事実を知った日。
新しい作品をよろしくお願いします。
「なん……だと……?」
現在地、市役所の二階。
俺は一枚の紙切れを握ったまま、わなわなと震えていた。
「あっ!」
後ろからそんな声が聞こえてきたがもう遅い。
俺は紙をくしゃくしゃになるのも厭わずポケットに突っ込み走り出す。
が、先程声を発した者によって行く手が阻まれてしまった。そして片方の一人は俺の腕を掴んでいる。その柔らかさは男にはないもので、少しばかりドキっとしてしまう。
「ま、待ってよっ」
「もしかして見ちゃったの?」
似たような声の二人は、すぐにでも発狂してしまいそうな俺の勢いを容易に止めてしまった。
俺はこの二人を知っている。と言うよりも、彼女達とは共に暮らしている仲なのだから。
「大知、黙ってないで何か言ってよ」
「大くん、見ちゃったんでしょ?」
俺のことを大知と呼ぶのが都姫姉である。都姫姉は昔から自由なタイプの女の子で、やんちゃな行為も一緒にやってくれるほど、精神年齢が近い相手だ。
そして大くんと呼ぶのが都奈姉という名前。都奈姉は俺らが悪いことをするとしっかりとしかってくれる。正に年上のお姉さんみたいな感じ。
最後に、俺の名前が赤坂大知。でも、二人の姉も『赤坂』という名字が嘘であることを先程知ってしまった俺は、二人に対して何も言うことができない。
だから黙って歩いていると、その件の二人も追いかけてきた。
「大くん?」
「大知?」
俺を通りこし都姫と都奈は顔を覗き込んでくる。彼女達の目と目が合うのを何とか避け、明後日の方向を向くことに集中した。
『気になるあいつはお嬢様』は結構見てもらえることができたので
この作品も面白いと感じてもらえるよう、頑張っていきたいです。