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リュミとお買い物

お疲れさまです!

いつも読んでくださって、ありがとうございます!

寒くなりましたねぇw

 

「マリア、用意はいい?」

「もちろんよ。ジェシカ、今日はよろしくね」


 ジェシカがゆっくりと頷く。

 馬車を止めたのは王都街の一角、市井向けの店が多い通りだった。

 午後の授業のない日を選んで行動にうつした。いつもリュミの傍にいるメイヤさんは今日はいない。怪我の様子を診せに行くようにと命じ、神殿へ行っているはずだった。

 エアリル様には、リュミから街歩きをする旨は話してある。護衛を三人付けることで、了承をしてもらえたらしい。私も出かける時にはお兄様に言うが…弟に了承?と思わなくもないけど、報連相は大事。


「ジェシカさんも、今日はありがとう。私の我儘に付き合わせてごめんなさい」

「お礼なんていりませんわ。メイヤさんのお誕生日プレゼントでしたわね」

「ええ。邸に商人の方を呼ぶとばれてしまいますし、あまり高価な物だと恐縮してしまって…」


 わかるわ、邸に来る商人はどうしても高級志向。ドレスなどの体にあった物を選ぶ時には仕方ないが、アクセサリーなどは、もう少しお手軽な物が欲しい時もある。

 リュミがメイヤさんの誕生日プレゼントを用意をしたいと、再び街歩きをする計画を聞き、だったら一緒に行きましょうと誘ったのが発端だった。


「今日は可愛いのを選びましょうね、リュミ」

「ええ、マリアとも何かお揃いの物が欲しいわ」


 御者が扉を開けてくれると、見慣れた顔が手を差し出していてくれた。


「ヘンリー、今日はよろしくね。騎士団がお休みの日にごめんなさい」


 従者服を着ているヘンリーは久しぶりで、領地に戻っている時みたい。帯剣だけはしっかりしているから、護衛もかねてくれるらしい。


「承りました。マリアベル様。今日は従者の日で、アイシュア様から特別手当も付きます。お気になさらず」


 ヘンリーはリュミにも手を差し出すと、微笑んだ。


「さて、マシュー手芸店から大きめの文具店…と言うとヤウトイ文具ですかね。行きましょう」

「ええ。お世話かけます」


 リュミと並んで通りを歩く。憧れていた、学校帰りに友達と遊ぶこと。

 ジェシカはすぐ後ろを、ヘンリーは前を歩いてくれた。


「プレゼントは何か考えてるの?」

「あのね、シュシュを作りたいの。わたくしはまだ見たことがないのだけれど、ゴムのようなものがないかと思って…」


 前世のことを話しているせいか、声を潜める。


「ああ、便利そうね。こっちにはリボンしかないし」

「作りは簡単だから、最終的には養護院でも作れないかと思っているわ」

「ゴム…伸び縮みのするバンドね」


 何か思い出せそうなんだけど…考えているうちに手芸店に着いてしまった。 


「お店の方にも聞いてみるわ」


 そう言って、ジェシカが付き添い、リュミは店員へと声をかけに行く。


「レイクツリー家ご令嬢は何かお探しですか?」


 私の側にはヘンリーが残ってくれた。


「あのね、こう伸び縮みのする紐?」

「伸び縮み…また珍しいものをお探しですね。布なら織方によってありそうですが…紐ですか」


 ヘンリーも首を傾げた、やっぱりないか。ゴムの木は温かい地方が原産地だった気がする。それどころか、この世界では植物ではない可能性も高い。

 少し待つと、残念そうなリュミが戻って来る。


「やはりなかったわ。布も見せて頂いたけど、伸縮性が低くて駄目なの」

「そう、残念だったわね。あ、でもせっかくですもの、生地や手芸糸も見ていきましょう?」


 あまり手芸などが得意ではない私でもワクワクするくらいに、生地は色とりどりで、ディスプレイをされていた、たくさんの縫いぐるみも愛らしい。


「ええ、糸も素晴らしいのよ。前に来たときはマイク様がご一緒だったのだけど…」


 少しだけリュミが口元に手をあて、言いよどむ。


「マイク様が?」

「ううん、行きましょう」

「ふふ、気になるな~」


 少しだけ頬を染めたリュミが「なんでもないの」と手をふる。その仕草が可愛らしい。リュミは店で、シルク生地の端切とたくさんの糸を手に入れてご満悦だった。


「このお店欲しいわ~」


 リュミがそう言って微笑むけど、公爵家が言うとシャレにならない。

 あかんがな…。

 ヤウトイ文具店では、リュミはメイヤさんにブックカバーを選んだ。シュシュは残念だけど、艶のあるワインレッドに野ばらの型押しが美しい物だった。私もメイヤさんにはお世話になっているので、それと揃いになっている栞を買う。


「ふふ、ありがとう」


 リュミにお礼を言われると困ってしまう。メイヤさんには遠慮をされそうだけど、私はお友達認定しているのですもの、当たり前よ。

 せっかくなので、少し歩き疲れたことだし、カフェに寄る事にした。


「ここも、マイク様と…」


 あらあら、リュミのマイク様率が高いわ。これはひょっとすると、ひょっとするかも。


「マリアベル様、夕餐が入らなくなりますから、ケーキはおひとつまでですよ」


 隣のテーブルで、ジェシカに子供に言うみたいなことを言われる。なんでばれたのかしら。季節のケーキセットを頼み、喉を潤していた時にヘンリーが言いにくそうに口を開いた。


「先ほど、マリアベル様に聞いた伸び縮みのする紐のことなんですが…思い当たる物がひとつだけあります」

「本当ですか、ヘンリーさん」


 少し前のめりに、リュミが尋ねた。


「ええ、たぶん…あれなら」

「リー、それは何?」


 ジェシカが、問うようにヘンリーを見る。あら、リーってヘンリーの愛称かしら?二人は夫婦だから愛称呼びをしていてもおかしくはないけど、外で出すなんて完璧なジェシカにしては珍しかった。


「ほら、ジェシカの苦手なヤツ。ミミーズリィ、あれの皮が乾くと伸縮性があるだろ」

「ああ、あれね」


 少し嫌そうにジェシカが眉根を寄せる。

 ミミーズリィなら知っている。ミミズの大きくなった魔物だわ。大きくなりすぎないなら益獣。増えすぎると害獣になる。討伐はそんなに難しくないけど、サイズが大きい物で二メートルくらい。何匹かいると畑が全滅するから、定期的に狩らなくてはいけない。


「ミミーズリィは魔物なの。こう、畑にいるにょろにょろとした外見で、成長をすると蛇くらいになるわ。乾燥させた物は見たことがないけど」


 リュミはミミズ大丈夫かしら?ヘンリーが言いづらそうにしていた訳がわかった。


「それが伸縮性に優れているのですね」

「はい。ゴーディ領では、ちょっと物をまとめる時とか、簡易的に留める際に使います。ミミーズリィの皮は粉末にして、魔道具などにも使われていますから、物自体は流通していると思いますよ」


「…それはどちらで売っていますか?」


 あら平気そう。本当にゴムが欲しかったのね。


「ゴーディ領だと森に入れば、普通に手に入りますが…王都ですと、最近王室ご用達になった、テアドラ商会あたりですかねぇ、ゴーディ領から魔物皮も卸していますし…良かったら帰りに寄りますか?遅くなる旨は伝言をだしておきましょう」

「ありがとうございます!」


 ぺこり、とリュミが頭を下げる。


「や、だめです、俺なんかに頭を下げないでください」


 強面でお兄様と同じくらい体の大きいヘンリーが、慌てる様を見て、私とジェシカは思わず笑ってしまった。 カフェを出る際に、支払いをリュミがすると言ったが、ヘンリーに軽く受け流されてしまう。


「ここでお嬢様方に出していただいたら、私がアイシュア様に怒られます。勘弁してください」


 店前でヘンリーを待っていると、後ろから声をかけられた。すっとジェシカが私たちの前に出る。


「麗しいお嬢さん方だ。学校帰りかな?」


 見れば貴族風であるが、どこかスーツも着崩れた男性が二人、にやけて立っていた。リュミと心得たように扇を口元にあて、顔を背ける。


「どちらの御子息かは存じませんが、無礼ではありませんか?」


 背を伸ばし、毅然とした態度でジェシカが諫めた。


「これは失礼。第一騎士団に所属している者です。カフェからお見掛けしていて、あまりの美しさにお声がけをしてしまいました」


 暗に貴族籍の者だと臭わせている。私もリュミも夜会はおろか茶会にも滅多に出ていない。幼年院にも通っていないので顔ばれもないから、学園に通っていなければわからないのだろう。

 そして、私たちも彼らを知らないから、自領の者でも、高位の者でもないとみた。


「そうですか。騎士たる方々の行動とは思えませんが、お引き取り下さいませ」


 苛ついたように後ろにいた男性がジェシカを睨むが、ジェシカは能面のような表情を変えない。


「手厳しい侍女殿ですが、どこのお嬢さん方かだけでも教えていただけませんか?」

「よろしければお食事をご馳走させて下さい。ああ、侍女殿もあの無骨そうな護衛にもご馳走しますよ」


 無骨ですって!うちのイケオジヘンリーになんて言い方。


「結構です。夕餐は邸にて取りますので。護衛も…ああ参りましたわね」

「何かありましたか」


 いやだわ、ヘンリーがゴーディ領のヘンリーに。

 その顔は対魔物向けでは?


「この方々が、お嬢様方にご夕餐を一緒にと、私たちにもご馳走をして下さるようですよ」


 ヘンリーが片眉を上げる。


「それはありがたい。今、他の護衛も呼びましょう」

「え?」


 すっとヘンリーが左手を上げると、バラバラと何名も集まる。うちの子だけじゃない、リュミのうちの子も?でも、リュミも首を傾げているから、どこの子かしら?


「とりあえず、店きめましょうや、ああ、お嬢様方は参加しねぇよ」


 囲まれた貴族子息もとい、第一騎士団員がずるずると、現われた護衛達に横道へと引き込まれていく、ゴーティ領でもたまに見かける弱肉強食。


「あれは…」

「リー遅いわよ。でも、凄い数の護衛ね…」

「うちと、レイクツリー家で四人ほどだったんだがな」

「とにかく移動しましょう。お嬢様方は目立つから」


 ジェシカに促されて馬車に乗り込む。ヘンリーは馬車の中で何かを考えているようだった。




マリアとリュミの街歩きも書きたかった!

書けて嬉しいのですが、何かちがうぞ…とミミーズリィを

だしたあたりで気が付いた。

そろそろ、あの子の伏線も回収しなきゃw

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私はミミズ無理です……。 (´;ω;`)
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