マリアベル ビ-ラヴド 2
お疲れさまです!
いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。
寒くなりましたねぇ(笑)
「東屋の風が強くて、砂でも入りましたか?目が赤いです。ちょっと我慢してくださいね。目が赤いまま帰ったら、ゴーディ家の皆さまが心配します。帰りにも、もう一度診ますから」
呼びにきてくれたエアリル様は何も聞かずに、癒しの加護を使って下さる。帰りにも加護を使ってくれるのは、もっと泣いても良いですよ。と言われてるみたいで嬉しかった。リュミもエアリル様も本当に優しい。
東屋で泣いて、リュミの部屋に戻ってからもちょっと泣いたら、ぐちゃぐちゃだった気持ちが少し楽になっていた。
温かいお茶をごちそうになり、たまたま、夕食が私の好物だから食べていきなさいと、エアリル様に誘っていただいて、今デザートにレモンムースを食べている。
「マリアベルがお泊りをしてくれるなんて嬉しいわ」
「で、でも、ご迷惑に…」
「迷惑なんてありませんよ。ゴーディ家には早馬で知らせましたし、もうすぐジェシカさんもお着きになるでしょう」
エアリル様をなめていた。この方は采配の達人だわ。
「そこまでー」
「このまま、マリアベル様が帰られたら、姉上が心配をして、明日寝不足になるかもしれません」
「ええ、とても眠れないわ」
リュミまでよよよっと、項垂れる。可愛い。
「母が領地に居りますので、姉上のお部屋で少し遅くまでおしゃべりをされても、内緒にしてあげます」
以前、学園に通うまではお泊り会は駄目ですよ。と言われていたのを覚えてらしたのね。
ここまでしていただいたら、お断りはできなかった。
「よろしくお願いいたします」
その後は、リュミのお部屋で、リュミの街歩き冒険談を聞いて…。
「ビンチョス伯爵令息とお忍びデー…」
「違うわマリア、メイヤたちもいたし、エアルに頼まれて様子を見にきて下さったの。でも、あまりにも覚束ないわたくしたちを心配して、お声をかけて下さって…」
リュミの頬が少し赤い。
彼女付きのメイヤを見れば、ジェシカの隣ですんっとして表情が読めない。
「とても気遣いのできる方だったわ」
恋愛フラグはすでにないはず。友人フラグかしら?
「あ、マイク様にご助言をされたのですけど、シルヴァン殿下の刺繍はマリアにお願いされたら、どうか…と」
「それは構わないですけど、わたくし、そんなに得意ではなくってよ?」
「クラスメイトですし、名呼びのお話しもされていましたわ」
「ああ…そうですわね。このままだとリュミの負担も多いし…分担しましょう。わたくしが請け負いますわ」
「そんな…請け負うだなんて、ふふ」
もとはと言えば、家の親戚が仕出かしたこと、責任の一端は家にある。
「大丈夫よ。図案は考えてあるの?」
「ええ、これでね…」
のんびりと、図案や美しい刺繍糸を見ながらおしゃべりをして、ローズの香りのする浴室までお借りした。世話を焼いてくれるジェシカは何も言わず、急にお泊りをする旨の報連相だけは注意をされた。
その夜、夢をみた。
わたくしより年上の女性が、顔の前で手を合わせて「ほんとーにっごめん、マリア!」と謝っている。知らない方だけど、嫌な気はしない。
「私の推し愛が、マリアを泣かせました。でも、もういいの。確かに推し愛はあるけど、マリアの好きな人を選んでも」
推しがお兄様であることはわかっているから、それはわたくしが持っている感情だわ。
「わたくしが好きなのは…」
彼女は、そっとわたくしの赤い髪を手に取ると、微笑んだ。
「可愛い、可愛いマリアベル。あなたは私だけど、あなた自身なの。前世からの私の思いに引っ張られて拗らせてしまったわ。でももう大丈夫。アイシュアは確かに私を愛してくれているし、周りには大勢、あなたを思ってくれる人がいるからね。あなたが幸せなら、私も幸せだから、たくさん、たくさん幸せになってね」
にこにこと髪に触れる彼女の手がぼやけていく。
「待って、行かないで」
「行かないよー私は、あなたの…」
目覚めたら泣いていた。何か憑き物がすとんっと落ちたみたいに、すっきりしている。何かを忘れてしまっているけど、不思議と不安はない。
「おはようございます。マリアベル様…お目が赤いですね。いま、濡れタオルをお持ちしますから」
「とても…懐かしい夢をみていた気がするわ」
「そうですか…さ、目の腫れが引いたら、ご用意をしましょう。リュミエール様とエアリル様から、御朝食のお誘いがきていますよ。お待たせするわけにはいきませんから」
「嬉しい!リュミのお家のシナモンロール美味しいの」
「食べすぎないで下さいね!」
リュミのお家の美味しい朝食を終え、玄関ポーチに出ると我が家の大きな馬車が止まっていた。
扉が開くと中から、疲弊したお兄様が出てくる。
「邸でお待ち下さいと言ったんですけどね」
エアリル様の笑いまじりの声がする。
「おはよう、マリー」
「おはようございます。お兄様、どうなさいましたの、疲れ切ってましてよ?」
「昨日、スルト侯爵家に抗議文を仕上げて、送ったりしたからな。それに、あー、マリーの様子がおかしかったから、心配になった」
そう言って、いつもより跳ねた赤い髪を掻く。
「まぁ、嬉しいですわ。でもわたくしはこの通り元気です。学園まで送ってくださるの?」
「ん。でも、レイクツリー家の馬車で行くなら…」
「マリア、わたくしたちの使っている馬車はあまり広くないの。良かったらお二人で」
けして、レイクツリー家の馬車は狭くない。それどころか豪奢で揺れも少ない。
「ありがとうリュミ、ではお兄様と向かいますわ」
今はリュミの気遣いにのることにした。
「大丈夫なのか…?」
隣に座ったお兄様が、伺うように見る。
「ええ。リュミとおしゃべりに夢中になってしまって、ご心配をおかけしました」
不思議と、お兄様がお隣に座っていても、その深い緑の瞳で覗き込まれても、いつものような胸の高鳴りがない。そのかわりに、緩やかな安心感だけがある。
お兄様の腕にいつものように寄りかかると、少し肩を下げてくれるので、頭をのせる。
「お兄様、だーいすきですわ」
「おまえは子供の頃からそれだなぁ」
「ふふ、妹ですもの」
「……」
学園に馬車が着くと、お兄様が降りて手を貸してくれようとするのを止めて反対側を開けた。
「一人で降りれます。お兄様、じゃあね!」
「マリー?」
マリーは微笑んで、俺に手を振ると、スカートを翻し、すでに着いていたリュミエール嬢に駆け寄る。
何か大切なものを手放したような。
原因もわからず、胸が痛い。
もう、その小さな手を取れないような気がして。
やっと、マリアベル・ビーラヴドが書けました。なるべく早いうちに
形にして出したかったお話しです。
これを出さないと、マリアベルのこれからが、フラットにならず
誰にも行けないまま、終わってしまいそうで。
とはいえ、お兄様は大好きですし、アイシュア様にもこれから
頑張っていただきたい、李池です(笑)




