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一つ目のプローログ

 <召喚者の視点>


 占い師の予言があった。巫女の信託があった。


「魔王の復活」


 数ある国はそれに備え、軍備を整えだした。そしてある国が勇者召喚を実行した。


 勇者スキルを携えた者。その者はこの世界ではすべからく勇者と扱われるのだ。それを召喚した。勇者はありとあらゆる点で長けていた。知識も武芸もすべてが備わっていた。その小さな国は瞬く間に力を付けた。




 ある国は例の国に見習い、姫を巫女とし、勇者を召喚したのである。



 儀式の間。と言っても城の屋上だ。夜空に包まれるところで幾人の者が魔方陣を囲んでいる。皆の表情は緊張している。


「準備は?」


「万端」


「ではこれより」


「魔物が出てきてしまった時の対処は任せるぞ?」


 会話が数度された後、姫巫女が詠唱を行った。

 光輝く魔方陣。そして召喚された。


「あ。ワイバーンだ。これ死んだかも」兵隊の一人がつぶやいた。


 ドラゴンが羽ばたいていた。


 兵長の判断は早い。姫巫女や城の重要人物の避難。隊列の編成。怒号が響く。


「間違っても町に逃がしたりすんなよ!」


「ま。それが俺らの仕事だしな。死んできますわ」


「なあ、数名であの化け物を抑えろって、無理ゲーすぎない?」


「おぅ少年! どっから湧いてきた!?」


 黒髪黒目の少年が兵隊の一人に話しかけていた。


「ってか、これどんな状況?」


「なんか人呼ぼうとして、イレギュラー発生。失敗して化け物現る。が、今」と不真面目な雰囲気の兵隊が答える。


「なるほど。もしかして俺が原因?」


「さあ? ってか何? 君だれ?」


「板橋大悟。なんか散歩してたら光空間見つけて飛び込んだらココにいた」


「ちょ、それきっと光空間って召喚魔方陣だよ。絶対よくなかったって、この異常事態、君のせかも。ってよおお!」


 不良兵隊さんが妙な声を上げたかと思えば、その瞬間、ドラゴンが襲って来ていた。

 兵隊は剣でうまくいなし、なおかつドラゴンの足を両断していた。ドラゴンは恐れるかのようにまた兵士たちから距離をとった。


「おにーさんつええやん……。やっぱこの数人でも問題ないんだ」と黒髪の青年。


「いやいや。俺これでも精鋭だかんね。こうしておめえと話しながらワイバーンに拘束魔術使いながら、結界魔法つかってるからな。でも、何人がかりでも、それでもワイバーンが優勢なのよ。助けが来ないといずれ俺ら死んじゃうからな」


「死ぬ死ぬ言う割には軽い感じじゃん」


「お国の為に死ぬ覚悟はいつでもできてんからね。ただ、死んでもこのワイバーンどうにかしねえと」


「カッケー」


 他の兵隊たちも心持は同じなのか、果敢にドラゴン切りかかっていた。しかし刃がうまく通っていないようだ。


「さっきのおにーさんの一閃。あれで切りかかればよくない?」


「俺が優れてんの太刀筋だけ。瞬間放出魔力が少ないから意味無いの。ほら。切り落とした足はもう治ってはえてるだろ? 太刀筋だけじゃ駄目。注ぐ魔力が多いだけじゃ駄目。両方兼ねた一撃でないと魔物には意味無いの。だから俺は役割的に支援中心の仕事なのよ」


「何も出来ないのか」


「支援はいっぱいしてるよ。それと祈るくらいは」


 時折おそいかかるドラゴンをいなし、またタイミングを合わしながら皆で切りかかる。それが何度も続いた。


「ありゃま。そこが見えてきた。少年。逃がしてやりたかったけど、結界のせいでそうもいかないのよ。ごめんね」


「謝ることないっすよ。と言うか、そこが見えたって、ドラゴンの事じゃないんですよね?」


「そう。うちら、もう持ちそうにないかも」


 ついに兵隊の一人が、致命となりそうな一撃を受けて吹き飛ばされた。


 数名の兵隊の中、一人の欠落はでかい。崩れるのは時間の問題だ。


 黒髪の青年の足元に、剣が腕と一緒に転がってきていた。腕がもがれていたのだ。


「ああ……」


「少年! 何してんの!?」


 黒髪の青年は、剣を持ってドラゴンにとびかかっていた。

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