王妃様のお茶会 5 そして…
お疲れ様です。
いつも、不定時更新ですみません。
読んでくださって、本当に嬉しいです。ありがとうございます!
お茶会が終わり、ミネアと共にマナーハウスを出る。控えの間でメイドを全て下がらせると、お互いに言いたいことが、溜まっているせいで、案の定ミネアと口論になってしまった。
「カルナラ、大人しくしていてとあれほど言ったのに、なんで公爵令嬢の物を欲しがるのよ!話し方もなっていないわ」
「煩いわね、今日のドレスに似合うと思ったからよ、私たちは王女なのよ。なんで、他国の公女に媚びないといけないの!あんたこそ、下手な芝居しちゃってさ」
イライラとミネアが爪を噛む。
「王妃様がお父様に書簡を出したと言っていたわ。私たちのしてきたことが書かれていたら…」
「心配いらないわよ。出自のわからない者は全員捨てたのだし、あんたの言うとおりにね!」
「…早めに国に戻ったほうが良いかもしれないわ。やった事がばれて、この国から強制送還なんてされたら、お父様がお怒りになる…」
確かにお父様は厳しいけど、冗談じゃないわ、あんなに美丈夫で、美しい一流の男たちを諦めるなんてしたくない。
「それこそ、お母様に泣きつきましょうよ。私は嫌よ。王子とも話していないし、あの店の店員だって欲しいの!ミネアだって悔しくないの?王女として認められる前に帰るなんて」
ミネアは王女としての矜持が高い。寵妃の母から生まれた出自がのせいか、それは顕著に表れる。
「それは…」
「あの、銀色の小娘にだって、あんたの美しさは負けていないわ。私たちのどちらかでも王子たちの目に留まれば、お父様だって怒りはしないわよ」
これは嘘。銀色の小娘にはあんたは負けるわ。あんたも私も加護なしだから。
赤髪の娘だって、会った瞬間に目を惹かれるほど愛らしかった。
でもね、私は我慢をしたくないの。
「考えてみれば、ユーフレスは、殿下方にお会いしたことが有るはずなのに。縁が結べなかったのよね…」
ぽつりと、ミネアが呟いた。ユーフレスは正妃の娘である。カロヌロア建国記念の際には、私たちを差し置いて正妃共々きていたはず。
「ええ。でも、そんなこと決まっているわ、私たちのように美しくないからよ」
少し声を甘やかにして、妹に囁く。
「大丈夫。私たちなら上手くやれるはず…ミネア仲直りしましょう。ねぇ、こんなに広い城ですもの、庭を見せてもらいましょうよ」
「そうね……あら、お姉さま、迷っても知らなくてよ」
くすくすと二人で微笑う。
王子たちに偶然出会うことは、しょうがないわよね。
* * *
控えの間で、マリアにヴィンセント殿下から、お誘いを受けた温室でのお茶会の話をする。
「わたくしはエアルが待っているはずだから、伺うけどマリアはどう?」
「ヴィンセント殿下からのお話しはそれでしたのね。わたくしは、お兄様と帰ることになっておりますの…それより、リュミ」
ノックの音がする。アイシュア様かしら?
「お迎えにあがりました」
「マイク様」
マイク様は胸元に手を当て、ゆっくりと貴礼をとる。
「殿下方から、お話しは聞いておりましたが、早咲きの花のごとく、初々しくも香しい美しさですね。ご案内を申せ使った僕は役得です」
あらあら、マイク様が貴族紳士の嗜み、褒め殺しが凄いわ…エアルに見習って欲しいような、欲しくないような。
「お上手ですのね」
「嘘ではありません。マリアベル嬢、アイシュア様も温室でお待ちですよ」
「ありがとうございます。…リュミ、行きましょう」
ジェシカを従え歩く、マリアの後ろをマイク様と並んだ。
街歩きの時のように、歩調を合わせて下さる。
「ふふ、あの時のようですわね」
「街歩きの時ですか?不安げにしているのに、見るものすべてを興味深げに歩いてましたね」
「まぁ、そんな風に見えてましたの?」
「ええ、思わず差し伸べてしまいました」
そっと腕を曲げて下さる。
「……失礼します」
「わっ、え。掴んでくださるんですか?」
「ええ、今日は少し…助かります」
飴色の金。マイク様の瞳が私を心配そうに覗き込んだ。
「お茶会で何かございましたか?」
前を歩いていたマリアは、私たちの話が聞こえていたのか振り向く。
「やっぱり。祝詞なしの魔法詠唱だったから、無理をしたんじゃない」
マリアが戻って来て、そっと両手で私の頬を包む。
「冷たい…魔力酔いでつらいなら、ちゃんと言いなさい」
「ふふ、ごめんなさい。温室で温かいお茶をご馳走になるわ」
「リュミエール嬢!お休みになれる部屋をご用意させます。少しお待ちを」
マイク様が、目線でメイヤに合図を送ろうとするのを止める。
「大事にしたくありませんの。お願い」
「…彼女のいない僕が、女性のお願いに弱いと知ってのお言葉ならずるいですね。ではこのまま支えます。城門までゆっくり歩きますから、今日はお帰りになった方が良いでしょう。メイヤ、エアリルに伝えて、ジェシカは馬車止めに行って、至急馬車を用意するように手配を」
「ジェシカ、私も今日は帰るわ。お兄様に伝えて…あ、殿下方にお詫びを…」
マリアが頬から手を放した。温もりが消えたようで少し寂しい。
「大丈夫です。僕からお話しします」
頷いたメイヤとジェシカが、速足で私たちを追い抜く。隣に来たマリアが、頬にふれるかわりに手を繋いでくれる。
「ふふ、エアリル様が暴れそうねぇ」
「うちの弟はそんなに暴れん坊じゃありませんよー」
「ハハハ、ソウデスネー」
「マイク様、なんで片言ですの?」
* *
祝詞なしの詠唱?なぜ、そんな急場しのぎなことをリュミエール嬢がした?加護力がいくら強いと言っても、加護を使うとなれば、加護神の名前ぐらいは唱うものだ。加護を使うのに慣れているジュリアス様でさえ、朝の長い祈りは欠かさない。
エリィに早く聞きたいが、今はご自邸で休んでいただく方が先だった。自分で話してはくれないだろう…マリアベル嬢も彼女が言い出さないなら、あえて口に出さないはずだ。
「マイク様?」
「どうしました?気分がお悪いとか、ありますか」
「いいえ。マイク様が何か考え込んでいるようでしたので…わたくしのことなら、大丈夫です」
あなたが大丈夫でも、あなたのことだから、僕は大丈夫じゃないんです。口に出せない言葉を取り繕った笑顔で隠す。
「わかりました。ご無理をなさらず」
こんな下手くそな笑顔しか作れないくらいに。
気持ちが揺れてしまうことに慌てるくらいに。
「僕が暴れそうですよ」
独り言は読まれないように、胸の内で呟いた。
マイクはもともと、喜怒哀楽の激しい子
だったと思います。
環境が人を作るですね。
李池的には………いいぞ、もっとやれw




