【クールな勇者とやさしい魔王2】外交の始め方
※単独でも読める物を目標に書いていますが、シリーズを通して読んで頂けたら嬉しいです。。
シリーズURL⇒http://ncode.syosetu.com/s6551d/
今作もノリと勢いだけで書いています。
個人的には気に入っていますが、ギャグが滑っている可能性大。
そんなサムイ話でも読んでやろうという寛容な方以外は悪い事は言いません。
そっとこのページから去る事をオススメいたします。
「オヌシのおかげで先は見えたが、まずはどうするのがいいんじゃろうか?」
「外交官は?」
「なんじゃそれ?」
「話にならない」
「見捨てんでくれんかねー!?」
「はぁ」
「前々から思っとったが、ワシの扱い雑過ぎんか?」
「今関係ある?」
「ありません・・・」
「キミはどうやって各国と交渉してたの?」
「それはワシ自らが出向いて・・・」
「バカ?」
「ひどくないかの!?ワシ魔王じゃぞ?
誠意を見せるために自ら出向くのは当然じゃろ?」
「志は立派なんだけどね」
「ん?む?なにか問題があるのか?」
「安売りしてどうするの?」
「・・・そういうことになるのかのぉ?」
「なる」
「じゃ、じゃがの?
初めはちゃんともてなしてくれたぞ?」
「はぁ」
「ため息はやめてくれんかのー!」
「自国で考えてみて。
大国の王が打ち合わせなしにきました。さぁどうする?」
「それは関係悪化せんように賓客としてもてなすのう」
「そうだね。
それでいきなり食料をよこせと行ってきたら?」
「ひとまずは受け入れて相手が帰ったら吟味して・・・
ってそういう事なのか!」
「うん。そういうこと。更に悪い事にキミは魔王だ。
侵略しに来たと思われても仕方ない。
ついでにキミがやってたのは武力外交だから余計嫌われる。
まずは穏便に帰ってもらう事が優先。
そのあとに防衛のための軍備を整えてたんじゃないかな?」
「ぬ、ぐ・・・
確かにその様な話も届いておった。
じゃが、それならばどうすればよいのじゃ?」
「だから外交官」
「じゃーかーらー。
その外交官というのはなんじゃ?」
「はぁ」
「そんな可哀想なものを見る眼しないでくれんかのー!!
人間と魔族とでは勝手が違うんじゃから教えてくれてもいいじゃろ?」
「あぁそうだったね。
キミに威厳がないから忘れてたよ」
「自分の発言を思い返してみんか!?
ちゃんと魔王って呼んどるよなー!!」
「え?魔王って名前じゃなかったっけ?」
「やめよ?冗談でも傷つくからそういうのやめよ?」
「セディって呼ぶの嫌がるじゃないか」
「じゃから、理由も話したであろう?
子供を呼ぶみたいでなんか嫌なんじゃよ。
それよりも外交官の事を教えてくれんかの?」
「じゃセディって呼んでいい?」
「それは卑怯じゃないかのう?」
「いやならそれでもいいよ。
それじゃボクは部屋にもどるね」
「待つのじゃ!わかった!わかったから教えてくれ」
「なにが?」
「ええい!いじめっ子の様な笑みを浮かべるでない!!
特別じゃオヌシにだけワシをセディと呼ぶのを許そう」
「誓約書」
「そこまでするのか!?」
「いやなら・・・」
「わかった!わかったから少し待っとれ!」
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「これで満足じゃろ!」
「キミは割と単純だよね」
「いきなりひどくないかの!?
あと、今作った誓約書の意味!!」
「それは今重要?」
「いや、そうでもないかもしれんが」
「ならいいよね?」
「ぐぬぬ・・・
ええい!はよう外交を教えるのじゃ!」
「それならもう教えたよ?」
「なに?いつじゃ?」
「今」
「どういうことじゃ?」
「外交なんて言ってしまえば如何にリスクなしで要求を通すかって事。
だからまずは相手が欲しがる物を調べて用意する。
その後はそれを如何に高く売りつけるかって考えればいいよ」
「そんな事でよいのか?
じゃが、それでは商人のようなものではないかの?」
「まぁそうだね。でもキミが行くのは悪手。
いいかい?国のトップが直接出向くと相手はキミの事を下に見る。
そのせいで無駄な要求を呑まされる事が増えるんだ。
格上だと思わせれたらいいけど、まずは対等だと思わせないと話にならない」
「ふむ。つまりワシの代わりに外交をする者がその外交官というわけじゃな?」
「そういうこと」
「じゃがそんな役職ワシの国にはないぞ?」
「どうしてキミは中途半端に残念なんだ」
「心底呆れた感じで言わんでくれんかのー!」
「どうしてキミは中途半端に残念なんだ」
「繰り返した!?真顔で言われた方が傷つくから!
ワシ、魔王じゃよ?偉いんじゃよ?」
「でも友達だよね?」
「うむ。ぼっちなオヌシに同情して友になってやったワシ。
どうじゃ?やさしいじゃろ?」
「・・・」
「やめよ?そんな感情のない眼で見るのやめよ?
ワシ、基本的にメンタル弱いんじゃよ?」
「知ってる」
「なら、の?わかってくれるじゃろ?」
「仕方ないなぁ」
「んむ。わかってくれて嬉しいぞ。
さて、なんの話しじゃったかの?」
「外交官」
「そうじゃった!で、じゃ。
そんな役職がないんじゃやはりワシが出向くしかなかろう」
「ないなら作っちゃえばいいじゃないか」
「いや、でも、それでは伝統が・・」
「伝統も大事だけど変革も大事だよ。
今まではそうだったかもしれない。
けどそれで立ち行かなくなってるのが現状じゃないか。
だからキミの国は飢え、民が死んでいく。
キミはそれが嫌だから戦争をしてたんじゃないの?」
「・・・そうじゃな。
民が生きてくれるのならば、ワシはどんなに罵られようと構わない」
「ドエム?」
「空気読んでくれんかのー!!
今シリアスな場面じゃったよな!?」
「それで?誰かアテはあるの?」
「あれ?無視?それいくないぞ?」
「アテはあるの?」
「・・・・・・おらん」
「なら良かった」
「なぜじゃ!
外交官がおらねばならんと今オヌシが言ったばかりじゃろう!」
「魔族って力が全てっていう所強いよね?」
「んむ。でなければ仲間を守れんからの」
「でもそれだと弱いけど優秀な魔族って見つからないよね?」
「弱いけど優秀とはどういう事じゃ?」
「さっきの外交を例に出すと、腕力じゃどうにもならないのはわかる?」
「うむ。む?そういう事か?」
「そ、武力ではなく知力。
特に頭の回転が早くないと厳しいんじゃないかな?」
「じゃがその様な人材すぐには見つからんぞ」
「でも探さないと見つからないよね?」
「そうじゃな。確かにそうじゃ。
よし!早速伝令を出そう!」
「もしかしたらキミを認めない魔族が出るかもしれないよ?」
「そんなもの構わん!
ワシが何と言われようとどうなろうと民が平和であるならばなんでもよい!
さぁ忙しくなるぞ!どんな者がくるのか楽しみじゃ!」
「そんなキミだから好きなんだよ」
「んむ?なんか言ったかの?」
「ふふ。なんでもないよ。
ん?どうしたの?急に顔が赤くなったけど風邪?」
「な、なんでもないわい!
オヌシに見蕩れたなどと言えるはずもなかろう」
「ん?最後なんて言ったの?」
「何も言っておらんわ!さぁ早速準備を始めるぞ!
誰か!誰かおらんか!!」
「そんなに走ると危ないよ!
・・・・・・全く。
こんな女に見蕩れるだなんて仕方ない魔王様だね。キミは」
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!
前作を書き終えた当初から「あれ?短編連作いけるんでない?」などと愚考し、発作的に行動へ移した結果が本作となります。
一応何通りか本シリーズの着地点を考えていますが、続くか続かないかは皆様次第ですので、何卒御意見・御感想のほどよろしくお願いいたします。