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キミは星の王子様~父さんな、実は魔王ルシファーなんだ~  作者: カブキマン


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変人ラッシュ 14

「で、次郎きゅんを元気づけるための作戦ですが……とりあえず夜這いでも仕掛けます?」

「飛びすぎだろ」

「ワープ航法でも採用してんの?」


 普通に引かれるわと投げやり気味に二人は言う。

 冷や水をぶっかけられて多少は冷静になったようでミカエラはじゃあどうするんですかと唇を尖らせる。


「夏だしちょっと水着でも見せてやれば良いんじゃないか?」

「先生も好きな少年漫画雑誌に載せられるレベルのやつね」


 気候の問題はあるがそこはオカルトの力を頼れば良い。

 どこぞの人気のない海周辺に結界でも張って温度を調節するとかできるだろう。

 無理ならオールシーズン遊べる温水プールとかでも良い。

 二人の提案を聞きミカエラは深く頷き、言った。


「なるほど。以前購入した生き恥ウェディングビキニの出番というわけですか」

「何て?」

「字面だけで知能の低さが垣間見えるな」

「というかあんた何でそんなもん買ってんのよ……」

「成人した娘のお金の使い方に文句を言いたくありませんが少し考えた方が良いですよ」


 四人から総ツッコミが入るもミカエラはどこ吹く風だ。


「夏休み前に見たソシャゲの広告で見てこれは良いなと思ったんですよ」


 それで似たようなものがないかネットの海を探して購入したのだという。

 現役高校生よりアホなお金の使い方である。


「……あの村での一件がなければ別のやり方もあったんですがね」


 あの村、というのは次郎と愛理が戦いを繰り広げた場所のことだろう。

 悲し気に目を伏せるミカエラだが四人は凄まじく嫌な予感を覚えていた。


「念のため聞くけど別のやり方って?」

「山奥の小さな温泉宿を貸し切ってそこで次郎きゅんをおもてなししようかなと」


 こんな格好でとミカエラはスマホを操作し画面を見せつける。

 そこには透け透けの着物を着た仲居さんが映ったパケ画が映し出されていた。


「「AVじゃねえか!!」」


 高校生に18禁画像を見せつける。

 高校生に18禁なおもてなしをしようとしていた。

 一瞬でツーアウトを稼ぐ剛腕っぷりに飛鳥と了はドン引きした。


「……とりあえずあんたも同行しなさいよね。いざって時は命懸けで止めなさい」

「……はい。それが父親である私の使命でしょう」


 次郎を元気づけるために何かする流れはもう止められない。

 ならばせめて淫行教師が暴挙に出た際のストッパーをというレモンにミカエルも深く頷いた。


「とりあえず海行くとして先生、場所とか任せて良いんだよね?」

「はい。うちが管理する無人島が幾つかありますので」


 訓練用に使う場所で宿泊施設もあるとのこと。

 気温の操作についても自分がやるので問題なしとミカエラは胸を張る。


「早速手配しますのでお先に失礼しますね!」


 では、とミカエラはさっさと朝食を済ませ食堂を出て行った。


「……飛鳥」

「うん。何か色々心配だしもう一人呼んどこうか。確か今日定休日だったし」

「だな」

「何かされるのですか?」

「まあちょっとね。とりあえず僕らもさっさとご飯食べちゃおうか」

「あなたにも豆か何か取ってこよう」

「お気遣い感謝致します」


 残った者らも朝食を済ませ早速、行動に出た。

 ミカエラたちとの繋がりを知られるのは少々よろしくないのでまずはミカエルが先行。

 次郎の様子を見に来たと言って訪ねて行き、その後で飛鳥、了、レモンの三人が続く形となった。

 ミカエルが出てから一時間ほど待ち三人は次郎の家に向かった。


「あ~ん? 誰……ああ、お前らか」


 インターホンを鳴らすと次郎がのそのそと現れたのだが……。

 やる気がかなり減退しているのだろう。端的に言ってチンピラのような有様だった。


「どしたこんな朝から」

「いや折角の夏休みだからな。遊びに誘おうと思ったのだ」

「あー、異世界とか忍者とか色々あったから気ぃ遣ってんのか?」

「まあそれもあるけど僕らもようやっと肩の荷が下りたからね」

「? 何かあったのか?」

「お前は色々大変だったから内緒にしていたが実はこっちはこっちで大規模な作戦行動があったんだ」


 それが終わったから労いとリフレッシュも兼ねて誘いに来たのだと告げる。


「そういうことならまあ……あ、そうだ。今はっつぁんが家に来てんだけどはっつぁんも誘って良いか?」

「問題ない。相手は鳩だからな。一羽増えたところで誤差のようなものだ」

「一応中身は人なんだがな」


 いえ大天使です、と言いかけるが三人はぐっと堪えた。


「で、遊びってどこ行くん?」

「「海」」

「貴様らイカレてんのか? 見ろよ俺の格好。どてら着てんだぞどてら」


 雪もぱらついてるのに正気かという次郎の言葉は正しい。

 なのでまあ話を聞けと飛鳥、了はこれこれこういうことでと説明をした。


「ほー、実質ビーチ貸し切りみたいな? 悪くないかも」


 乗ってはきたがやはりテンションが低い。

 それだけメンタルにダメージが及んでいるのだろう。


「だろう? 手配が済んだらこっちに連絡が来ることになってるから中で待たせてもらって良いか?」

「どーぞどーぞ」


 家の中に招かれミカエルとも合流。

 次郎がミカエルに誘いをかけるのを三人は素知らぬ顔で聞いていた。


「……そういや水着買ったけど今日まで仕舞いっぱなしだったんだよなあ」


 準備をしながらぼやく次郎。

 何時もなら海海とはしゃいでいるであろうことが分かるだけに深刻さが窺い知れるというもの。


「あ、志村さんから連絡来たね。次郎、ちょっと庭借りるよ」

「良いけど……」


 庭用のサンダルを履いて外に出た飛鳥が地面に何かを書き始める。

 何だそりゃと怪訝な顔をする次郎に説明をしたのはミカエルだった。


「送受信用の召喚陣ですね」

「召喚陣?」

「ええ。これを用いて先に転移で移動した方が私たちを召喚で呼び寄せてくれるのでしょう」

「はー、そんなのもできるんだ。すげえなオカルト」

「さて。私たちも庭に移動しよう。ああ次郎、施錠はしっかりな」

「あ、了。僕の靴も持って来て」

「了解」


 準備を整え全員で召喚陣の上に。

 はみ出しているところがないかを確認し飛鳥が志村に連絡を入れる。

 すると陣から光が溢れ景色が一変した。


「お、おぉ……」


 光が収まると目の前には自然の中に佇む小洒落たペンションが。

 気温も先ほどまでの肌を刺す寒さはどこへやらじりじりと肌焦がす熱さを感じる。


「やあ皆、いらっしゃ……うぉ!? 泣いてる!?」


 ペンションから出て来た志村が声をかけようとして軽く仰け反る。

 次郎がほろりと涙を流していたからだ。


「す、すんません……何かじわじわと広がる夏の実感についほろりと来ちゃって……」

「い、いや良いよ。うん、何か色々大変だったみたいだしね」

「はい、ホントもう。実は同盟に報告入れた忍者だけじゃなくまた別のプレイヤーにも昨日絡まれちゃって」


 本当に疲れてるんすと肩を落とす次郎に志村は頬を引き攣らせる。

 元気いっぱい馬鹿な高校生といった形容が相応しい次郎がこんなに凹んでいるとは思わなかったのだ。


「まあ、何だい。今日明日は気候もこのままだからゆっくりすると良いよ」


 飛鳥くんと了くんもねと志村は笑う。


「僕も今日はゆっくり島の温泉に浸かるつもりだし」

「あ、志村さんも例の大規模な作戦とやらに?」

「ああ、最前線で暴れてたよ。だからまあ今日は温泉でゆっくりして明日から事後処理さ」

「組織の長は大変すねえ」

「それより次郎、早く海行こう海!」

「うむ。めいっぱい遊ぶぞ」

「はしゃぎ過ぎだっつの。でもまあ、悪くねえか。レモン、海水浴は初めてだよな?」

「ええ。良ければその、色々教えてくださる?」

「任せろ。っし、じゃさっさと着替えんべ」


 ペンション内の割り当てられた部屋で着替えを済ませ子供たちとミカエルは海に繰り出した。


「はっつぁん。何か元気なくない? ひょっとして無理に誘っちゃった?」

「……いえ、そんなことはありませんよ。誘って頂けてとても嬉しいですとも」


 大丈夫、大丈夫。あの子だって馬鹿じゃない。あれはちょっとテンションが上がっていただけ。

 次郎に聞こえない程度の声量で何度も自分に言い聞かせている姿は実に哀れだった。

 そんなミカエルに情け容赦なく審判は下される。


「お待たせ致しました」

「この声……ミア先生? 先生も来て」


 たんだ、とは続かなかった。振り返り飛び込んでた光景に言葉を失ったからだ。


「う、嘘でしょ……この女、悪魔より倫理観ないじゃない……」

「おぉ、主よ……」

「マジかこの教師」

「おいおいおいうちの学校の採用基準どうなってんの?」


 純白のベール。パレオのように巻かれたフリルスカート。

 透過度がちょっと気になるもののここはまだ良い。問題は水着部分だ。

 上は布面積が小さく大事な部分以外は透けている。下もこれまた透明部分があり角度がエグイ。

 あと水着なのにガーターストッキングみたいになってるのもどういうことなんだよ。

 海水浴にこれを着用してくるとか正気か? と言いたくなるデザイン。

 生き恥ウエディングビキニの呼称に恥じない堂々たる痴女コスである。


「ど、どうでしょうか?」


 ほんのり頬を染めながら問うミカエラ。

 次郎以外には頬の赤が照れや羞恥でないことは明白だった。

 全員の視線が次郎に注がれる。

 自分たちの感想はさておき、次郎を元気づけられたのならそれで策は成功なのだから。

 しかし返ってきたリアクションは予想外のものだった。


「飛鳥、了、お前らもあんま無茶な頼み事するんじゃないよ」

「「は?」」

「先生も生徒の頼みつっても何でもかんでも聞くのはどうかと思いますよ」

「え」


 次郎は飛鳥と了の肩に手を回し招き寄せると溜息混じりに言う。


「ジョンのジジイか志村さんからか知らんけど俺が上げた報告聞いたんだな?

んであの夜、塩対応したことを申し訳なく思ってるんだな。

だから元気づけてくれようとしたんだろ? にしたってお前らこれ……これはないわ」


 え、何それそういう流れ? 知らん知らんと飛鳥と了がキョドり出す。

 その様子に気付くこともなく次郎は続ける。


「いや俺にも悪いところはあるよ。常日頃からスケベなこと言ってたしな。

ミア先生エッチだよねとか言ってたもん。パンツ覗いたりもしたしさ。

あと電話もな。パニクってたとはいえあんなんじゃ伝わらなくてもしょうがないしさ。

けどこれはないわ。嫁入り前の娘さんにこんなん着せるのはあかんよ。

お前らなあ、先生のお父さんお母さんの気持ち考えたことあんのか?」


 居る居る。母親はともかく父親ここに居るってとは言えない一同。

 唖然とする彼らをよそに次郎の常識的な説教は続く。


「自分の娘がこんなソシャゲでしか許されない衣装着てるとか泣くわ。

赦されざる天使ってお前、そういう意味じゃねえから。

まあ、お前らも普段ならこんな馬鹿なことしなかったんだろうってのも分かる。

疑似異世界の件もあって本気で俺のメンタルがやられてるかもって心配になったんだよな?」


 だからその気持ちはありがとう。でもこれはちょっと駄目だよ。

 諭すような次郎の言葉に皆がポカンしている中、真っ先に復帰したのはミカエラだった。


「次郎くん、それぐらいにしてあげてください。お二人も次郎くんを本気で心配していたわけですし」

「「こ!?」」

「嘘でしょ……」

「おぉ……おぅ、ぉぅぉぅ……」


 コイツ、コイツ! さらっと次郎に乗っかって責任押し付けやがった!

 目も口もこれでもかとかっ開き驚愕する飛鳥と了。

 信じられないものを見る目を向けるレモン、蹲って泣き出すミカエル。かなりカオスな光景だ。


「あら、何か揉め事かしら?」


 何とも言えない空気を打ち破ったのは、


「え、冬花さん?」


 飛鳥と了が手配した甘魅冬花だった。


「ええ、冬花よ! 次郎くんに笑顔をお届けに来たわよ!!」


 バスケット片手にウィンクする冬花に次郎の表情が見る見るうちに明るくなっていく。


「……何だよお前ら、普通に良いサプライズも出来んじゃねえか」

「「お、おぉ?」」


 戸惑いつつも二人は流れが変わったことを感じていた。


「それはさておき冬花の水着はどうかしら? 女が水着を見せたら一言あるのが紳士ってものじゃない?」

「そうっすねえ……」


 レースネックのついた全身純白のシルエットがよく分かるフレアワンピース水着。

 露出という意味ではかなり寂しい。胸元もお腹も出ていない。

 強いて言うならスカート丈がマイクロミニなところぐらいか。

 それでも普段着のちょっとセクシーなワンピースといった感じで水着としては大人しい。

 だがそれが逆に次郎の琴線に触れた。


「控え目に言って最高っすね! よ、この夏一の清楚美女!!」

「あらやだ嬉しい! ふふふ、お上手なんだから!!」


 キャッキャとはしゃぐ二人を見てミカエラは、


「う、ウソでしょう……こ、こんなことが……こ、こんなことが許されて良いんですか!?」


 かつてない敗北感を味わされていた。

 そしてそんなミカエラを見て飛鳥と了は、


「「ざっまぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」


 過去イチテンションを上げていた。

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― 新着の感想 ―
娘がマネモブだなんてそりゃミカエルも泣くよ
あれ?生まれてくる立場逆だったんじゃね?って思えるほどのアレですね。 そんな事よりカブキマン先生は戦隊大失格って作品を知っていますか?アニメ化された作品なんですがそのEDムービー「曲、正解はいらない」…
うーん、こんなこと言うのは人としてどうかとは思うんだけど…ミア先生を誕生と同時に殺そうとした判断は正しかったのでは? この中にルシファーの子供が一人います、さて誰でしょう?って問題出したら、確実にミア…
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