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第二章 【序】

(あの頃は、俺も若かったな…。)


中学時代を思い出し、苦笑いする。


今は、まだ二十代だが、妙にオッサンくさいことを思ってしまう。




(しっかし、止まねぇな、この雨…。)


(電話も掛かって来ねぇし。)


(もう一回、掛けるべきか?)




ふと、横を見ると、同じ歳ぐらいの女性がいる。


その人も、俺と同じように、恨めしそうに空を見上げている。


(この人も、傘、ねぇのか?)


OL風のその女性は、メガネを掛けており、茶色がかったショートカットの髪。


パンツスーツをビシッと着こなしている姿は、見るからに仕事が出来そうな感じ。


(結構、綺麗な人だなぁ。)


その女性に、少しの間、見とれていると、不意に彼女がこちらを見る。


(やべぇ!目が合っちゃった!)




「凄い雨…ですね…。」


その女性が、俺に声を掛けてきた。


「そ、そうですね。今日、雨が降るって、言ってました?」


「ええ、言ってましたよ。」


(この人も、仕事帰りかな?)


「お姉さんも、傘、ないんですか?」


「はっ、えっ…、まぁ…。」


「俺もです。迎えを呼ぼうとしたんですけど、電話に出てくれなくて。」


(でも、この人、雨が降るって知ってたんじゃないの?)


「家族の方?それとも、彼女…かな?」


「一応、俺の奥さんですけど…。」


「結婚…してるんですか?」


「ええ、まぁ…。」


そのOLらしき女性は、一瞬、悲しそうな顔をした。


よく見ると、俺より少し、年上な気がするこの女性。


(結婚してないのかな、この人…。)


その女性の悲しそうな顔は、どこかで見た気もしたが…。




そういえば、あの頃のデートは、雨が降ることが多かった。


俺は、絶対に雨男じゃないが!








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