表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/27

叱られ行脚は続く。

お疲れさまです。いつも読んでくださって、ありがとうございます。

お休みなので、もう一本いっちゃいます。


  同じ頃、(コリンヌ)は神殿に呼ばれていた。

 目の前に座るキラキラしい男は、派手な溜息とともに黒と赤の混じる封蝋のされた封筒を指先で叩く。


「私は教典の書き写しをしているように、侍従に伝えていたはずだけど?」

「すみません」


 とにかく謝るに限ると、俺はペコペコとジュリアス様に頭を下げた。


「市井にいた頃、近所の兵役に付いてる方から、剣の稽古の後はとても疲れて、お腹も空くし喉も乾くと聞きました。初めて会った時からお世話になっているマイクに少しでもお礼ができたらと思って…本当にすみません」

「優しいのはコリンヌの美点だけどね、君の行動でゴーティ家のご息女と、レイクツリー家にもご迷惑をおかけした」

 

 いつもより、声が低い。


「はい。反省をしています…そこでお詫びの機会をいただきました」

「それが一番の問題なんだけど…」

「ジュリアス様までそんなことを言うんですか」


 ジュリアス様はゆっくりとかぶりを振る。


「まぁいい。王家のご招待に否はない。お受けしても良いよ。でもね、コリンヌが行った行動に関しては罰が必要だ。お茶会までには教典一幕までは諳んじられるように。出来なければ君は欠席」

「へ?一幕が何ページあると…」


 教典がちょっとした単行本。いやいや、漫画ならまだマシだけど、内容は神話時代からの宗教的歴史書である。


「謝罪をしたいのならば、頑張り給え。話は終わり。馬車を呼んであるからマイオニー家に戻りなさい」

「はい…」


 美しく金色に輝く髪と灰色がかった銀色の瞳、彫刻のような顔立ちに甘やかな言動で惑わされがちだが、長く付き合ったからこそわかる。ゲームでは年上のヒロイン溺愛系チャラキャラであったが、そうではない。

 優しさと同じだけ厳しさを、自分を律するように周りにも規律を重んじる、指導者としての一面もきちんと持ち合わせている男であった。


 こいつに泣き落としは効かない。


「失礼いたします…」

 

 とぼとぼと肩を落とし、馬車に乗り込むコリンヌを、馬車が見えなくなるまで、バルコニーで見送っていたジュリアスは小さく呟く。


「本当に、困ったお嬢ちゃんだねぇ…」


 呟いた声は思ったよりも掠れていた。



短いので、前の話の後につけようか、この後のビンチョスにつけようか

迷い、時系列的に間に入れたしで、分けました。

余談ですが、ビンチョスと打つ時に備長と間違えやすいです(笑)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ