36時間後の未来
「………ん〜ねむぃ〜」
いつものように何気ない朝。だけど、そんな何気なさが一番の幸せだった。
「とりあえずご飯ご飯〜」
そんなことを思いつつリビングに出た僕を待っていたのは一人の少女だった。
「………だ…誰?」
一人暮らしのはずなのに。
僕の家に少女がいる。
「おはよっ!」
「………………………」
とりあえず悪い奴ではないかもしれない。
だけど、なぜ俺の家に平然といるんだ?
そんな混乱中の僕に、少女は言った。
今までのような笑顔で。
「君は30時間後に死ぬよ」
突拍子もなくそんなことを言われた。
「………はぁ?」
「だからぁ、君は30時間後に死ぬの」
「冗談もほどほどにしろよ?ってかお前なんでここにいるんだよ?」
「未来から来たんだよ」
「警察じゃなくて病院に電話したほうがいいようだな」
「まぁ確かに信じられないだろうね」
そら当たり前だろ
「じゃぁ、信じてもらおうか」
「?」
その瞬間、僕の後頭部に強烈な痛みが走り、意識が切れた。
「…………」
「………………………………………」
「………………………………………………………………」
「………………………………………………………………………」
「………!?」
「お目覚めかい?」
体が拘束されていた。
そんな僕に少女は、
「じゃ、死のうか」
「!?」
ナイフを右手に刺された。
だけど、それくらいじゃ終わらない。
いつまで続くのだろうか、もう、意識を保っていられない……
あれから30時間が経った。
そして少女は言う
「ほら、ピッタリ。これで私が未来から来たって信じてくれるよね」
何気ないいつもの日々が一番の幸せ。
いや、生きている事こそが幸せなんだ。
「それじゃ、30時間前に戻りましょうか」