プロローグ
オレは子供が嫌いだ。理由として、うるさいから。
あと、良く泣くし、我儘だし。何か見ていてイライラする。一番、イライラするのが、オレにもそんな時期があったと言う事である。ああ、いまいましい。忘れたい過去の一つだな。考えただけで、鳥肌が立つ。キモい。
世の中には、ロリコンと呼ばれる変態がいるが、一生! お近づきになりたくない。
何で、小さい子なの? うるさいだけじゃん。思考が理解出来ない。
ん? オレ? オレか? オレは年上のオネエサンがタイプさ。ドSとか、眼鏡とか、巨乳とか!! オレより、三歳は年上が良いな。ドライな方でもオールオーケー。
――今年の四月からオレ、織宮和人は高校三年生へと無事進級した。
誕生日は、八月八日。しし座。血液型はO型。身長は一七七センチ。
そう、至って普通の人の子だ。
「かずとせんせー。いっしょに、あそぼー」
紺の膝まである、エプロン。左胸には黄色のチューリップの名札。そこには「かずと」と、ひらがなで書かれていた。
「ねえー! せんせー!」
さっきから、オレのジャージを引っ張って、駄々をこねるクソガキ一号。あー……うるせえな。もう。
「ご、ごめんな。先生やることがあるんだ。お友達と遊んでてくれるかな?」
精一杯の笑顔を作り、クソガキに伝えると、ぶー、と言いつつ、どこかへ行ってしまった。やれやれ。
――幼児臭い。背の低い椅子とテーブル。動物の切り絵。デカイ窓から見える、遊ぶクソガキと、遊ばれている安全性の高い遊具。昼飯を食ったら昼寝するし、三時になればおやつが出る。男どもは、仮面ライダーごっこに勤しみ、女どもは、おままごと(これって死語か?)が中心の遊び。クソガキどもの楽園。
ここは成伊沙保育園。オレにとって地獄の場所。
でも、疑問に思ってほしい。一般の高校生が何故、保育園に来ているのかを。
保育士っつうのは、保育免許、資格が必要で、アルバイトで来れる場所ではない。
「和人~、ヤマト君からのお前の印象、さっきので悪くなっちゃったよ?」
ヤマト君? ……ああ、さっきのクソガキ一号のことか。
「知るかよ。ガキのご機嫌取んのが保育士の仕事じゃねえだろうが。――オレをこんな所でコキ使って何のつもりだよ? 涼姉」
オレに後ろから話しかけてきたのは、黒髪のポニーテール。赤色のチューリップの名札。紺のエプロン。下は普通にジーンズだった。名札には「りょうこ」と書かれている。ご丁寧にハートも書かれていてムカつく。そして、マッチする腕まくりの無地白Tシャツ。
この人はオレん家の、はとこの初瀬川涼子、二十三歳。誕生日は四月の頭の方だから、本当に二十三歳。
「んー。あんたを雇う予定よ」
「ほざけ!! オレはガキが嫌いだっつってんだろ!?」
「これから好きになれば良いじゃない」
なるか! バカ姉!!
こういう、周りをすぐに巻き込むような性格が昔から大嫌いで、巨乳で背はすらっと高い。そして、年上。それだけでも十分、好みの女性なんだ。でも、傍若無人や唯我独尊の部分は進歩しておらず、オレは相変わらず涼姉さんが嫌いなままだった。
……少し、遡り、オレが涼姉さんにここに連行された時の話をしよう。
不本意だけどな。




