悪役はもう飽きた!
「……で? 神、今度もあたしは『悪役令嬢』ってわけ?」
少女は苛立ちを隠すこともせずにそう言う。
少女には名がなかった。というか、多すぎた。
ユリエにフィジラン、レオノーラ、リサーレ、ミリャン……
挙げていけばきりが無い。
このすべての名は悪名である。
いわゆる『悪役』、『当て馬』と呼ばれる人間として毎回転生するのだ。
記憶ありではじめて転生したときには当然驚いた。でももう何十回と続けているとさすがにマンネリ化してくる。
毎回毎回ヒロイン虐めてヒーローにすり寄って……
「いい加減にしてよ、この神」
「ええ!? ひどい……」
「ひどいのはどっちだコノヤロウ。
あたしにもちったあ恋愛させやがれ」
少女は神に詰め寄る。神はまあまあと宥めるが、全く意味をなさない。
それだけ怒りを感じていたのだ。
「じゃっじゃあ、恋愛できるように転生させてあげるから……。
ほら、このゲームの悪役なんてどう? ヒロインの余り物をもらえるから、ね?」
「おいこら。それヤンデレ系乙女ゲームじゃねぇか」
そう言って威圧すればなぜかほっとしたような表情を見せる神に少女は一発拳骨をくらわした。
「と・も・か・く。
あたしをヒロインにしろぉおおお!!」
「……えー」
「えー、じゃねぇ!」
「……わかった。いいよ、ヒロインにしてあげる」
「だから、ヒロインにしてあげるじゃねぇ……って、ん?」
少女は神の台詞を口に発した後、狂喜乱舞した。
「マジで!? いいの!?」
「うん。でもゲーム自体はこっちで決めさせてもらうよ」
「おーおー。ヒロインならなんでもいい」
ヒロインヒロインとクルクル回り喜ぶ少女に聞こえないように神はぼそっとつぶやいた。
「ゲーム名は『カミコイ ~私は神に恋をする~』、と」
何が書きたかったんだろう……
タイトル詐欺で訴えられませんかね?