幕間 butterfuli effect
butterfli effct side
その者は、自分には想像できぬほどの遠い場所から来たと言う。形などはなく、ただ揺蕩う泡のように我の意識の中に告げる。
『この世界は壊れてしまった。作られた枠組みの魂が、輪廻に入れず摩耗してしまった。このままでは、同じ時間を繰り返し、崩壊していくのみなんだ』
元々、我は壊し、畏怖され、倒されるのみの存在で生まれたのだから、それを繰り返すのは当たり前のこと。また、百年もせずに呼び出され藻屑とされるのだから、それまでの間は深海の底の底でまどろんでいたい。
『ああ、君まで諦めてしまっているんだね』
眠りたいのだ、静かにしてほしい。
『魂をね、入れ替えることにしたんだ。これが最後の端緒だよ。これに失敗をしてしまうと、本当に君は消えるし、この世界もなかったことになる。僕の昇進もね』
昇進と言うものは解らないが、こんな退屈な役割はもう終わらせたい。
『うん。これで最後。これが成功したら、僕の手から離れるから、どうなっても仕方ない。でもね、せっかくここまで作り込んだ側としては、できれば幸せにしてあげたいじゃない?』
………しらん。
『とびきり醜悪そうな魂をね、都合してもらってきたから。安心して……』
何を言っているのだ。
『安心して…殺られるといいよ』
戦いもせずに死すと言うのか!
『ああ、君はね。形代だけを残して……』
我の意識が抜かれる。目の前には我の抜け殻?初めの我は白く、一枚一枚の鱗も光輝いていたはずだ。
しかしどうだ、ねじれる身体は醜悪に蜷局を巻き、漆黒より黒い瘴気が立ち込める。弱き生き物ならば、側に寄るだけでその生を終えるだろう。
これでは、水の軍神、カリプテスの御子姫がその身を我に投げ、献身する前に息絶える。火の女神ヘスティアの姫騎士が我に止めを刺す前に、崩れ果てる。どんなに地母神テラーアウの加護を受けていようが、地の乙女の祈りは届かないであろう。我は…いつの間にこのような身体になった。
『すまないね。何千回もつらい思いをさせた。でも君は真摯にやられ続けてくれた。もういい。少し…眠っていてリヴィアタン』
大切そうに我の名を呼び、姿を持たぬものは我をその手に納めた。
『さて、せっかく同僚が教示してくれたアドバイスを使わない手はないよね』
『魂を入れる時は気を付けなさい。合わない形代にいれてしまうと壊れるよ』
壊れるか…面白いなぁ。この形代を使うのは最後なのだから、派手に壊れるといい。
入れる魂は地球産。薄汚い欲しかない、今世に入った四つの魂の仇とも言えるあの運転席の男だ。犯罪まがいの事を繰り返し、碌な人生を送らなかった。最後に事故を起こし、捕まったことで罪を賄いきれるはずもない。
『お前が摘み取った命に、お前が摘み取られる番だ』
入れてみたものの、動く気配もない。目覚めるのは後少しかかりそうだ。
『これ、壊れたら別世ではベヒモス作ろうかな…』
来た時と同じく、揺蕩う泡は海嘯に飲まれ消える。
お疲れさまです。
いつも読んでくださってありがとうございます。
『海の災厄』の名前をやっとだせました。
リヴィアタンにするか、サンにするかで迷いましたが
ただの悪役ではない我に柔らかいイメージをつけたく
タンをつかいました。
たくさん、海、魔物、強いを検索したのでググりも
頑張ってくれました。
もういいから、リと打つだけで出さないでw




