国民連盟
まだ世界が1つの大陸であり、国の概念がまだ希薄であった時代、君臨する王の政治に反感を持ち、王政を廃しようと結託した民たちがいた。
彼らはとある地方の数十人の集団から始まり、やがて共感した同士達が集まり、着々と勢力を広げていった。
あまりに広まりすぎた彼らを王族は恐れ、嫌悪した。そして、王族は彼らを『国民連盟』と呼び、殲滅しようと攻撃を開始した。
しかし、国民連盟にはリーダーたる男がいた。
名をアルゼリータ・ユウラン
天賦の才とも言えるような指導力と、人を引き付ける力を持った彼は、集団のなかで『王』と呼ばれていた。
事実、彼は王族だった。本来なら王政存続の危機に恐れる立場であるが、持たざる力を持つが故王家を追放され、逆に王族を倒す集団のリーダーとなっている。 国民連盟は彼の指導のもと、打倒王族のために休む事なく戦争を繰り返し続けた。時には自軍さえ危機に晒しながら戦った。王族が住む中央部まで後少し──ってところで、失礼極まりない男が仲間入りを果たした。
長身の戦士には余り似合わない淡いピンクの髪色を持つ彼の名はロゼイル・シラルガン。争いより娯楽を好む楽観的な性格のおかげで侵攻に急ブレーキがかかり、進まない状態が続いた。この状態が王をいらつかせた。
怒りが頂点に達した王はロゼイルを追放しようとした。追放という名の処刑だ。自分の邪魔をする者はこうなるのだ、という周囲への警告も兼ねて。
しかし、処刑は行われず逆に側近として常に隣に置いた。理由は当の本人たちしか知らない。ただ目撃者がいて、ロゼイルの右腕に大火傷の傷跡があったという証言が噂として囁かれた。