笑いかけた。
ほんとにね、いい年をして何やってるのよ。片や結納間近、片や同居中。
もううさっさとやることやってくっついてしまえ!
これにておしまいですが、少し本編に入らなかった裏話を。
主人公の結城和花菜。長兄と12歳離れています。次兄とは11歳、三兄とは8歳、四兄とは5歳差です。
彼氏の相馬碧生。長女と10歳、次女と7歳、三女と4歳離れています。
小さい頃は女の子に間違われる可愛さ。成長した今も童顔で下手をすると高校生に間違われることもある。幼稚園の時に兄達に鍛えられつつある(精神面)和花菜のことを、カッコイイと思い好きになる。
せっかく中学の時に両思いになったのに、親の要らんチャチャのせいで、和花菜が悩み恋人になれず。
それから和花菜の恋を邪魔しつつ、隣をキープしながら待つ日々を送りましたとさ。
というわけで、軽いヤンデレです。
和花菜の母親。高校卒業と同時に結婚。すぐに妊娠。誕生日が3月なので、18歳で第一子を出産。和花菜を30歳で産む。
碧生の母。同じように高校卒業と同時に結婚。子育ての先輩である、和花菜母を頼りにしている。