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王子の身内事情---戦場に咲く華は令嬢---

 アルゼリータは自室に籠もり、1人頭を悩ませていた。戦争が進まないのはもちろんの事、漠然と足りないモノがあった。それは──


「華が、ない」


 華──女性がいないのだ。ただでさえ野郎だらけの集団。少なくとも、戦場を彩る華と言うのは士気の面でも重要視される。

 そこへピンクのロングヘアーが……


「あれアルス、顔に書いてあるよ。『女が足りないー』って」


 野郎が来た。


「む、顔に出ていたか……」

「なんかすごいガッカリされてる感。だってさ、ホラ」


 ロゼイルは、アルゼリータに鏡を向けた。


 ああ……確かに……

 アルゼリータの額に、黒い文字で『女』の一文字がはっきり書かれていた。


 「考えが表情に出ることを『顔に書いてある』というらしいが、ほんとに文字として書かれたのは初めてだ……」

 

 額の女の文字をまじまじ見ながら呟く。


「これ、いつ書いたんだ?」

「さっき。顔の前で指組んでうたた寝してる隙に」


 ロゼイルの悪戯に、アルゼリータがキレた。

 空間が一気に凍りつき、霜がおり氷柱が出来る。そして、吐く息も白くなる。


「き~さ~ま~!!」


 アルゼリータが一歩一歩歩く度に、凍っていく範囲が広がり、冷気が強くなる。睨む瞳は氷よりも冷たい。


「今日という今日は絶対に許さん! 覚悟しろぉ!」


 冷気を爆発させ暴風を起こし、ロゼイルを襲う。風が吹き抜けるだけで、壁が氷に覆われていく。走って逃れようとするロゼイルだが、速度には勝てず、凍てついた風を全身に浴びた。


「さっっっっぶいーーー! てか痛い!」


 冷たすぎる風は自然の刃となり、ロゼイルの皮膚に裂傷を作っていく。


「痛い痛い! 痛いって!」

「うるさいッ! お前に今必要なのは言葉ではなく、実力行使の指導だーーー!」

「ぎゃーーー! 暴力ハンターイ!」


 容赦なく風を叩きつける。

 暴音が屋敷に響きわたった。


「うわっさぶっ! アルゼリータ様ー! どうされましたー! お客様ですーー!」


 いつも以上の騒音に思わず駆けつけた、兵士が来客を告げる。


「ああ!? うるせぇ! こいつをどうにかしてからだー!」


 聞く耳持たず。迂闊に出れば、巻き添えを喰らいかねない勢いである。


「ロゼイル様! 今度は何したんですか!」

「いやー、のっぴきならぬ理由でー」

「と、取りあえず、収める方法を考えなければ……」


 吹き荒れる暴風の中、兵士とロゼイルが、その方法を考えていると──


「ちょっと! わたくしを待たせるなんてどういうことなのー!!」


 風のせいで聞こえにくいが、微かに声が聞こえた。気付いたアルゼリータが、風を緩める。


「なんだ、お前は。邪魔をするな」

「お前とは何です! わたくしはミリエラ・ツヴィリ・コンフィートですわ!」


 風に豪奢なドレスをはためかせながら、少女ミリエラは叫んだ。

 その名前に反応したアルゼリータは、能力を完全に解除させ、ミリエラに近付く。


「コンフィート……、東の富豪がオレに何のようだ?」


 すると、ミリエラは手にしている扇を広げ口元を隠し、アルゼリータを流し目で見やった。


「わたくしが婚約者のもとを訪れるのは、ごく自然な事ではなくて?」



 冷気再臨。空気が凍り付いていった。

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