第24話 元聖帝 vs 現聖帝1
「ったく、どうやったらここから出られるんだ……」
「やあ、聖帝さん」
俺はホムラ、ミライと全く同じシチュエーションで登場した。
もう1回言うことになるが……やっぱりこの登場の仕方、めっちゃカッコいいと思わない?
あくまで俺の意見だけど。
「――――誰だ!」
「久しぶりだな、コウキ」
「な……お前はルーカス!」
「覚えてくれて嬉しいよ」
「忘れるもんか……。七帝で唯一この世界の出身の男。そして七帝の恥だ!」
「七帝の恥、だと?」
俺は聞き捨てならない言葉に反応し、眉間にしわを寄せる。
「この世界の出身で何が悪い」
「悪いもなにも、俺たち異界人より弱いのは確か。その証拠にルーカスは俺には勝てないんだから。そして、お前はこの国を裏切った。魔王となんかと手を組みやがって……」
コウキは吐き捨てるように話す。まるで俺を馬鹿にするかのように。そして最後、留めを刺すかのように言い放った次の言葉は、俺の怒りを爆発させた。
「シャイタンなんてただのモンスター達の……獣の集まりじゃないか!」
「――――!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の中で平常心の糸がパチンと切れた。俺はすぐさま剣を抜き、コウキに襲いかかった。
「――――っと、危ないじゃないか」
コウキは何事もなかったかのように俺の攻撃を軽く止めた。
「あの国を……馬鹿にすんじゃねえよ!」
「あ?」
俺は怒りのあまり、歯をギリギリ鳴らす。もうこいつを許せなかった。
「俺にとってあの国は、シャイタンは……俺にとってアーリア王国より大事な国だ! こんな荒れ果てたクソみたいな国と比べるんじゃねえぞ!」
「な……! お前この国を馬鹿にしたな!」
俺の侮辱の言葉に、コウキも怒り始めた。体を震わせ、手を強く握った。
「何回でも言ってやるよ」
「――――!」
「この戦いの目的は国王を殺すこと……。そして本来のアーリア王国を取り戻すことだ!」
「な、何だと!?」
コウキはやたらと国王に忠誠を誓っている。おそらく、自分の能力や活躍ぶりを1番に認めてくれるからだろう。
前国王に変わり、今の国王になってからは戦闘力を重視するようになった。そのために異界から人を呼び出し、七帝という最高位につかせることで国力を他国に主張するようにしたんだと思う。
「俺は国の代表として戦って国民から名声が得られる……そんなことの何が悪い!」
「お前はアーリア王国の国民の生活を見たことあるのか!?」
「――――!」
「お前ら七帝や貴族たちはみんな贅沢ばかりだ。国民たちは食事すらありつけられないんだぞ! 国民の生活ぶりを見て何とも思わないのか!?」
それを聞いたコウキは、はっと鼻で笑った。
そしてまるでゴミでも見ているかのような表情に変わった。
「国民の生活ぶり? そんなの興味ないね。全ては国のため……周辺の国を征服するため。国民は戦闘力の1つでしかないね!」
完全に国王の洗脳だった。訓練をし、戦わせて功績を得て自分の株を上げさせる。そしてそれを繰り返させることで、自己満足させて国王の信頼を得る。完全に国王の思惑だった。
コウキの表情からもわかる。国の情勢なんて全く見ていないで、自分の欲のために任務をこなしている感じだった。おそらく、俺がいなくなってからそれは他の七帝にも伝染し、今の状態になり変わってしまったのだろう。
俺は国王の思惑のためではなく、国民が安心して過ごしていけるように努力していた。追放を言い渡されたときはただ異界人より弱いという理由で追放だと思っていたが……。今考えると、国王からしたら俺を追放して何も知らないコウキを入れることで、自分の望み通りにできる良い材料だったんだろう。
「早く始末しないと……」
「――――!」
コウキは自分のことを言っていると思っているらしく、にやりとする。どうせ勝てないとでも言っているような感じだ。
もうこのフィールドもそろそろ崩壊する時間に入ってくるだろう。早くヨウキを弱らせ、国王を始末しなければならない。
「なに考え事してるんだ!」
「ぐはっ!」
なんとコウキは突然俺の腹に拳を入れた。これは七帝として一番やってはいけないことだったはずだ。なのに……。
「早くお前と手合わせしたいんだよ。俺をイラつかせんじゃねえよゴミが!」
「ぐがっ!」
コウキはお構いなく俺に蹴りを何発も食らわす。もうこいつは人間じゃない。
許せない、許せない、許せない――――絶対に許すもんか!
「どうした、もうへばったか。弱いなあお前」
相変わらずバカにしたような口調で話してくる。あぁ、こいつに構うの面倒くさくなってきちゃった……。
「さっさと殺っちまおう」
「なっ!? なんだ、この魔力の集まりは!」
俺は憎悪の感情を抑えきれなかった。俺の周りにどす黒い魔力が、どんどん集まってくる。アンラが教えてくれた、自分が今できる最強の技で、一番危険な技……。
『カラヒア』
アンラでさえ教えるのをためらったくらい、命に危険があるこの技。下手をすれば魔力が暴走し、自ら命を蝕んでいく。だが、もう我慢ができなかった。




