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謎の祠

「ミー!」

「よっしゃ!コロ、よくやった!」

コロの怪我は、勇者の甲斐甲斐しい世話のおかげもあり、少しずつ良くなっていった。

コロは、敵の目を晦ますなどの、戦闘の手伝いもしてくれるようになった。

「勇者!雑魚は俺たちに任せろ!お前は…」

「はい!僕は群れの頭を!」

「ミー!」

二人と一匹。戦闘の息も、合ってきたようだった。



冒険も中盤に差し掛かった。

勇者たちはある噂を耳にした。

この先の森の中に小さな祠があり、その中にはこの世界のどこにも売っていないレアアイテムが眠っているという。

しかし、他の旅の一行にとっては冒険に直接関係のない場所など時間の無駄でしかなく。基本、立ち入ろうとはしなかった。

そのため、未だ誰も、そのアイテムが何なのか見たことがないという。

「そこ、行きましょう!」

勇者はいち早く決断した。

「攻略しましょう!アイテムを手に入れるのです!」

「その、レアなアイテムが何なのかもわからんのにか?」

「だからですよ!もしかしたらアイテムが装備品の可能性もありますよね」

「まあ…かもしれんな」

「非売品とのことですし、もしかしたらAさんが装備できるものかもしれません。大した装備が無くても通用するくらい、Aさんはお強いですが…やっぱり、魔王は強靭な力を持っています。装備はあるにこしたことはありませんよね」

Aははっとした。

「!だからお前、わざわざ…」

「行きましょう!ね、コロも、いいよね?」

「ミー!」

一行は、噂の森へと向かった。



祠は、案外あっさりと見つかった。

「意外と小さいな」

「ええ。この中に噂のアイテムが…」

勇者が祠の扉に手をかけた。その時。

「うわああっ!」

強い風が吹いて、勇者が弾き飛ばされた。

「勇者!」

「…ココハ…アケテハナラヌ…」

おどろおどろしい声が響く。祠から黒い煙が噴き出した。

「…!だ、誰だ!」

煙は徐々に一点に集まりだし、人の形をなした。

『コレハ我ノモノ…決シテ、誰ニモヤラヌ…』


黒煙が襲いかかってきた!


「んなっ…!?」

黒煙のこうげき!

Aに大ダメージ!

Aは気絶した。

「Aさ…!コロ!撤退だ!」

「ミー!」

一行はにげだした!



「なん、なん、何なんだ!ありゃあ!」

目を覚ましたAが叫んだ。

「僕だってびっくりしましたよ…。なんでしょう。祠を守る、番人みたいなものでしょうかねえ…?」

「とにかく、あれは強すぎる!俺達の力じゃ歯が立たない!諦めよう」

「でも、それじゃアイテムが…」

「お主ら、祠を開けたいのかえ?」

「「!」」

一人の老人が、二人に割り込んだ。

「悪いことは言わん。あの祠には近づかぬほうが良い。命を捨てるようなものじゃよ」

「誰だ?じいさん」

「ご老人。あなたは、あの祠のことで、何かご存知なのですか?」

老人はゆっくりと頷いた。

「あの祠には、祟り神が住み着いておるのじゃ」

「祟り神…!?」

「なぜかあの祠が気に入ったようでのう。祠に近付く者に見境なく襲いかかってくるのじゃ。おかげでこのあたりの人間もあの森にはよう行かん」

「そんな…」

「あれを倒すのは人間では到底無理じゃ。精霊の笛でもあれば、別だがの。とにかく、命が惜しければ諦めなされや」

そう忠告して、老人は去っていった。

「…勇者。諦めようぜ」

Aが言った。

「俺の装備なんかどうでもいいよ。他の勇者たちだってみんなどんどん進んでいってるしさ。俺達もこんなことで時間つぶしてる場合じゃ…」

「…いや。ちょっと待ってください」

勇者は何か考え込んでいる。

「あのご老人、言ってましたよね?」

「は?」

「精霊の笛、がどうとかって…」

「あー…精霊の笛、ね…。つったって、それが何なのかもわかんねーのに…」

「いえ…。実は僕、聞いたことがあるんです」

「何!」

「僕の家は代々続く、勇者一族です。僕の祖父もまた、勇者でした。祖父が昔、幼い僕に話してくれた冒険の思い出…。その中に、精霊の笛の話がありました」

「じゃ、じゃあ…!どこにあるのかわかるか!?」

「ええ!確か…そう、ミーヤの村です!」

「ミーヤの村…ミーヤの村…あった!ここだ!」

Aが地図の一点を指さした。

「ルート外の村だな。山奥だ」

「よし!行きましょう」


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