王妃様のお茶会
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いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。
明日の更新ですが、仕事の関係にて明後日になるかもしれません。
取り急ぎ、ご報告まで。
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ルドヴィカ王妃side
王妃主催のお茶会は、マナーハウスで開かれることになった。城内の大広間を使うほどの規模でもなければ、他国からの王女がお忍びでやってきているらしい。
賓客扱いでなければ、知らぬふりもできるが、どうやらヴィンセントが世話になったと聞く。母としても礼のひとつもかましてやりたかった。それに、可愛い双子の息子たちが、やっと気になる女性を見つけたらしいではないか、隠そうとしてもお母様にはわかります。
爺ぃに聞いてるからね!
表向きは貴族女性教育の一環として、年若き女性たちの意見を聞く趣旨の下に、集められた貴族子女たち。どんな意見が聞けるか楽しみだわ。
朝餐をとるために、回廊を侍女と歩いていると、中程で陛下が立っているのが見える。
「ルドヴィカ、今日も美しいね。午後からお茶会と聞いているが、入場の時のエスコートは任せてもらえるね」
「まぁ、他の方にお任せするつもりでしたの?」
「まさか。息子たちに先を越されないために待っていたのだよ」
そっと、わたくしの手を取ると、陛下が歩調を合わせてくれた。
「スルト侯爵令嬢も来るらしいから」
「あら、あの出禁令嬢ですか?出世思考は悪くはないですけど、前回はやりすぎでしたわね。もう少し大人しくなさっているかと思いましたけど」
私の息子たち相手でやらかさなければ、別に気にも止めない輩ではあるけれど、王立学園でのダンス講師の件もある。気は抜けませんわね。そう思い、侍女に目をやるとコクリと頷いた。
「うん。でも、ゴーディ領もアイシュア・ゴーディが継ぐことになったから、これからはそんなに幅を利かせられなくなるよ」
「では、それを期待しましょう」
にっこりと微笑むと陛下が、小さく呟いた。
「ほどほどにね…」
もちろん、全力で聞こえない振りですわ!
エアリルside
馬車から降り立つ姉上に、手を差し伸べる。
姉上は嬉しそうに微笑むと、その手を取ってくれた。
「姉上、今日は温室へいますので、何かありましたら、すぐにお知らせください」
「大丈夫よエアル、王妃様のお茶会は初めてではないのだし、マリアも一緒だわ」
「帰りは一緒にかえりましょう。メイヤ頼んだよ」
レイクツリー公爵家のお仕着せを着て、メイヤが侍女の顔になる。
「承りました」
「今日の姉上も大変お綺麗です。お気を付けて」
新しいドレスは白から薄紫に変わるグラデーションの、柔らかな素材の物らしい。夜会用などではないので首元、袖などは隠されているが、しなやかなドレープが姉上のしなやかな体躯に合っていて美しかった。髪に挿した紫水晶の髪飾りは、姉上の瞳と同じように輝いている。
「お上手ね。いつの間にこんなに褒め上手になったのかしら?」
「いつも思っていますよ、口に出さないだけです」
くすくすと微笑む姉上と、軽口を挟みながら歩く。控えの間をマリアベル様と一緒にして下さった采配はどちらの殿下だろう?何にせよ気が利く。
控えの間に着くと、マリアベル様の侍女ジェシカが開けてくれる。
「リュミ!わぁ、素敵」
姉上を見て、開口一番そう告げた。
「マリア、あなたこそ可愛らしいわ」
なるほど、学園で姉上とならんで、美少女の双璧と呼ばれるのもおかしくない。マリアベル様のドレスはベージュ色の光沢のある生地に、同色の細かな刺繍と品の良いレースがあしらわれている。髪色と瞳が印象的なマリアベル様を、やわらかいイメージでまとめ上げていた。たしかに愛らしい。
雫型のエメラルドのイヤリングが揺れて目を引いた。
「グリーンの輝石がお似合いですね」
「ふふ、ありがとうございます。エアリル様が、貴族男子の嗜みを口にするのを初めて聞きました」
いつもの僕はどんな印象なんだろう。これからはもっと声にだしていこう。
「いつも思っていますが」
「あら?」
「あら?」
姉上とマリアベル様に優しく睨まれて、僕は早々に退出した。
コリンヌside
「えーじゃあ、今日はマリアベル様もリュミエール様も、王城にいらしてるんですね」
温室の様子を見に来ていた俺は思わず、声を上げた。
ちなみに、いただいたハンカチとキャンディのお礼に手紙を出したところ、お返事で二人から、家名だと呼びづらいでしょうから…と名呼びを許されました!堂々と呼ぶぞ!
「うん。王妃様がお茶会を催されていてね。来てるよ」
ジュリアス様が、霧吹きを片手に教えてくれる。温室は乾きやすいから、適度な湿度が大切なのだ。前世の俺が胸を張る。
「あ、かけ過ぎないで下さいね。優しくですよ」
「はいはい。大きくなったねぇ、これなら心配ないね」
そうなのだ、畑に施す加護と違い、密閉をされているせいか、加護が行き渡っている。
「庭師の方のおかげです」
「今日もマンダリンもらえるかなぁ」
「もう、馬車の中からそればっかりじゃないですか」
笑いながら言うと「市場じゃ売ってないからさ」とジュリアス様が首を竦めた。
「ジュリアス様はお茶会なのに参加をしなくていいんですか?」
「基本、行かないかな。お茶会は女性が基本だからね。招待状をもらった時は別だけど」
納得。俺もしばらくはいいかな。リュミエールやマリアがいるなら別だけど。
「霧吹きが終わったら、加護をかけて終わりです。祝詞はお願いをしてもいいですか?」
「ん。了解。そういえばエアリル遅いな」
「レイクツリー公爵令息がこちらに?」
「香草を見に来るらしいよ。薬効のあるものがないか、確認をしたいらしい」
そう言って立ち上がるジュリアス様の髪には、白い布で作られた髪留めがついている。凝った刺繍入りだ。あれって、前世でみかけた事がある。こっちにもあるんだな。俺の視線に気が付いたのか、ジュリアス様が笑った。
「何?見とれた?」
「ちがいますぅ~その髪留め…」
「コリンヌ!」
「こんにちわ、キリアン様。いらしていたんですか」
「ああ、僕には君を庇護、監督をする義務があるからね」
頬のあたりが赤い。温室だからのぼせたか?それにしても、庇護はわかるが、監督はジュリアス様です。キリアン様は最近よく出没するな…暇なのかな。
後ろにはエアリルもマイクの姿も見える。
「揃ったねぇ」
そう言ってジュリアス様が見回した。
……みんな暇なのかな。
次回、久しぶりに揃いますw




