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137、message
ある日の夜に家に帰ると 机の上に一枚の置き手紙
「探さないでね。私の勝手を許してください。」丸文字の後に君の名前
ソファにもたれかけて 一つ ため息をすると
あの頃の君の全て 蘇ってくるように何かが溢れだす
君がいたから ここまでやってこれたんだ
君がいたから 心折れずに頑張れた
伝えたい言葉はたくさんあるけど 壁にぶつかって君にはもう届かない・・・
一人で歩く道でふりむく 二つの影が伸びている気がしたんだ
虚しく そこは風の中で 力を抜いたら塵のように飛ばされそうで
買い物袋を持たされ昇った坂道
一人分の重さなのに何故か重たくて・・・あの頃の記憶より
君がいたから 荷物を軽く思えたんだ
君がいたから どんなことも笑えた
叶えたい夢は たくさんあるけれど 今はただ一つ君のそばにいさせて・・・
君がいない今 何ができるというのだろう?
君がいたから ここまでやってこれたんだ
君がいたから 翼なくても飛べたよ
君がいたから 二つの影を伸ばせたんだ
君がいたから どんなことも笑えた
伝えたい言葉も届かない気持ちも 心 その中で強く 強く 抱きしめ・・・
ある日の夜に家に帰ると ひきだしから取り出した置き手紙
しばらく眺め 一つ 涙の跡をつけてから 丸めてゴミ箱の中へ
記憶は心の隅へ・・・
一枚の置き手紙。
そんな差さないなことから別れが来て、
大切なものを探す旅へと出かけていく――。




