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虎視眈々とのこと


「ちょ、ちょっと待て? あの子たちって本当に初心者だったのか?」


 チームメンバーであるビコウ・テンポウ・ケンレンのステータスを見て、オレは唖然としていた。



 【ビコウ】/【職業/武闘家】

  ◇Lv/**

  ◇HP**/** ◇MP**/**

   ・【STR/44】

   ・【VIT/22】

   ・【DEX/61】

   ・【AGI/98】

   ・【INT/20】

   ・【LUK/93】



  ◇装 備

   ・【頭 部】

   ・【身 体】初心者の武闘着(V+3)

   ・【右 手】金箍棒(S+10)

   ・【左 手】

   ・【装飾品】紫金蝶の耳飾(イヤリング)(I+10)



 というステータス画面。


「レベルとHP、MPのパラメータがバグってる?」


 いったいどういうことだろうか?

 それにこのパラメータだ。

 道着を着ていたから、格闘系の職業だとは想っていたし、それは当たっていた。

 だが、基礎パラメータがどう見ても初心者レベルじゃない。



 【テンポウ】/【職業/魔導剣士】

  ◇Lv/**

  ◇HP**/** ◇MP**/**

   ・【STR/92】

   ・【VIT/51】

   ・【DEX/17】

   ・【AGI/20】

   ・【INT/85】

   ・【LUK/94】



  ◇装 備

   ・【頭 部】

   ・【身 体】初心者用の鎧(V+10)

   ・【右 手】初心者用の剣(S+5)

   ・【左 手】

   ・【装飾品】



 【ケンレン】/【職業/死霊術師】

  ◇Lv/**

  ◇HP**/** ◇MP**/**

   ・【STR/37】

   ・【VIT/49】

   ・【DEX/51】

   ・【AGI/55】

   ・【INT/75】

   ・【LUK/15】



  ◇装 備

   ・【頭 部】

   ・【身 体】初心者用の法衣(I+2)

   ・【右 手】死神の杖(I+25)

   ・【左 手】

   ・【装飾品】羅漢の髑髏(I+20)



 というそれぞれのステータスだった。



「な、なんだよ、この化物みたいなステータス……。あの子たち本当に初心者なのか?」


 ビコウのみならず、テンポウとケンレンのステータスも確認し、オレは愕然としていた。どう見ても、初心者なんてレベルじゃない。ある程度実力をもったプレイヤーといってもいいくらいのステータスだった。

 そしてスキルと魔法スキルを見ようとすると。


「げっ? まじでバグってるんじゃないだろうなぁ」


 そう思わざるを得なかったのだ。なにせ…………――――



 ◇あlがjltあwhjとぁltへおいとぇj

  ・にgこ;んgkslんげいおとぃとわうとぁんgkgskg;あつわいおつhwちじょうぇgjんkg;あmんtくぁltうtj;んkg;なwg;gtんさ;gmんさ;gすとぁおいつjわいお;へgkぁんsがk;lんk;さ;ltじゃというというぇwjgtんklw;あgなk;lmgkl;あとぁおつえじおわこ;じゃあぁltはいがltあなぁ



 と、完全に読めないのだ。



 ビコウだけじゃない。ほかの二人も同様にまったく読めなかった。


「もしかして、中文翻訳に失敗したとか?」


 いや、その考えはないと頭を振るう。

 メンテナンスは一日に二時間ほどやっているし、もし翻訳が間違っていたとしたらそれに気付くプレイヤーが運営にメールで送っているはずだ。

 いくら中国で作られたゲームだとしても、翻訳には日本やアメリカ、韓国があったから、その国のスタッフもいるはずだ。

 つまり翻訳による漏れは考えられない。



「あぁ、これじゃぁ作戦なんて考えられないなぁ」


 何度かパーティーを組んで戦闘をしているからどういう動きをするのかわかっているし、ある程度は指示もできる。

 しかし、どう考えても彼女たちの力は初心者レベルじゃない。


「もしかして、リアルがすごすぎるんじゃないか?」


 特にビコウは格闘系職業だから、その動体視力と反射神経が強くなければ、かならず相手にクリティカルを与えられるとは思えない。

 それにLUKが93と高い。それも相まっているだろうが、それでもやはり反射神経がすべて補っているのだろう。



「オレがリーダーで大丈夫かなぁ」


 あまりにかけ離れた彼女たちの実力に、内心ゲッソリとなっていた。

 しかし引き受けてしまった以上、彼女たちの迷惑にならない程度に頑張ろうと思う。


「明日は休みだ。よし。今日はちょっと遅くまで……深夜一時までレベル上げをするか」


 オレは気持ちを切り替え、以前発見したレベル上げにピッタシな場所へと足を向けた。



 それははじまりの町から草原を抜けたところにある森だった。

 勘の良い人はわかると思うが、先日蜂蜜をゲットした場所である。


「[火の法衣]の追加効果の時間が何秒か計算してなかったからな。それに[女王蜂のイヤリング]でレベルの低いやつならまず攻撃してこない」


 ある意味独裁者の未勝手な虐殺に感じるが……。


「レベル上げだぁ。汚物は消毒だぁああああああっ!」


 オレは突っ込むように蜂の巣がある木を探しながら探索した。

 蜂の巣を見つけ次第、[火の法衣]の効果で攻撃力増加。

 蜂蜜をゲットして、ついでに経験値とお金もゲットする。


「効率? なにそれおいしいの?」


 と言わんばかりに、オレは行動していく。

 蜂蜜はある程度溜まったら売ればいい。

 単価五百Nと、意外に高価だったからだ。



 ……時間はちょうど深夜〇時を過ぎた頃だった。


「ちくしょう。結局レベルひとつしか上がらなかったぁ」


 [女王蜂のイヤリング]の効果があるため、蜂の巣の周りを飛び交っている蜂のモンスターがオレに近付かない。

 つまりは寝そべっても間合いがレッドゾーンに入らなければ攻撃を受けることはなかった。


「[火の法衣]の効果時間はだいたい十秒くらいか。一撃で決めるか、できるかぎりダメージを与えてノックバックしないとVITの少なさで大ダメージ食らいそうだな」


 それでもここらへんのモンスターならLUKやAGIの補正で避けられる可能性がある。

 だが明日のイベントはプレイヤーどうしの殺し合いだ。

 言葉はきわどいが、考えるとそんなものである。



「完全に運任せだな。ビコウが作戦あるみたいだし、それに()けてみるか」


 オレはそう考えると、落ちる前に自分のステータスをあらためて確認した。



 【シャミセン】/【職業/法術士】/2272N

  ◇Lv/13

  ◇HP25/25 ◇MP10/10

   ・【STR/14】

   ・【VIT/9】

   ・【DEX/19】

   ・【AGI/13】

   ・【INT/10】

   ・【LUK/95】



  ◇装 備

   ・【頭 部】

   ・【身 体】火の法衣(V+10)

   ・【右 手】

   ・【左 手】初心者用の錫杖(I+3)

   ・【装飾品】女王蜂のイヤリング(L+10)



 ◇体現スキル

  ・忍び足

  ・蜂の王

  ・武闘術者



 ◇魔法スキル

  ◇取得済魔法スキル

   *回復補助系魔法スキル

    ・ヒール

    ・チャージ

   *攻撃補助系魔法スキル

    ・ファイア



 ◇魔法スキルストック

  ・【ヒール】

  ・【ファイア】

  ・【チャージ】

  ・【空 白】

  ・【*ステータスが達していません】



「そういえば、あまり確認してなかった」


 新しく手に入れたスキルについてあらためて確認をする。



 ◇【蜂の王】

  *体現スキル/エンカウント補正

  ・自分よりもレベルの低い蜂モンスターに遭遇しても攻撃されない。

 ◇【取得条件】

  ・蜂モンスター百匹をノーダメージで討伐する。



 ◇【武闘術者】

 *体現スキル/STR値補正

  ・魔法スキルを特殊効果を持った格闘系装備、もしくは素手状態で強化できる。

  ・強化値はINT/レベルに依存する。

 ◇【取得条件】

  ・特殊効果を持った装備に自ら魔法をかけた状態で、魔法を使わずモンスターを二十匹討伐する。



 [武闘術者]の効果による付加は、[100%]になるか。

 これを見て、いよいよ自分が法術士なのか疑いたくなってきた。


「落ちる前にいらない蜂蜜売ろうっと」


 町に戻り道具屋で蜂蜜を売る。

 その数百個分。合計五万Nのもうけだった。


「アイテムは二十個までしか持てないから、一度町に戻って売りさばいて、また討伐してました」


 と誰にいうわけでもなく、オレは今度こそゲームを終了した。


テンポウ「説明不足でしたので補足。アイテム全体が二十項目ではなく、ひとつのアイテムが二十個以上持つことができないが正しいですね」


ビコウ「一種の規制かな。レアアイテムをドロップするか錬金してもてるだけ持って転売するのを防ぐため」


テンポウ「回復アイテムもランクがありますからね。錬金術はまぁ低レベルの人でもできなくはありませんけどDEXがある程度はないと失敗してゴミ量産。普通なら何も手に入れられないんですけど」


ビコウ「失敗したからといってアイテムとして受理されないわけじゃないからね。そこらへんはあれかな『格闘料理伝説ビストロレシピ』っていうマイナーゲームにあったモンスター作成の失敗作マックロンがそのまま仲間として受理されるのと一緒(当然なんの役にも立たない」


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